第6話 狐の嫁入り
~狐の嫁入り……日本の本州・四国・九州に伝わる怪異。「狐の嫁入り」といわれるものには、昭和中期頃までの嫁入り行列の提灯の群れを思わせる夜間の無数の怪火、俗にいう天気雨、古典の怪談、随筆、伝説などに見られる異様な嫁入り行列などがある。関東地方、中部地方、近畿地方、中国地方、四国、九州など、日本各地で天気雨のことを「狐の嫁入り」と呼ぶ。天気雨をこう呼ぶのは、晴れていても雨が降るという嘘のような状態を、何かに化かされているような感覚を感じて呼んだものと考えられており、かつてキツネには妖怪のような不思議な力があるといわれていたことから、キツネの仕業と見なして「狐の嫁入り」と呼んだともいう。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋~
片親のみの家庭だったからか、母さんは早く孫の顔を見たかったらしく、昔から積極的にお嫁さんの話をしていた。
僕が保育園の頃。
――あなたは、丸で
「うん、僕、お姫様をお嫁さんにするね」
僕が小学生の頃。
――あなたは、前にクラスメイトの
「うん、僕、誰某ちゃんをお嫁さんにするね」
僕が中学生の頃。
――あなたは、いつまで経ってもいい人が出来ないわね? でも心配ないわ? その内に運命の人と出会えるわよ?
「……う、うん、僕、運命の人をお嫁さんにするね……」
僕が高校生の頃。
――あなたは、とうとう義務教育の期間中に恋人を作らなかったわね? と言うかそれ以前に、あなたにやる気が感じられないのだけれど? 真剣にお嫁さん候補を探しているのかしら?
「いや、大学受験も控えているし、色恋沙汰なんて二の次だって」
僕が大学生の頃。
――あなたは、今付き合っている彼女が居たわよね? 当の然、あの子と結婚をするのよね? 嗚呼、ついにお嫁さんを迎えられるのね?
「いや、彼女とはとっくに別れたよ。てか、就活で手いっぱいで、今はそれどころじゃないよ」
僕が新入社員の頃。
――あなたは、仕事を頑張り過ぎだと思うのよ? 無理して過労死なんて結末は嫌よ? 所で、あなたの会社で、お嫁さんになれそうな人は居たのかしら?
「いや、覚えることが多くって、彼女とか暫く出来て無いし、もういいや」
僕が社会人十年目の頃。てか、現在。
――あなたは、母さんの事を裏切るの? ねぇ、何時になったらお嫁さんが来てくれるのかしら? 早く孫を見て安心したいのよ? 何なら母さんと交尾して子供でも作る? ねぇねぇ、お嫁さんは? お嫁さんは? お嫁さんは?
「あぁ、もう! いい加減にしてくれ! 異常だよ! 狂ってる! 僕に気を遣ってくれていたのは分かるけれども、もう女装とか勘弁してよ、父さん!」
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