【episode6-新たな季節】


夏の間、涙を流し続けた沙楽さらが2学期に登校すると、そこに魁人かいとの姿はなかった。



待てど暮らせど彼の背中を見る機会は訪れず、やがて新しい恋が始まった。




新たな恋は沙楽の心を柔らかく穏やかにする。


魁人と過ごした甘く激しい恋愛とは違い、高校生らしく優しい恋だった。




沙楽の顔に笑顔が戻ってきた矢先のことである。




「沙楽!」




文化祭に突然魁人が現れた。


新しくお付き合いをはじめた彼と廊下で話していた沙楽の肩を強引に抱き寄せ携帯電話で写真を撮ると、繋いだ手を引き寄せる。




そのまま、お化け屋敷の迷路に忍び込むと、懐かしい感触が沙楽の唇を塞いだ。


繋いだ手が熱を帯びた瞬間、魁人は沙楽の手を振り解き、大好きだった背中を見せながら去って行った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る