第15話 足まがり

 ~足まがり……四国地方の香川県高松市や大川郡石田村(現・さぬき市)などに伝承される妖怪で、狐狸のたぐいという説が強いが、その姿は決して見ることはできない。「まがり」とは方言で「まとわりつく」の意。足にまとわりつき、通行人を転ばせることから足まがりと呼ばれるようになった。人が道を歩いていると、いきなり綿のようなものを絡み付けてきて歩く邪魔をするといわれる。また、絡み付かれて驚いて触ると綿のようなものであったとも、尻尾のような物であったともいわれる。※フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋~


 出会い系アプリで知り合った女と、本日初めて対面する。正直セックスさえ出来れば誰でも良くって、その中でこの女をチョイスしたに過ぎない。


 この女は子供の頃から足が悪いらしく、その所為せいで交際する男共も直ぐに離れていってしまい、長続きしないのだと。


 だが、俺はその点ノープロブレム。


 俺は所謂いわゆる欠損フェチと言う特殊性癖の持ち主で、何ならこの女が義足とかだったりすると、俺的にはより一層興奮するので期待大である。


 んで、女と落ち合う場所ってのが、ダイレクトにラブホテルと来たもんだ。けっ、全く助平な女だぜ。


 くだんの女はサプライズで俺を喜ばせたいからってな理由で先にチェックインし、俺にはその後にフロントで鍵を受け取ってから来てくれとの事。この場所は女が頻繁に利用している施設なので、ホテル側も事情は全て承知しているらしい。


 ふむ、俺も時々デリバリーヘルスを利用するのだが、デリヘル嬢をホテルに呼ぶ場合は客の方側が待っているのが主流なのだ。今回は完全に真逆な訳だが、ま、こう言うのも偶には新鮮で良いもんだ。


 女の言う通り、途中で足止めを食らう様な事も無く、俺は女の居るルーム前に辿り着いた。


 俺が入室すると行き成り正面に、SMの女王様ルック宜しく、セクシーなボンデージ姿の女が、仁王立ちで待ち構えていた。


 こ、これはエロい! いやもう、何ともはや、見事に長く美しい御御足おみあしで……って、この女は足が悪い筈だよな? 近くに杖や車椅子も見当たらないし、自分の足でしっかり立っていやがるじゃねーか。


 そう思った瞬間に、俺は女の凄まじい一蹴りをあごに食らい、そのまま仰向けにぶっ倒れてしまった。


 続けて女はこう言う。


「うふふ、私は足技のある格闘技全般を修得していて、昔から誰彼構だれかれかまわず人を痛め付けたくなっちゃうの。悪い足で御免ね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る