ヨーイドン

「ーー時間は1時間半です。用意はよろしいですか?」


「ーーおー!!」


残りの参加者三人が、見事に声をはもらせた。


10...9...8...7...6...5...4...3...2...1...。


残りの参加者にも、テレビ局の取材が近づく。


「村上亮さん、意気込みはーー?」


「俺、食べるんですけど、体重はあまり増えないんですよね、、。だから自信がなくて」


女子たちの声援が入る。


「村上くーん、食べて、食べて、食べ尽くしてー!!」


この声援だけで、だいぶ大騒ぎである。

アナウンスや、マイクを使った話など、近所迷惑でもある。


「ちなみに現在の体重は?」


「46キロです」


テレビカメラがズームアップして、村上亮を写し出す。


「でも、負けないように、頑張ります」


爽やかな顔で村上亮は、笑って見せる。それだけで、女子たちは大騒ぎだ。


ーー可愛い。

ーーステキ。

ーーこっちを見て!


そんな声が飛び交っている。

彼は目立ちすぎだ。


ーー万が一にも彼と結婚したら、誰かに刺されてしまいそうだ。


長沢洋子はそんな風に感じた。


そして、また笛が鳴る。


「それでは始めますーー。ヨーイドン」


唐揚げ、パスタ、サラダ、煮付けなどを山盛りに更に乗せ、すごい勢いでそれを食べていく。食べる時間は村上亮にとって、人生で一番大好きな時間だ。

どれだけ食べても食べられる。

オードブルはサイコーの食事だと実感しながらも、次々と食事を運ぶ。

白米もお代わりが自由らしい事をスタッフが教えてくれた。


山盛りになっていたおかずと、白米をペロリと間食して、また席を立つ。おくずと白米を取りに行かなければーー。


三人のうち、一番最初に席を立ったのが、村上亮だった。

僅か五分程度の時間で、村上は食べ終わったのだ。相当な早食いらしい。

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