第5節【Rub-a-dab PART2】
「お姉さん、名前は? アタシはエミリア。
問答無用な問答をこめて、エミリアがラガをやる。
間髪入れずに、わたしは応えていた。
「〝R〟〝I〟〝R〟〝A〟
エミリアの肩をとって、更に続ける。
「
わたしの意図に気付いたのか、エミリアが後を歌い始める。
「
ゆっくりと呼吸を合わせて、併(あわ)せていく。
『
それは、
――と、不意に。
エミリアが歌い始める。
「始まりを告げる
唐突に振ってくるから、降ってきた。
「愛がなくちゃ なんにも救われねぇ けど それだけじゃ なんにも生まれねぇ から RIRAが歌う 愛を
ゆっくりと、音とともに時間が夜が溶けて
「
わたしのラガに併せて、エミリアが踊りながら歌う。
「だから エミリアは歌う RIRAとの
この時間が、とんでもなく楽しかった。
「お利口だ
ゴンフィンガーを、掲げて笑う。
わたしが歌えば、エミリアが応えてくれる。
エミリアが歌えば、わたしが笑顔になれた。
ずっと、この時間に浸っていたかった。
夜は嫌いだったが、朝なんてきて欲しくなかった。
朝になれば、わたしは旅立たなければいけない。
聖女に戻らなければならない。
そんなのは、
わたしは、聖女なんかになりたくない。
明日の朝、わたしは巡礼の旅に出る。
あらかじめ、決められていたことだった。
二十歳の誕生日を迎えると、わたしの瞳に宿る
瞳のなかの月が、やがて満ちて、満月から新月へと変わる。そうなるまでに、聖地に聖杯を捧げなければ世界は滅びると言われている。それができるのは、聖女で
――だから、どうした。
そう言ってやりたかった。
どうして、わたしが世界を救ってやらなければいけないんだ。
マジで、ふざけんな。
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