第17話 からかさ小僧

 ~からかさ小僧……日本の妖怪の一種で、傘(からかさ)の妖怪。から傘おばけ、傘おばけ、傘化かさばけ、一本足(いっぽんあし)、からかさ一本足いっぽんあし、おばけかさなどとも呼ばれる。江戸時代以後に作られた草双紙やおもちゃ絵、かるた(『お化けかるた』など)歌舞伎に姿が見られるほか、明治・大正時代以後も玩具や子供向けの妖怪関連の書籍、お化け屋敷の演出、映画などに見られる。一つ目の付いた傘が一本足で飛び跳ねる姿が一般的に描写される。傘から2本の腕が伸びていることや、目が2つのこともあり、長い舌を伸ばしていることもある。2本足で描かれている例もある(狩野宴信『百鬼夜行図巻』など)。室町時代以後、『百鬼夜行絵巻』に数多くの無生物・器物の妖怪が登場している中、著名な妖怪として伝えられているのは傘の妖怪のみと見られており、器物の妖怪の中で最も知られたものであるともいえる。※フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋~


 ビニール傘をお店の傘立てに預けた際に、何者かに盗まれてしまったと言う経験がある人は多いと思う。


 僕だってその一人で、何度か計り知れない。


 無論、間違えて持って行ってしまった場合もあるだろうが、殆どの場合は確信犯らしいのだ。


 驚くべきことに、傘を盗む奴の心理ってのは、全然悪気が無いのが大概だと言う。しかも、それがビニール傘だった場合、「別にいいじゃん」ってな軽い感覚らしい。


 ……信じられない。


 全くもって怪しからん。真剣に巫山戯ふざけるなと声を大にして言いたい。例えビニール傘とて、窃盗罪と言う立派な犯罪じゃい。


 よし、決めたぞ。この不幸な負の連鎖は、即刻断ち切らねばならない。


 僕はある雨の日に、某お店の傘置き場に自身の傘をおとりとして仕掛け、盗人ぬすびとを待ち伏せる事にしたのだ。


 おおっと、そうしていたら、早速僕のビニール傘に手を付ける輩が馳せ参じましたぜ。


 正に言葉通り手癖が悪いその賊を懲らしめるべく、僕は力一杯、鋭利ななたで斬り付けてやった。


 なあに、別にいいじゃん。たかが片眼を失明するぐらい。

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