第14話 ~モアイ先生のミーチューブ実況生配信~

『どもどもどモアー。毎度お馴染のミーチューブゲーム実況配信者・モアイチャンネルのモアイ先生だモアー。今日も元気に生配信でイッテ参りましょうモアー。但し、本日は何時いつもとは少し趣向を変えてお送り致そうと思っていますモアー。今回使用する映像ですが、カメラを搭載した小型ドローンを複数飛ばして日々街の盗撮……ゴフンゴフン……街のパトロール用に撮影しているVTRをネタに生中継をして行きますモアー。題して、モアイチャンネル特別編、「逮捕の瞬間! 高校生芸人二十四時」ですモアー。そして、更に本日はスペシャルなお客様をお迎えしてお届けしますモアー。ではではゲストさん、自己紹介をば、ってどうぞモアー』

『ふむう。どもどもどモアーなのである。初めましての方もそうでない方もなのである。輓近ばんきんミーチューブで開設したチャンネル、ゲームセンターDXの天堂課長てんどうかちょうなのである。差し支えがなければ、チャンネル登録よろしくお願い致しますなのである』

早速さっそく我がチャンネルの挨拶、「どもどもどモアー」を使ってくれて、どもどもどモアー。天道課長は私のネットゲーム仲間であり、プライベートでも何かとお世話になっている恩人なのですモアー。例えば撮影用ドローンも含めて、私が運用している機械類は全て天堂課長からの提供品なのですモアー。しかも、今日はお仕事でアメリカ出張中にも関わらず、無理を言って海外からのアクセス&参加をお願いしたのですモアー』

『ふむう。別にかまわんさなのである。他ならぬ盟友であるモアイ先生の頼みなのである。断る理由が無いのである。また遠慮なく、何時いつでも声を掛けてやって下されなのである』

『嬉しい事を言ってくれるモアー。私的にも天堂課長は親友でありますし、心の友なのですモアー』

『ふむう。それに仕事と言っても九十九パーセントは遊びなのである。新たな発明品の試作品を企業に御披露目したならば、後は自由時間なのである。一応世間体もあるので、この事はクラスの皆には内緒だよ☆なのである』

『あららー、天堂課長御免なさいだモアー。私の動画は基本的に全部生放送なのですモアー。だから、今の発言でバレバレになっちゃったモアよー』

『ふむう。ちょっとやっちゃいましたなのである。まあ、別にいっかなのである』

『別にええんかーいモアー。さてさて、つかみはOKって事で、早速さっそく実況を始めてモアー。おっと、最初にお断りしておきますが、高校生芸人達が喋っている時は、私達は実況を休止してだまけますのでご容赦下さいモアー』

『ふむう。モアイ先生はゲーム実況でのムービー中は無言派なのでありましたな。吾輩は意に介せず喋り倒す派なのであるが、本日はモアイ先生に合わせてなのである。所で、たびは何故にゲームでは無く、リアル動画での生中継なのかを、今少し視聴者の方々に補足説明をした方が良いと思う次第なのである』

『それはごもっともな意見ですねモアー。ええと、それはですね、実は人気No.1高校生芸人として名を馳せる、ダダンダウンの焔煜ほむらゆう君からの要請を受けての事なのですモアー。何とまあ、最近ちまたを騒がせているの犯人を捕まえる作戦を立てたらしいので、その様子を余す所無くライブ配信して欲しいとお願いされたからなのですモアー。みんなすっかり忘れていると思うけれども、私の本職は高等学校の先生で、焔煜君の担任教師でもありますからしてモアー』

『ふむう。そのダダンダウンの焔煜こと煜であるが、なんなんと吾輩の弟子でもあるのである』

『あー、そう言えばそうだったモアねー。ともこうも、初めて教え子に必要とされたのですモアー。並々ならぬ意欲をみなぎらせるモアイ先生なのでありますモアー』

『ふむう。なるほどなのである。そう言う事であるならば、吾輩の技術力をフルに活かして作ったドローンなのであるからして、映像・音声共に高クオリティだから安心するのである』

『今回の放送は十台のドローンを駆使してのオンエアーなのですモアー。基本は自律運転なのですが、今日は私の独断と偏見で手動遠隔操作とさせて頂きますモアー。男子のフェイスアップや女子のローアングル、何でも御座ござれで任せとけってなもんなのですモアー。ポロリもあるかもよモアー。男女共に需要のある動画を心掛けていきますモアー』

