マグナとBigLife1
2018年夏。俺はマグナ(マグナ50)修理のため、というよりか、一体どこが、どのくらい悪いのか見積もってもらうため、普段ロッティ(SR400)のメンテナンスをお願いしている隣町にある大手バイク屋支店へと足を運んでいた。
タンク下に差し込んだキーを外しマグナのエンジンを切る。
『フー・・・・・・久々だったけどエンスト無しで来られちゃったね!』
マグナは悪戯っぽく笑った。それもその筈、エンジンストールしないようにアクセルを強めに煽りながら走っていたのだ。おかげで豪華なメガホンマフラーの鼓動をより一層強く感じられた。とても原付きとは思えない迫力のサウンド、そして何より・・・・・・
脇で伸びをかますマグナの身体に横目をやる。明らかにロッティよりも大きなむね・・・・・・ではなくSR400よりも存在感のあるガソリンタンク・・・・・・測ってはいないが横幅は確実に大きいに違いない。正に「お前のような原付きが居るか!」とツッコみたくなる一台と言えよう。
『どかした?』
「い、いやっ・・・・・・にしてもあのバイク屋で空気を入れて貰えたのはラッキーだったなぁ」
『そだね!』
チューブがパンクしていなかったのも幸いであった。何とかエンジンも掛かり、バイク屋さんまで自走してくることが出来たのであった。
「いらっしゃいませ〜!」
久々に、安達さんの顔を拝んだ。彼は俺にロッティを売った、と言うよりもゴリ押しに押した張本人だった。安達さんは俺が連れているのがロッティではなくてマグナであることに気が付き嫌味ったらしい顔で耳打ちしてきた。
「おやおやぁ? 流石ですねぇ・・・・・・もうSR400では満足出来なくなって小さいのにも手を出したんですか?」
「国分町に帰れ! ・・・・・・いや、帰って下さい」
国分町とは仙台市内にある『東北最大級』の繁華街のことである。安達さんの冷やかしをいなして俺はこれまでの経緯をざっくりと説明して聞かせた。
「ふむ、まぁそういうことにしておきますか」
「であれば」とピットで作業を行っていた人員に車体の現状確認を行わせ、見積もりを摂ってくれたのだが、
「フロントフォークが一番酷いですね。修理すると25000円になります」
ピット作業員にそう告げられた。
「・・・・・・ま、マジですか?」
25000円とは想像もしていなかった。フロントフォークだけでそんなにするものなのだろうか。舌を巻いていると更に追い打ちが入った。
「あ、いや、スミマセン。パーツ代入れるのを忘れてました・・・・・・全部で30000円になります」
最早マグナの車体を引き取ったときの価格とほとんど変わらなかった。
「・・・・・・ちょ、ちょっと考えさせて下さい」
俺は待合スペースにてのんびりとソファに掛けるマグナの隣に座り、相談することにした。
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