第53話 あぶない同級会

阪下

「お前はいるのか?

 好きな女?」


     一朗太

     「想像に任せるよ。」


谷口

「ははーん、居ないな。

俺達に任せろ。

 楽しみにしとけよ。


「お前ら、ほっておいたら

ピュアなままだな。

美音も絶対一朗太の事

 好きだぞ。」


      谷口

     「男らしくきめろよ。

      じゃあ12日な!」


相変わらずの親友達は元気だった。

美音が…来る。


美音・・・


久し振りに一朗太の胸が

高鳴った。




俺と美音は大学の時皆に内緒で

付き合っていた。

皆に内緒なのは全員が美音に

惚れていたからだ。


バイト先も同じにした。

しかし就職が決まり

お互い疎遠になり

最後に電話したとき


     「ごめんなさい。」

そう言われた。

別れの言葉と受け取って俺たちの

付き合いは終わった。


あれから10年か…。



「…太、一朗太!!」


     「ん、美奈どした?。」


「さっきから今日の感想きいてる

のに!!うわの空だし。」


「ああ、ゴメンゴメン!

 あまりに美味しいからさ

 ぼーっとしちゃったよ。

 風呂入ろ!!

 そうだ、来週は来なくていいって

 清代に、電話しとくよ。」



「うん。え、一朗太まだ残ってるよ!」


一朗太は、又ぼーっとして風呂に

一時間半くらいはいっていた。

        女子高生カヨ


そして12月12日

一朗太はスーツを新調しロレッ○○

の腕時計をはめ、何故か美奈に

気づかれないように指輪を外し

何回も鏡を覗いて、タクシーに

乗り込み出て行った。


指輪は一朗太の机の引出しに

入っていた。



「まあ、坊ちゃんが同窓会?

美奈様駄目ですよ。

あれが一番あぶないのですから。


おーやだやだ。

もし、いつもと違ったら

すぐ喜代に

お話くださいませよ!

お説教いたします。


美奈様、指輪だけ気をつけ

あそばせ。遊びに行くとき☝

とか、お友達と飲みに行く時とか

絶対つけている事をお約束

させないと、いいですね。

同窓会、同級会!!危ない危ない⚠️」


 「は、はい。

  一朗太に限って大丈夫っすよ。」


そんな先週の喜代さんとの会話が

甦る。


喜代さんは美奈を嫌っていた

んじゃ?なのにどうした事だろう。




 「おう一朗太ー。」


キョロキョロしていると、

ガタイがいいくせに

ベビーフェイスの谷口が

手をふる。

俺も軽く手をあげた。


それが合図のように親友達が

集まった。

相変わらずのイケメンの坂下は

ショートウルフの髪型でまだまだ

20代に見える。

田中はオールバックで決め大人の

雰囲気漏れ漏れ。


俺は軽くパーマをかけ紺色のスーツ!

俺たちは何時もモテていた。



「おーマドンナのお出ましだ!。」

田中が叫ぶ先には、

栗色のストレートの、長い髪を

揺らしワインカラーの

膝ギリギリの少し胸の開いた

ワンピースで白の薄い

シヨールを、羽織った美音が

俺達の方へ真っ直ぐ歩いて

きた。

ドキドキ


目は大きな切れ長で唇は誘うよう

に光っている。肌は相変わらず白くあの背中に自分は顔を埋め何度も

何度も抱き合った。


そんな遠い思い出が昨日の事の

ように蘇る。


俺は美音に釘付けになった。

彼女が俺を見て


「一朗太、久し振りね。」

そんな会話から始まり美音と俺

は、二次会3次会と一緒にいた。

まるで学生に帰ったような

懐かしさ、俺達はカラオケも

楽しんだ。

遠く過ぎ去ったあの日のように。


美音と連絡先交換してその日は

別れた。


帰りついたマンションには

誰もいなかった、とりあえず寝た。


その夜美奈がコッソリ

マンションに来たことも知らず

眠っていた。

美奈は確かめたい事があった。

どうしても

一郎太が指輪を引き出しに隠し

同窓会に行く理由が

知りたかった。




 














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