『ふむう。それと吾輩的には、もう一つ教えて欲しい事があるのである。我が愛弟子まなでしである煜の想定しておる作戦の概要と言うのを、でもお聞かせ願いたいのである』

『承知しましたモアー。まずはおびせる方法ですモアー。何を隠そう、ここ某有名遊園地にですね、昨日本物とS.O.B.が、それぞれ急遽きゅうきょ二カ所ずつ建築されたのですモアー。このどちらか一方にのこのことやって来るであろう犯罪人を、集い合った高校生芸人をってして、数に任せてとっ捕まえてやろうってなプランなのですモアー。そして、それは今我々がカメラを通して見ているこっちの「偽S.O.B.特設ステージ」の方へと、が来る確率が極めて高い筈なのですモアー』

『ふむう。此方こちら側の「S.O.B.」にが来たると言う可能性の根拠とは、はてさて如何いかなる物なのである?』

『いい質問ですねモアー。それはですね、入園ゲートを抜けてぐの所に案内板を設置しているのですモアー。内容は、【近頃世間を騒がせているさんへ。ここからはS.O.B.特設ステージの裏側に通ずる道です。こっちに来るなよ! 絶対にこっちへ来るなよ!】と表記しておいたのですモアー』

『ふむう。こんな分かり易いを書かれしまっては、どんな人間であろうと、今のお笑い大国の日本では体が勝手に動いてしまい、必ずメッセージとは逆のアクションを取ってしまうのであるな』

『その通りですモアー。の悲しいさがを逆手に取った形なのですモアー。そして、馬鹿正直に案内表示に従ったが最後なのですモアー。その到着します場所こそが、今我々が実況中継している、この「S.O.B.」なのですモアー。ちなみに、これなるですが、志國三ここさんさんのイリュージョンにより、初見の人には「S.O.B.」に見える様に細工したプレハブ大型倉庫なのですモアー。更に言いますと、建物周りは人気ひとけの少ない園内の端っこの方を選び、中にはが好む、「」や「」の品々を罠として仕掛けているのですモアー』

『ふむう。の心理を突き、より罪人をたぶらかす環境にしたのでありますな』

『そうなのですモアー。名付けて、「ホイホイ大作戦」なのですモアー』

『ふむう。かてて加えて、この緊急で二軒建造された施設の迅速な対応からして、どうやら建設資金は西園寺財閥さいおんじざいばつから出資されているのであるな。ついでながら申し上げますと、吾輩は西園寺財閥の発明開発はつめいかいはつ部門ぶもんけん科学班主任かがくはんしゅにんも、何気に請け負ったりしているのである。こりゃあ、紛れもなく吾輩の自慢話なのである』

『ほへぇー、流石の天堂課長なのですモアー。相変わらず手広くやっていますねモアー』

『ふむう。だがしかし、どうにもに落ちない点が払拭ふっしょく出来ない胸三寸むねさんずんなのである。もしも案内表示には芥子粒けしつぶ程も聞く耳を持たず、「S.O.B.」の方へと犯人が向かってしまった場合は、一体どうするつもりだったのであるか?』

『再びいい質問ですねモアー。それは中継が繋がっている西園寺財閥の御令嬢であり、美少女高校生コンビ芸人のツッコミ担当・金色こんじきマカロンの西園寺亜矢華さいおんじあやかさんに、生で語ってもらうと致しましょうモアー。それでは待機中の西園寺亜矢華さーんモアー。カメラ搭載ドローンに向かって、犯人が来なかった場合はどうするつもりだったのかを、一言お願い致しますモアー』


「オーッホッホッホ! モアイチャンネルをご試聴の皆様、どもどもどモアーなのですわ。そのあたりはちゃんと手は打って御座いますわよ。もしも犯人が「S.O.B.」に向かってしまった場合、其方側そちらがわにはトリオ高校生芸人の志國三ここさんが待ち構えておりますの。下手へたなボディガードを雇うよりも、よっぽど彼らは優秀なのですわ。それに加えて、我が西園寺財閥が保有する誇り高き私設軍隊も配置しておりますの。その実力は日本の自衛隊にも引けを取らない優秀さですのよ。この二組にて呆気あっけなく一網打尽いちもうだじんとの公算こうさんなのですわ。ですけれど、今のお笑い至上主義の日本にいて、あらがえる人間は百人にも満たないでしょうね。そうであるからこそ、必ずわたくし達のがわ御出座おでましになると確信しておりますのよ。わたくし、先程から武者震いが止まりませんし、これをご覧のユーザー様方も、凶悪犯確保の瞬間を刮目かつもくして見るべしですわよ。それではスタジオにお返ししまーす、なのですわ。オーッホッホッホ!」


