第12回 ブロッサムのキャラクター(超存在編3 ガイア)

「ブロッサム」シリーズに関する記事です。

メインストーリーが完結し、ファイナルエピソード内で超存在ガイアについて掘り下げることができました。今回は超存在ガイア情報の特集回です。

ガイアのバックボーンではこれまで挑戦してこなかったファンタジー風世界観をいちから構築して想像を膨らませていきました。設定の一部をご紹介いたします。

※「ファイナルエピソード」までのネタバレがあるのでご注意ください!※


イル

超存在ガイアを司る導き手。大魔道士であり、強大な魔力と豊富な知識を持つ存在です。海辺の別荘を拠点とし、隠れて虎視眈々と世界の征服を狙うタイプのラスボスでした。三人の超存在にはそれぞれのラスボス像があり、この人が一番王道のロールプレイングゲームにいそうなラスボスだったと思います。

超存在の中には膨大な情報が眠っていて、メテオライトと同じようにガイアの中にも吸収した世界がいくつもあります。イルが生まれたファンタジー世界もこの中にまだ存在しています。

奇しくもイルの出身世界は一九〇〇年の前後であり、ブロッサムアースに降り立った時期と技術レベルが似ていました。イルが巡ってきた世界はそのくらいの世界が多かったという設定です。どの世界もイルの到着と同時に技術や人口が管理され、一種のディストピアと化してきました。

イルはカナレイカで百年封印され、目覚めた時に初めて情報化社会を目にしたということに。ディズという友達がいなければ順応に戸惑ったかもしれません。

アレックスという女子大生の体を借りて動画クリエイターをやっていますが、体は固定ではありません。生まれ持った姿はアレックスとすごくよく似た感じの人なので、アレックスの肉体と親和性が高い。能力は持ってる体に少し依存するので、アレックスのあまり優秀でない身体能力や注意力不足を受け継いでいます。


ヨハンナ・キルシュ

イルの幼馴染で同じ出身世界の女騎士。イルが没落寸前の田舎貴族だとするならキルシュ家は少しの武勲で下位の貴族になった底辺貴族でした。皇族の血をひいているだけのイルとは少し身分が違うはずが、二人の関係は良好でした。

何歳まで昆虫採集や木登りをしていたのかわかりませんが、なかなか活発というかやんちゃな性格だったようです。このあたりは魚雷のように森に遊びに行った幼少期のグレイスと少し近い気もします。

十代に突入する頃には女性にすごくモテるようになっていましたが、剣術にしか興味がなく周囲につんけんしている子でした。女の子に興味がなかった理由はイルの存在があったことも大きく、明確に意識していましたが、本人に自覚はなくどんくさくて気になる幼馴染という扱いを変えることはありませんでした。イルがいじめられているとすぐ助けに入っていましたが、それが原因でイルがいじめられていたこともあった(ヨハンナが好きな子たちに)かも?

余談ですが、キルシュは桃を意味する言葉です。イルが活動時に名乗っている「サイダー」に炭酸という意味があるのは和製の使い方で、本来は炭酸入りもそうでないものも含むアップルジュース(シードル)のことだそうです。二人のちょっとしたつながりを示すネーミングでした。


ガイア世界の情勢

・帝国

皇族を中心としていくつもの領邦が集まってできた連邦国家でした。産業革命に遅れをとっていることに危機感があり、統一の機運が高まっていた時期にイルは生まれました。

イルによって近代化と逆行する魔法による武装が提案され、それを受け入れて軍縮を計画していました。しかしそんな時、イルの暗殺未遂事件が。無二の友人であるヨハンナも死亡。暴走したイルによってあっという間に国を支配され、以後は永久に続く荊棘による支配を受けました。

これ以後、ガイア地球では技術や通信の発展は危険なものとして禁じられ、低い技術レベルのまま人類が存続していくことに。魔法に対抗する手段を摘み取ることが主な目的でしたが、人口の肥大化による資源不足を防ぐ効果もありました。この方法で、以降イルが統治する世界は安定していきます。

・レイク王国

帝国と海を隔てて存在した王国。いち早く産業革命を成功させて近代化を果たした最初の国家でした。商人が裕福になる一方で貴族が没落していく時代を迎えていました。

歴史的にも潜在的にも帝国の敵になりうる存在でしたが、イルの時代には技術者を呼んで鉄道を作らせるなど水面下での協力が見られました。大陸の戦乱には直接関与しなかったもののイルが率いる帝国には勝ち目がなく、後に降伏し占領されています。

・アンビシオン

帝国の隣国。革命で王家が滅ぼされ、その後は恐怖政治に傾倒していきました。多民族国家となったために治安が悪化したことも内情悪化に拍車をかけ、あらゆる手を使って周辺国の情勢を揺さぶり、略奪の口実となる戦乱を引き起こそうとしていました。

帝国が魔法に手を出したという情報を掴むといち早くスパイに横流しさせ、大陸を混乱に陥れる原因になりました。しかしイルが皇帝になってから政権は壊滅させられてしまいます。


ここからはイルの憑依対象シリーズ。肉体を持たない星鏡であったイルは、ブロッサムアースの中だけでも様々な人間の体を借りて活動していました。


入弓津いるくつ佳耶子かやこ

日本支部でイルが使用していた肉体の持ち主。長いストレートの髪と口元のほくろが特徴の妖艶な日本人女性です。

その正体はガイア教の信者。カナレイカの歴史研究と動画を見ただけでフェブラーリーサイダーケーキ=イルという結論を導き出して匿名のメッセージを送った強者でした。

荊棘の真実を知っていたかは定かではありませんが、資質者でありGLDを使うことができました。そんなことよりもこの人の特徴はイルの熱狂的なファンということであり、正体を見破ったからといってイルを脅迫したり手に入れようという気は一切ありませんでした。

東京でイルが必要とした時には二つ返事でOKし、記憶の改竄にも快く応じるという頭のネジが外れた人です。本名は特に設定していません。


シェラ

劇中で描写はありませんが、イルはシェラの肉体を使って活動することもあったようです。シェラは合衆国のアンダーグラウンドな人脈を持っていたため、その方面で役立ったかもしれません。シュエット関連のコネクションもわずかながらあったので、ノストークの傭兵関連の計画に関わる時はこの姿を利用していたかもしれません。もちろん、そのあたりの行動にはシェラの了承をとっていました。

シェラはシュエットの傍系にあたる家の出で、ドイツ系のカナレイカ人でした。召喚魔法の研究を危険視されて追放され、合衆国でも命を狙われパトロンを必要としていました。

アリーの母をパトロンとし親密な関係を迫られていましたが、シェラは娘のアリーがかわいくてそっちの育成に生きがいを見出していたようです。

劇中では明確にシェラだけが狙われるシーンというのはありませんでしたが、彼女の命を狙っていたであろうシュエット家=アルマはライトハンド系マフィアとの接点があったので、それとなく居場所を探らせ監視していた可能性はあります。


フェンヤ

フェンヤに憑依した経験があるかは不明ですが、もしかしたらあるかもしれません。当時のイルはたやすく魔土から肉体を作ることができたので憑依の必要はなかったはずですが、フェンヤに何らかの行動をさせるべく体を使ったことがあるかもしれません。

たとえば、最初のうちはイルを警戒してなかなか食事をとらなかったフェンヤに憑依して食事をとらせたり……余計に警戒されそうな気もしますが、そういう少しだけ不器用な愛情はイルっぽい気がします。


(ガイアまとめ・終わり)

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「レムリア」「ブロッサム」作品について設定や制作を語る場 枯木紗世 @vader

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