宗教も見直す時代?宗教の代理店

 世界にはさまざまな宗教が存在する、キリスト教やイスラム教、仏教、ヒンズー教などグローバルなものから、土着のローカルなものまで多様に存在する。日本に目を向けても、例えば仏教と言っても宗派が無数に存在していて、どこがどう違うのかさっぱりわからない。終いにはウチはなんていう宗派かもよくわからない有り様だ。


 新興宗教などへの入信の場合を除き、おおよその人は、家が代々信仰してきた、宗教をひきつぐことになる。その教義の良し悪しなんてほとんどの人が考えもしないし、自分向きなのどうかも良く考えもしないだろう。

 

 以前、会社の仲の良い先輩から酒の席で「実は俺んち、ロシア正教やねん」と告白された事がある。その先輩のコテコテの日本人のオヤジ感と相まって、一同、大爆笑だった。お墓の形やお葬式の形態など色々聞くと面白い。エクソシストなんかも実在するらしい。だが、宗教について、そんなふうに明るく会話できる事例は意外と少なく、ほとんどの場合、友人同士でもタブー視されがちである。

 

 世界に目を向けても、心の安らぎを得るはずの宗教が互いにいがみ合い、争いの引き鉄にすらかわっている。日本でも、宗教は莫大な組織力をもち広大な土地を占有し、一部宗教が政治にまで影響力をもっている。


 こんなに、強大な影響力を有しているのに、個人に振り返って考えると、受動的に受け入れているだけで、あえて知ろうともしない。一度、宗教との向き合い方を一度見直しても良いのではないだろうかと考えてみたが、ひとつの宗教でも教義は膨大だ。

もっとも有名な教義である、キリスト教の聖書でさえ辞典並みの厚さである。

 

 この教義を、片っ端から読んで比較検討する時間など我々には到底無い。何か良い方法はないものか。


 ここで、僕はまた空想する。


 宗教の代理店はどうだろうか。保険も旅行も膨大な中からライフスタイルに合わせて代理店がセレクトしてくれる。宗教もライフスタイルにあわせて選ぶ時代がやってくるのではないか。


 ひとつの宗教に詳しいスペシャリストではなく、すべての宗教を周知しリコメンドできる、宗教アドバイザーを育成する。

 

 それぞれの宗教の教義を簡単な映像や冊子にまとめる。お金のことや活動の負担度合いなどはグラフがされている。代理店で取り扱うからにはもちろん審査もする。一定基準を満たさない宗教はリコメンドしない。安心してご入信いただくシステムを構築するのだ。


 神社神道と浄土真宗のセットパックなどが日本人には人気のメニューとなるだろう。


 一度見直すことで、個人の信仰は深まるはずだ。現代、一般的に宗教離れは加速している。このサービスを通じて宗教と一般生活者の絆を再度つなぐことは宗教にとってもメリットがあるのではないだろうか。






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空想出店計画 郭廉讎 @kakulensyu

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