『はーい、どもどもどモアーで、有り難う御座いましたモアー。以上、手薬煉てぐすねを引いて悪党を待ち受ける、見目麗みめうるわしい西園寺亜矢華さんのコメントを頂きましたモアー。様々な分野での事業を展開する西園寺グループも宜しくお願い致しますモアー。はーい、当モアイチャンネルの筆頭スポンサーである西園寺財閥様に、「唐突な宣伝を兼ねて露骨に媚びるの図」なのでありましたモアー。そう、はダダンダウンとナイトメアー・ビフォア・ハロウィーンズがS.O.B.をしている閒に、他の高校生芸人達が活発に行動してくれて、凶状持きょうじょうもちを召し捕ると言うシナリオだったのですねモアー』

『ふむう。その為に集まった高校生芸人の顔触れは、凸×凹デッコーボッコー金色こんじきマカロン、篠塚恵実しのづかえみ目立綯めだちない。そして、「S.O.B.」には別働部隊べつどうぶたいとして志國三ここさんが待機しているのであるか。うむう。かつての好敵手こうてきしゅ達が味方として活躍する、王道でいて胸を熱くさせてくれる展開なのであるな……と、事前の打ち合わせでは、これを必ず言って欲しいとモアイ先生に強く言われたのである。これで良かったのであるか?』

『んもうー、天堂課長ったら、そう言う裏話はおおやけで言っちゃ駄目ですってばモアー。なおですね、凸×凹さん&篠塚恵実さんと目立綯さんは喧嘩自体をした事が無いらしく、暴力等も嫌いと公言しておりますので、出来る事ならば応援のみに徹したいとの事ですモアー』

『ふむう。それでは戦力は半減以上なのであるな。そして重ねて言えば、それじゃあ、ぶっちゃけ此奴等こやつら何しに来たんだかって話なのである』

『あややー、それを言ったらおしまいよってな物なのですモアー。まあ、参加する事に意義があるんですよモアー。おっと、ここで生放送を御覧になっている視聴者様方の、動画に対するメッセージをチェックしてみましょうモアー。……あららー、圧倒的に、「そんな危険な場所に子供達を行かせるな」「幼い子をおとりみたいにしてんな」「今直ぐにでもめさせろ」と言ったむねの御意見が大多数寄せられていますモアー』

『ふむう。ユーザー様方のその感想は、まさしくむべなるかな、なのである。しかしであるな、ナイトメアー・ビフォア・ハロウィーンズの紅響子くれないきょうこは吾輩の孫娘なのである。その響子殿が煜の大ファンなのであり、「絶対に今日のS.O.B.参加は譲らないザーマスよー」と言い張るのである。目に入れても痛くない愛孫あいそんの言う事には逆らえない吾輩なのである。……うむう。それに万が一にも吾輩の家族に危害が及びそうな局面に差し掛かった場合、吾輩特製の、最新式超武装戦闘用マシンガン搭載ドローンが、悪漢目掛けて火を噴き、蜂の巣の刑にしてやるから心配御無用なのである』

『あははー、お喋りの後半部分から巻き舌でハッスルしちゃった天堂課長ですけれども、さながら声優の若本○夫氏を思い浮かべてしまいましたモアー。でもまあ、それはそれとして、その様な対応策があるのでしたら安心ですねモアー。……って、コラコラ、そんな訳無いでしょうがモアー。幾ら天堂課長でも悪者を抹殺する権利は無いのですモアー。そんな事をすれば逆に我々がお尋ね者になってしまいますモアー』

『ふむう。そう言えば思い出した事があるのである。これは吾輩が極秘に得た情報なのであるが、数日前に自首をしたのオネェ系お笑い芸人・佐藤春菜さとうはるなの証言にると、もう一人男性の黒幕的共犯者が居たと言う事らしいのである。今から現れる輩と言うのは、其奴そやつの可能性が濃厚なのである』

