第2話 不良少女
今日は土曜日なのでガレージハウスに来ている。料理はほとんどしないのでお昼は天空カフェで食べることが多い。
カフェに来ると、新くんはいつもの席でキーボードをたたいていたが、俺を横目でチラッと見た。
俺は絶景の景色を深呼吸で体に取り込んだ。
「友希くん、ガレージハウスは完成した?」
「今のところ半分くらいかなあ」
「そう、楽しそうだなあ、俺もDIYとか出来たら良いのになあ」
「いいじゃん、プログラムとかできるんだから」
「それは仕事だし……」少し苦い顔を見せる。
「友希くんさあ……お願いがあるんだけど……」
「俺にできることだったらなんでも言ってよ、新くんには色々とお世話になりっぱなしだからね」
「そう……じゃあ」新くんはニヤリと口角を上げる。
「
「はーい」
まだ幼さが残るボブカットの女の子は大きな瞳で、長いまつ毛で風が起こりそうなくらい瞬きして新くんの隣に座る。
「彼女は希和ちゃん、高校を辞めてバイクに乗って遊んでる不良少女なんだよ」笑いながら言った。
「不良じゃないですう」希和と呼ばれる女の子は唇を突き出す。
「彼は
「へー……隠れ家 ?」
「ガレージハウスだけどね」
「ガレージハウス?」
「バイクってあのリトルカブ?」横に止めてある黄色い原付バイクを指さす。
「はいそうです、私の愛車です」ニッコリ頷く。
「バイクは詳しいの?」
「いえ、全く」
「それなのにアレを買ったの?」
「女子高生がカブに乗るアニメを見ていいなあって思ったの」
「なるほど……」
「友希くんさあ、希和ちゃんの面倒を見てよ」
「「えっ!」」
「新くんどういうこと?」
「新さんどういうこと?」
思わず俺と希和ちゃんは新くんを覗きこむ。
新くんはニッコリ微笑んで背筋を伸ばし、少しだけ状態を起こした。
「希和ちゃんは輝きたいんでしょう?」
「うん」
「それには、輝かせることが出来る人が必要さ、友希くんはイベントのプロデューサーなんだよ、つまり何も無いところから企画して現実にしてしまう仕事さ、そんな事が出来る人は少ないんだよ」そう言ってニコニコ俺を見た。
「ええ……無茶振りが過ぎるよ新くん」呆れて失笑する。
隣で希和ちゃんはじっと俺を見つめている。
「女の子のプロデュースなんてやった事もないし無理無理!」
「さっき『何でも言って』といったよね」新くんは片方の口角を上げる。
「え〜……」
「私何でもします、宜しくお願いします」希和ちゃんはペコリと頭を下げる。
「とりあえず考えさせてよ」俺は返事を先伸ばしした。
「あっ!忘れてた、おばあちゃんの買い物を届けなくちゃいけなかった」
希和ちゃんは慌ててバイクに乗るとカフェを出て行った。
「新くん、本心は?」
「彼女は色々とあって、このままだと本当に不良少女になってしまいそうだから何とかしたいんだ」
「なるほど……それで俺に手伝えって事ですか……」
「まあそんなとこかなあ」
「了解、俺で出来ることは協力するよ」
「ありがとう友よ」笑っている。
「新くんはお人好しだなあ」俺も笑った。
俺はちまきと名水コーヒーを注文し、遅めの昼食をとった。
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