第17話 ~景子新垣のこぼれない話~
サモエド犬の
この日も何時もの様に、何の当ても無くぶらぶらする予定だったのではあるが、今日は普段とは違う道を選択し、
そうやって、
この日、酵母乳酸卍糧が訪れたそのエリアには、あのモアイ先生の中の人、
新垣景子は以前に在籍していた学校にて、生徒や同僚教師からの虐めに遭った挙句、心に傷を負ってしまい、現役の高校教師でありながら、長年の引き籠もり生活を余儀なくされていた。
しかしそんな中、新垣景子は自身がハマっていたオンラインゲームにて、かの落語家兼発明家の
後日、新垣景子はこのモアイの風体を使って、試しにゲーム実況動画を、動画投稿サイト・ミーチューブへとアップロードしてみたのだ。そしたら、何とまあ、
いやはや何とも、今やこの日本はお笑い至上主義であり、それでいて何が起こるか分からない御時世でありまするな。
何はともあれ、彼女にとってこれなる天堂任との、斯様な奇跡とも言える邂逅は、まさしく超幸運であったと言わざるを得ない。
新垣景子はこの感謝してもしきれない思いから、天堂任に対して、「この御恩は一生忘れません……何て事は無く、恐らく明日には忘れていますよモアー」と伝えた。すると天堂任の返答は、「ふむう。有らん限りの力をふり絞って殴り倒してやろうかなのである」であった。無論の事、こいつは二人の間でのボケとツッコミである。
さてさて、これにより新垣景子は、当該のモアイロボットを遠隔操作し、きっちりと教員の仕事も続けられる事となったのである。それにより、給料はちゃんと毎月振り込まれるし、欲しい物があれば全て通販で
だがしかし、これでは「引き籠もりである事実の根本的な解決」には到っていない訳である。
そう、新垣景子と言う人物は元来、「生で人と関わりたいですモアー。直接人と会ってお喋りしたいですモアー。人は一人では生きて行けないのですモアー。人と人の間と書いて人間ですモアー!」と言う風に考えている人種であるのだ。
なので、このままズルズルとぬるま湯に浸かっていれば、「今後、私はどんどんと病んで行ってしまう一方ですよモアー」と言った感じで、自身の事は自分が一番良く理解しているってな現況なのであった。
しかも、高校生芸人達が
とどの詰まり、今のままでは全く駄目なのだ。
……とは言うものの、一度でも人間不信に陥ってしまった壁は果てしなく厚い。
新垣景子は恐怖心からか、なかなか決断出来ずにいて、途方に暮れ頭を抱えている真っ最中であったのだ。
このような中、「ここは一つ気分転換で、久しぶりに外の景色でも見てみましょうかいねモアー」と、さっとカーテンを開け、窓の外を覗いたその瞬間であった。
直ぐ下の通りをトコトコと歩く酵母乳酸卍糧の姿が、新垣景子の眼前に飛び込んで来たのである。
【今直ぐにでもモフモフをしに行動を起こしなさいモアー】
この
酵母乳酸卍糧は、「な、何だ!? この突如目の前に現れたセクシーボディなおねいさんは」と警戒したのだが、新垣景子の手に持つ御馳走には抗えなかった。
なので腹を括った酵母乳酸卍糧は、「しょう事無しね。ここは大人しくして、存分に私の体をモフらせてやろうかしら」と決意したのである。
幸いな事に、犬用シャンプー・リンスを
こうして、新垣景子の巣籠もり生活は、あっさりと終わりを告げた。
この日を境に、新垣景子と酵母乳酸卍糧が、定期的に顔を合わせるフレンドとなった事は、世間一般ではあまり知られていない。
まあ、又もや意外な所で酵母乳酸卍糧が役立っていたってな事と、物事何てちょっとした切っ掛けさえあれば、案外拍子抜けするほど簡単に解決したりするんだよってな、希望のお話なのでしたモアー。
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