第2話 スパゲティー食べたい(父)
本屋を出て、市街をウロウロした。
僕はたぶん2年生で、姉は4年だった。
姉は勉強し過ぎで、すでにピンクの銀縁の
メガネをかけていた。
「れいは、何たべるんだね。」
「ラーメンかカツ丼。」
僕は言った。
特には姉には聞かない。
お父さんはむかしから僕びいきだった。
姉には意見を聞かない。
ウロウロあるくこと30分。
僕らは中華料理屋の前にいた。
ショーウィンドウにさびれた感たっぷり
に食品サンプルが並ぶ。
ラーメンのサンプルは、麺が箸で持ち上げられ止まっていた。不思議だ。
「サホは、何たべんだね。」
サホが初めて聞かれた。
「ミートソース。」
「…いいでしょ、ラーメンで。」
「うん。いいけど。」
僕ら兄弟は、昔から、
姉は、だからミートソースと言ったのだ。
糸魚川市街で、祖母が完全な道楽にボロい麻雀荘を経営していた。本通りから、裏道に入った道で、何か汚らしいようなさびれた道の途中に「洋食レストランよし」があった。その先を曲がると麻雀荘だ。
なぜか麻雀荘にあそびにいくと今は亡き祖母が必ず僕ら兄弟に出前で「ミートソーススパゲティ」をよしに注文した。
楕円型のステンレス皿にたっぷり盛り付けられたミートソーススパゲティ。さらには端にはキャベツの千切り。そしてキャベツには、ケチャップと酢の混ざったなんとも言えない食べたことのない味がする美味しいドレッシングがかかっていた。
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