第11回(前編) あとがき 1/2
ブロッサムは、三つの作品を同時に執筆しているような大変さがありました。必要な文章量が果てしなく思えていたのは、グレイス編を書き終えた二年以上前のこと。重労働の手応えを感じていました。
ついに今日、長かったメインストーリーを完結させることができました。
処女作である「レムリア」の時は試行錯誤の連続でした。ですが、あの作品でした苦労が活かせたと思います。面白い話を作る方法はまだ勉強中ですが、完成させる方法は作れたのだと思います。
そして、ここまで書いてこられたのは読者の方々のおかげでした。お世辞や綺麗事で言ってるのではなく、みなさんの反応のおかげでくじけずに済みました。ありがとうございました!
あとがきで書きたいことが多かったので二回に分割しようと思います。あとがき後編ではブロッサムの今後の展開についてと、エピローグ後の超存在たちの行く末について少しだけお話したいと思います。
この前編は、ブロッサムに関するこぼれ話を二つ紹介して終わろうと思います。
■幻のエンディング
ブロッサムのエンディングは、三人の超存在が手を組み終わるというものでした。これ以外にも終わりかたのアイデアはいくつか存在していました。
そのうちの一つが、「柩完全黒幕エンド」でした。結構暗めの終わり方で、早い段階でボツにしたものです。それは以下のような内容でした。
深淵の暗躍が終わり、世界に平和が訪れた。カウンターであるグレイスは新たな超存在として覚醒し、ブロッサムには平和が訪れる。
だが、突然ブロッサム世界は消滅する。それは柩が行ったことであった。
「これできみという存在は完成した。きみこそが、この混沌の宇宙を救う光だ」
グレイスはこのブロッサム世界が、ガイアが、シリウスが、全て柩の作った筋書きの通りに動いていたものだと知らされる。
世界を収集し続けた柩は、その世界を組み合わせてブロッサムを作った。そこには、脅威となる「超存在」も設置された。この世界は現実でありながら、全てが虚構であった。
目的は完全な存在を作るため。柩はグレイスから記憶を奪う。まっさらで完璧な超存在として完成させ、この宇宙へと解き放つ……。
あまりにも救いがないというか、面白いかなぁという内容でした。レムリアから続くシリーズへの愛着もあったのでこのアイデアは無しになりました。この名残というわけではないですが、柩は占星術を使う策略家という立ち位置です。
■ブロッサム世界、女子校から生まれた説
クラスターコアは滅びる前の宇宙の東京、その他いくつかの大都市から生まれました。エイリと桜が同級生だったように、生まれ直した宇宙の中で比較的近傍にいたガイアやシリウスも東京にいた誰かの末裔である可能性があります。クラスターコアは宇宙全体に散らばっているので、メテオシリウスガイアブロッサムあたりは宇宙全体から見れば結構近所だからです。
「レムリア」の時、実は叙述トリックのような方法を使っていて、劇中「彼」「彼ら」という語を出さないことで「ここは実は単一性の世界ではないか」という可能性を含ませていました。前にこの話はしたことがあるかもしれません。桜は女性しか好きにならない女性だったという設定もあります。
ここからが本題です。実はブロッサムも同様の仕掛けを使って、「メテオ、シリウス、ガイア、ブロッサムのクラスターコアは東京に存在した女子校の同じクラスの女の子から作られている」というのをやろうとしていました。
その設定がボツになったかといえばちょっと捨てがたいと思っています。もしかするとクラスターコアが知識から役割を再現しただけで、ブロッサムに登場してきた世界は単一性の世界だったのかも……と考えるのもちょっと楽しいです。
作者は「同じもしくは似た相手に惹かれる話」が好きなので、こういう話が作りやすいのかもしれません。
これは余談ですが、レムリア世界の生物が単一性でどう繁殖するかについても設定を考えてありました。
特殊な植物の木の実で遺伝子を交換して受胎する、というもので、科学技術が未発達でも単一性で繁殖できる世界観というアイデアでした。シュエットのCロットがこの技術を応用して作られたという話を入れようとしていましたが、結局は書かなかったのでここで触れておきます。
(あとがき後編に続く)
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