ねむりのひつじ
眠れない夜には、羊を数える。ひつじが一匹、と心のなかで数え始めると、小さな声でめえ、と鳴いて枕元に現れる。そしてもぞもぞ潜り込んでくるのだ。二匹、三匹、と数えるたびに羊はめえめえ鳴きながら布団に頭を突っ込んでいく。五匹にもなると正直布団はぱんぱんだ。これ以上数えられないじゃないか、と思うのだけども、その頃には布団の中は羊達でほこほこに温かく、瞼が重くなる。ふわふわ、気持ちいい。羊の毛の柔らかさに顔を埋めると、意識がふ、と沈む。そのまま眠りの中に包まれるのだ。
朝になると、羊達は布団の中から一匹残らず居なくなっている。少しだけ寂しく思いながら、ゆっくり起き上がり、背伸びをする。ひなたの匂いを微かに残し、羊達は朝の草原へ。私は、コンクリートジャングルへ。それぞれの朝から、旅立っていく。
また、夜にはここに帰っておいで。私の可愛い眠りの羊達よ。
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