マグナと初詣1
2018年、冬。深夜12時を回り、我が家にも新年がやってきた。年始の挨拶は以下の通りである。
「明けましておめでとう」
『明けましたって、何も良いことなんてないじゃない』
『空けたら閉めようっ!』
何ともだらしがないことか。これは家長である者のケジメがしっかりと出来ていない何よりの証拠であり、家長とは俺であり、要すれば俺がだらしないということになってしまう。
ちゃんと挨拶したのにである。
『ねぇオーナー! お年玉頂戴ッ!』
「そういうのはちゃんと挨拶出来てからだ」
『おめでとう! おめでとう! おめでとうッ!』
「流れ星か?」
『マグナ、期待するだけ無駄よ。この人去年ビー玉床に落として「お年玉、お年玉!」って喜んでたのよ? 冬眠中の私を起こして・・・・・・信じられる?』
『あははッ、ダサいねソレ!』
「・・・・・・」
確かにやった。確かにやりはしたが、半ば冗談半分にであり、ロッティ(SR400)の見せる演技には悪意が感じられた。
マグナ(マグナ50)もマグナで嬉々としてロッティの真似をしてみせるのである。
「お前ら・・・・・・」
どうもここ最近、オーナーに対する敬意というものが著しく欠けているようで、二人には『おしおき』が必要であると感じた。
『おしおき』と言っても、外装をすべて剥き払い、隅々の隅々まで車体を泡まみれにして洗浄してやったりだとか、ハイオクの給油ノズルを奥まで突っ込んで、タンクが一杯になるまで波々注いだりとかではない、断じてない。
そもそも、そんなことをしても二人は喜ぶばかりである。
「よしっ、じゃあ今から初詣に行くから、一緒に来てくれた方にお年玉をあげることにするッ!」
我ながら名案であった。幸いなことに今年度は年越しの今まで雪が降ることはなかったのである。新春の寒稽古にご褒美、アメとムチを上手く使い分けようということだ。
『行く行く〜、アタシ行くッ!』
『私は寒いからパス』
即決であった。これでは『おしおき』でも何でも無かった。しかし、行くと口にした以上行かないわけにはいかない。
手早く身支度を整えて、俺はマグナとともに神社を目指すのであった。
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