第22話 黒から青へ
「疲れた……」
休暇が終わり士官学校に行けば、休暇前と余り変わらない時間が流れる。
通常、士官学校通う者は寮への入寮が義務付けされているが、申請さえ通れば屋敷から通うことが許可されている。
見慣れた屋敷に見慣れた玄関。
だがここで変わったことを挙げるなら、ここは家の離れだと言うこと。
そして彼の出迎えがあることだろうな。
「おかえりレオ。今日もお疲れ様」
「ただいま、エディ」
ここに帰ってくれば、甘くて優しい俺の
両親と話て、条件付きだがこの別館にエディと二人で住んでいる。
「帰りに少し寄ってきたが、子供達もみんな元気だったぞ」
「良かった。ディーノさんに感謝しないと」
元々エディが居た教会は、今は父の秘書だったディーノがエディの代わりのような役割をしている。
子供好きで身体の都合上退職を考えていた彼にはもってこいの環境だった。
まぁ何より父がそう簡単に彼を手放すわけがない。
家のことに詳しい彼を狙う輩が出てこないとも限らないしな。
目の届きやすい所に居てほしいのが父の本音だろう。
「そうだエディ。明日合わせたい奴がいるんだが、ここに呼んでもいいか?」
「俺は別に良いけど……会わせたい奴?」
「俺の数少ない友人の一人だ」
エディと出会って俺は変われた。
糞みたいな士官学校で、相変わらずすり寄ってくる奴らはいるが、面白い奴らと出会えた。
『前までのアンタはつまらなさそうだった。何にも興味なさそうで何も見てないみたいだったけど、今のアンタは凄く楽しそうで面白そう』
『前よりいい顔してますよ。
面白いことをするなら、私も呼んでくださいね?』
彼らと出会えたのも俺が変われたのも、どれも全てエディのおかげだ。
だから、アイツの事も救ってやってほしい。
俺だけでは駄目だった。
何も知らず、何も見えていなかった俺だけでは救ってやることができない。
だがエディと共になら、殻の中に閉じこもり独り蹲るアイツを救えるんじゃないかと思うんだ。
自身を鎖で縛って、苦しくても笑うアイツを救えると思うんだ。
「一緒に行くぞ、エディ」
「ん?
よく分かんないけど、俺はレオについてくよ」
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