第15話 ~凹×凸《ボッコーデッコー》のこぼれない話~
その日、中学三年生の
小学校から数えてみても、学生生活に不満は無い。自身の巨体から
多分、このまま何とは無しに高校へと進学するのだろう。
うん。普通過ぎる。
それが何とは無しに嫌になって、今日は何とは無しに日常から逸脱してみたのだ。
海の砂場を何とは無しに歩いていると、そこには見覚えのある、小柄なスキンヘッドの後ろ姿があった。
何とは無しに浜辺に体育座りで佇んで、何とは無しに波打ち際を眺め続ける
この二人は幼馴染みだ。
何とは無しに家も隣近所で、何とは無しに友達で、取った行動が何とは無しに偶然重なってしまうような二人である。
何とは無しに
「何で数夫くんがここに居るんだよ? サボリかい?」
「だね。何とは無しに」
「何とは無しにかぁ。オラも何とは無しにサボタージュだよ。奇遇だね」
そう言い終えると、太鯛豪も何とは無しに腰を下ろした。
暫く無言で水平線を眺め続ける両名。
そうして10分ほど経った当たりだろうか。細木数夫が口を開く。
「なぁ、豪くん。お笑い芸人目指さへん?」
「何で関西弁なの?」
「まあ、何とは無しに」
「何とは無しにかぁ」
「考えたんだけどさ、オイラってチビでこの若さでハゲじゃん? もうじき高校生だし、もうお笑いで人気者になるしか、モテる方法が思い付かないんだよね」
「……モテたいの?」
「
「あーね。オラも願わくばモテたいかなぁ」
「何とは無しにモテたい」
「だねぇ。何とは無しに、そうだよねぇ」
それ以降、何とは無しに二人は口を開く事も無く、何とは無しに海辺を眺め続けていたのである。
この日から間も無くして、何とは無しに
後年、凸×凹もプロのお笑い芸人となる訳であるが、芸能プロダクションに所属する際のオーディションにて、この時の海での
すると、この時の審査員をしていた、お笑い界の大御所である女師匠に、「
何とは無しに、そんな話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます