第13話 夜になって
希和は2階の掃除をしている。
俺は持ってきた野菜やお肉で野菜炒めを作った。
希和が階段を降りてくる。
「友希さん、こんな物見つけたんですけど?」
それはアダルトDVDだった。
「それで……」
「この女の人おっぱいが大きいんだけど………友希さんは大きい人が好きなんですか?」眉を寄せ上目遣いで少し睨んだ。
「別に、俺はサイズはあまり気にしないけど」
「でもDVDは大きい人のを見るんだ…………」納得していないようだ。
「それで………」
「私………大きくないから……」
「まだ子供だからいいんじゃないか、そのうちに大きくなるかも知れないし」
「でも……大きい人のを見たいんでしょう?」
「よく見てみろよ、新品で中を開けてないだろう?そのDVDは知り合いのカメラマンさんが写真を撮ったんだ、出来が良いってサンプルをくれたんだよ、断りにくかったからここにあるんだ」
「そうなんだ、プリンさんみたいな人が好きなのかと思った」少し喜んでいる。
「それよりご飯食べるぞ」
保存用のパックのご飯をレンジで温める。
「ありがとう、友希さんの作ったご飯を食べれるの嬉しい」早速野菜炒めを一口食べた。
「…………」
「どうした?」
「友希さん……あまり味しないね……」
「そうか?」
「ちょっと貸して、調味料はどこ?」そう言って野菜炒めの入った皿を取り上げた。
「全部冷蔵庫の中」
「あっ、色々あるじゃん」そう言うと野菜炒めをフライパンに入れ、いくつかの調味料で味付けした。
「はいできました」もう一度お皿に野菜炒めを戻して前においた。
食べてみる。
「おっ!美味いじゃん、お前料理得意なのか?」
「ううん、得意じゃない、いつもお母さんが下拵えしておいてくれてるから、味付けは自分でやって一人で食べる事が多いの」
「そうなんだ」
「お母さんも味付けは希和がした方が美味しいからって言ってくれるよ」
「へー………料理の才能があるのかも知れないなあ」
「そうかなあ……でも友希さんが喜んでくれるなら料理を習おうかなあ」
「そんな一度に色々やると、全部中途半端になるぞ、コスプレと高卒認定2つでも大変なのに」
「そうだね」
「俺が作ったら、最後に味付けをしてくれればそれでいいじゃん」
「2人で作るのってなんかいいなあ」嬉しそうに瞬きした。
「お風呂に入れよ」そう言ってバスタオルと小さなタオルを渡した。
「うん」希和はお風呂場へ行く。
俺は濡れた希和のバイクを拭いて手入れをした。
しばらくすると希和がお風呂から出てくる。
「あっ、バイクが綺麗になってる」
「もっと綺麗に磨いてやった方がいいぞ」
「うん……でもやり方が良く分かんない」
「今度教えてやるよ」
「うん」
「ねえ、友希さん……」
「何だよ……」
「遊んでよ」
「何だそりゃ」
「ゲームやりたい」
「そう言うことか、じゃあセットしてやるから俺が風呂に入ってる間ゲームをやってろよ」
「うん!」嬉しそうに何度も頷いている。
お風呂から出ると希和はもう下に降りて来ていた。
「もうゲームは止めたのか」
「だって……ちっとも勝てないんだもの」ふてくされている。
「そう……」子供だなあと思ってほっとした。
「今夜、私はどこで寝るの?」
「お前はそのテントの中で寝袋で寝るんだ」
「友希さんは?」
「俺は2階のソファーがベッドにもなるからそこで寝る」
「一緒に寝たい」
「アホか」
「(仮)が外れたら一緒に寝れるの?」
「そうだな……」
「つまんない」
ただただ呆れた。
「ほら、こうしたらどうだ」
テントの周りに幾つかのランプを置いて電気を消した。
ランプの灯だけになると、少しはキャンプらしくなった。
「わあ〜綺麗!、これなら楽しいかも」
「おやすみ」
「おやすみなさい、希和の夢をみてね」笑った。
「……………」
俺は2階へと上がった、雨と風は不機嫌そうに窓ガラスを叩いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます