第18話 毛倡妓
~
これは、僕が数年前に性風俗店に
幼少より一度だってモテた事が無かった僕は、当然二十歳をとうに越えてからも、性経験のない男だった。なので、結局は手っ取り早いソープランドと言う道を選択してしまう。又、知り合いには見られたくないって羞恥心から、
事前のネット指名にて、無事にお店の人気ナンバーワン・コンパニオンの予約も取る事ができ、
しかし、いざお店に到着するや否や、緊張・緊迫感が一気に押し寄せてきたのである。
そんな有り様ではあるが、受付で入浴料+サービス料を支払うと、暫し待合室で待機→お店のスタッフに呼ばれ、店内設置のエレベーター前へ→自動ドアが開くと、ここで僕のお相手のソープ嬢と初対面し、彼女に手を引かれながら個室プレイルームに移動と、ここまでは実にスムーズな流れであったのだ。
さあれども、やっぱし可成りテンパっていた僕は、お部屋に入室しての開口一番「じ、じ、じ、自分はチェリーボーイなんです! お、お、おお、御手柔らかに願います!!」と、いきなり
思いも寄らなかった僕のアクションに、一瞬だけきょとんとした彼女であったが、直ぐに小悪魔っぽい笑みを浮かべつつ「じゃあ、
僕が遣らかした
そうして営みを終えた直後に、彼女は僕を優しくぎゅっと抱きしめてくれて、同時に「童貞卒業おめでとう」と耳元で囁いてくれた。正直な所、これなる彼女の慈愛に満ちた
とは言え、
幾度となくお店に訪れる内に彼女との信頼関係は増し、この僕が遠方から時間を掛けて来店してくれていると言う事もあって、彼女の仕事終わりには一緒に食事に行くのが定例となった。まあ、流石に彼女の住まいまでは教えてくれなかったが。
そうやってあっと言う間に一年の月日が流れ去り、僕は
それから程なくして、僕の携帯電話に彼女からのメール着信が有り「借金の返済を終えたので、もう風俗業界から引退します。これからは本当にやりたかった事である、保育士を目指して頑張ります」との内容であった。
なるほど、そう言う事か。これであの包み込む様な彼女の暖か味に説明が付く。それに彼女曰く、自分は兎角人と接する仕事が好きだとも、以前僕に語っていたっけか。うむ、そんな彼女が保母さんになったとすれば、きっとお子さん達からも物凄く懐かれる事であろうな。
それと、これは風俗あるあるなのだが、大抵の風俗嬢は、お店を辞めた途端に連絡が取れなくなる。彼女も例に漏れず、先のメールを最後に返信も出来なかったし、電話も繋がらなくなっていた。
それで僕はと言えば、それからも暫くは別の女の子達に
そう、僕は彼女の事を只の性欲処理の相手としてではなく、一人の異性として、本気で好きになっていたのである。
その後は何だか無性に空しくなり、その内に風俗店通いも一切断つ事となった。
さて、あれから随分と時は経ち、まさかの僕も奇跡的に真っ当な恋愛をする機会に恵まれた。しかも、その折のお相手と結婚にまで漕ぎ着ける事が出来たのである。今では可愛らしい奥さんと二人の子供にも恵まれて、平凡ながらも幸せな毎日を送っている。
そんなある日の事、僕の携帯に、件名が「ご無沙汰しております」とのメールが届いた。あのお店の彼女だった。
僕はアドレスの変更を全くしていなかったので、彼女の方も完全には削除していなかったのかと、ちょっぴり嬉しい気持ちになった。
メールには画像が二枚添付されていて、一枚目は楽しげな様子で一人居る彼女の写真だ。
そうして二枚目には、沢山の
ああ、彼女は夢を叶えたのだな。これぞ、お互い絵に描いた様なハッピーエンドってやつじゃないか。
そして、メールの本文にはこう書かれている。
あの頃、避妊をせずに生で中出しエッチを許したのは君だけ。全員あなたの子よ。認知して。
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