『ほほう、あんたがわず天堂課長は凄いですねモアー。そいつはきっと、天堂課長の広いコネクションから得たスクープなのですねモアー?』

『ふむう。残念ながらそうでは無いのである。この特種とくだねは吾輩が直々じきじきに警察機関のコンピューターに不正アクセスをして知り得たソースなのである。だからまだ世間にも出回っていないのであるが、信頼に値する話なのである』

『おいコラ、天堂課長! いや、この耄碌もうろく老害認知症じじいモアー! だから此処ここで犯罪をほのめかすかの様な、誤解を招く発言はめろってんだモアー! これが原因でミーチューブのアカウントが停止されちまったら、どう責任を取るおつもりなんだモアー! ……うおっほん! ええっと、リスナーの皆々様方みなみなさまがたモアー。只今ただいまの天堂課長の発言は、くまでお笑い的なですからして、本気ととらえないで欲しいですモアー』

『ふむう。ここはモアイ先生の番組なのでありますし、そう言う事にしておいてやるのである。さりとて、いやしくもお笑い至上主義の現行日本とは言えども、しきの仕掛けで本当にが来たるのか、依然としてめる所ではあるのである』 

『ああーっと! ほらほら! モニター画面を観て下さいな天堂課長モアー! たった今! とうとう、今事件の主犯格とおぼしき人物が立ち現れたっぽいですよモアー! しかも、どうやら相手はたった一人で、堂々と乗り込んで来やがった模様なのですモアー!』

『ふむう。マジで正気かよ、この野郎は、なのである。うむう。いや、まあ精神面で常軌じょうきいっしているからこそ、なんぞで嫌がらせをする行為に打って出るのではあるのだがね』

いずれにせよ、計画通りに間抜けな曲者くせものはやって来やがったのですモアー。ですので、カメラ付きドローンもズームイン・ズームアウトを繰り返しつつ、そろそろ本腰を入れて実況を始めたいと思いますモアー』

『ふむう。プレハブ内で静かに身を潜めて待ち受ける高校生芸人達なのである。そうして、が屋内に入り、部屋の中央付近にまで到達したと同時に、高校生芸人達が一気にを取り囲む陣形を取ったのである』


「オーッホッホッホ! 案の定引っ掛かりましたわね、お馬鹿で糞っれな放火魔さん、オーッホッホッホ!」


『そうしてリーダー格である西園寺亜矢華さんが、若干お下品なお言葉と高笑いを織り交ぜてののしりますモアー。でも何処どこか気品があって威風堂々いふうどうどうですねモアー』

『ふむう。モアイ先生の西園寺亜矢華を持ち上げるがえげつないのであるが、吾輩は聞かなかった事にするのである。うむう。でもって、くだんの服装なのであるが、パーカーでフードをかぶっていて顔がよく見えないのである』

『おおっと、けども西園寺亜矢華さんの声を聞いた途端にフードを上げまして、顔面を晒す凶漢きょうかん《・》モアー』

『ふむう。そうしたら、次はあらわになったのである。うむう。まこともって抜け目のない奴なのである』


「「「「「「いや、誰だ君は!!!!!!」」」」」」

「クックック、誰だチミ(ツィミ)はってか? フッフッフ、えぇ、そうです、それがしこんの真犯人です! 満を持して登場だっふんだ!!」


『はーい、六名の高校生芸人全員でのツッコミが炸裂さくれつ致しましたモアー』

『ふむう。しかも自然と対話が、志村○んが演じるである、変なおじ○んのコントのみたいになっておったのである。うむう。双方共に、流石はお笑いの国の名に恥じぬ国民だと言えるのである』


「クックック、流石さすがはお笑い芸人の卵である各々方おのおのがたと言った所でしょうかね。いやはや某、いたく感服かんぷく致しましたよ……とまあ、それは真っ赤な嘘でして、そんな事は露程つゆほども思っていないと言うのが本音ですけれどもね。フッフッフ、某はお笑いなどと言う下賤げせんなエンターテインメントなんぞ、屎尿しにょう以下だと考えていますものでね。クックック、汚物はトイレに流すのが一番でしょう? だからS.O.B.が行われている場所に水を放ち、全てを水浸みずびたしにしてやろうと思い至った訳ですよ」


