第零話桜並木

さくらの花言葉って知ってる?」


「え……知らない」


「キーンコーンカーンコーン」


小学校の始業の鐘が鳴り響く


「今度教えるね」


「うん。走るぞ桜」


そう言って葉は私の手を引いて走りだした。

桜咲く桜並木を





♢♢♢




「お前の髪の色変なんだよ。ブス」


私は同い年の男の子達にいつもイジメられていた。

周りと違う私は異物だった。出る杭は打たれる、 

周りと違う事はイジメられる原因になる。

だから、私は周りと馴染めない自分の髪の色

が好きになれなかった。

でも……本当は大人達が私にだけは優しくするのが

皆気に入らないとは、気づいていた 


「お前らやめろ!桜をイジメる奴は許さない」 


ようが来た、逃げろ」


「ありがとう葉」


「桜も泣いてないでやり返せ」


いじめられて居るといつも葉が助けてくれた。

葉は家が近所の幼馴染だ。

私の両親と葉の両親も昔からの友達らしく

そのおかげか葉は私に優しくしてくれる


「でも……暴力はダメだよ」


「俺も本当は喧嘩したくないから、逃げるか言い返したりしてくれ」


「ごめん……」


「早く帰ろうぜ」 


帰り道、夕日に当たって輝いてる葉は

本当にカッコよくて、葉自体が輝いている様だった


葉は私にとってのヒーローだった


♢♢♢


家に帰ると父が居た

いつもは仕事で家にいる事があまりないのに

珍しく思えた


「ただいま」


「あぁ、おかえり」


父が深刻そうな顔をしていた

いつも笑って居る父が珍しく思えた


「何かあったの?」


「桜も明日で六歳か……大事な話があるんだ」


父は泣きながら私に話した

私はそこで何故今まで大人達が私にだけは

優しくしてくれるのか本当の理由が分かった

私はその場に居たくなく、逃げ出した

いつも嫌な事があると行く公園に走っていた

その公園のブランコに乗って見る風景が好きだった

街全体が見えて私の出来事なんて小さな事に思える


「――私いつまで生きられるんだろう」


「桜探したぞ!」


息を切らした葉が目の前に立っていた


「――どうして?」


「おじさんから桜が見つからないって聞いて」


見つけてくれた嬉しさからなのか、悲しさからなのか分からないが涙が止まらなかった


「葉私大人になるまで生きられないかも……」


さっき聞いた話を葉にも話した。


「だったら俺が助けてやるよ」


その言葉が嬉しかった




――数日後――


葉は私だけのヒーローでは無く。

日本国民全員のヒーローになった

葉は日本を守る為この世界から消えてしまった


「葉私を忘れないで……」




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