『はららー、お笑いに対するヘイトスピーチと犯行動機の供述を吐きながら、とうとうひょっとこのお面をも外す、でありますモアー』

『ふむう。いよいよ素顔がき出しとなった訳なのであるが、これには西園寺亜矢華さいおんじあやか新堂麻琴しんどうまことの二人が、就中なかんずく驚いた表情をしておるみたいなのである』


「オーッホッホッホ! まさかの貴男あなたが元凶でしたのね。それにしても、どうしてこの様な愚かしい事を仕出しでかしたのかしら? 「聖ホリプロ女学院」・化学教諭の坂本光さかもとひかる先生?」

「にはは、間抜けにもホイホイされちゃったのが坂本先生だったとはおっ魂消たまげッスよー。普段は白衣と眼鏡がよく似合っているー、優しくて女生徒にも人気の坂本先生に一体何があったんスかー? にはは、実を言えばッスねー、あーしも結構坂本先生の事はだったんスよー」


『おおっと、おやおやー、金色マカロン両名のご発言により、新事実が発覚しましたモアー。どうやら悪党の正体は「聖ホリプロ女学院」の教師だったみたいなのですモアー』

『ふむう。その坂本先生の見てくれなのであるが、吾輩の大好きな冨○義博先生の漫画原作、幽☆○☆白書終盤の敵役である、神○実を彷彿とさせるのである』

『ああー、確かに、そこはかとなく似ているかもですねモアー。しかしまあ、描く漫画が全部大ヒットしている冨樫○博先生は本当に偉大ですよねモアー。はーい、それではちびっと長ったらしくなるでありましょう、坂本先生の自分語りをじっくりと聞いてみる事と致しましょうモアー』


「クックック、某は明らかに狂っている今の日本が大嫌いなのですよ。某は幼き頃より真面目一辺倒、勉強一筋でした。それがどうでしょう。現在の日本ではお笑い至上主義などと言う巫山戯ふざけた世の中です。面白ければ大抵の事は許されるですって? フッフッフ、こんな馬鹿げた話はありませんよねぇ……」


『ありゃりゃー? 何だか坂本先生の表情が凶悪になっちゃって、雰囲気も豹変しちゃいましたモアー』

『ふむう。これは恐らくは坂本先生の声色こわいろまでも変化しちゃう流れなのであるな。うむう。益益以ますますもって、まんま幽☆遊☆○書の悪役である神谷○じゃないですかヤダーなのである』


「クックック、本来某は科学の道へと進み、製薬開発技術者・研究者になりたかったのだ。しかしながら、こんな腐った日本に日本人として生まれてしまったばっかりに、常に薬を思い付いてしまい、自らの意思に反してとしてしまうのだ。この様な体質では真面まともな思考も出来ず、ましてや新薬など作れよう筈もないだろう。かような次第で、某はその分野を断念せざるを得ず、しがない教職の道に進むしかなかったのだ。正に今の日本は正直者が馬鹿を見ると言えるのだよ。フッフッフ、同僚の阿呆な教員共も毎日毎日へらへら笑いやがって。嗚呼ああ、正直近寄ってくる女生徒にも反吐が出そうだったさ。まこともっ此奴こいつらの低能は度を越しており、何時何時いつなんどき化学薬品の硫酸りゅうさんを、その横っ面にちまけてやろうかと思う日々だったよ」

「オーッホッホッホ! 言いたい事はそれだけかしら坂本先生? 今の愚痴、不平不満、批判にて、多少はらしが出来まして? オーッホッホッホ! ちゃんと相手の主張も聞いてあげるとか、ってば、何と言うなのかしらですわよ。これは正義のヒーローなどが変身している間にで御座いますわね、悪役が攻撃をしないで待っていて下さる礼儀と同義なのですわ。まあ、本日はわたくし達が正義側なのですけれどもね、オーッホッホッホ!」 

「にはは、それって平安時代より続くー、いくさいて、武士が味方や敵に向かってー、自分の姓名・身分・家系などの素性を大声で告げるって言うー、「名乗なのり」から来ている演出なんスよねー。そうッスよねー? 亜矢華先輩ー」

「オーッホッホッホ、良くぞ御存知ごぞんじでしたわね麻琴さん。その通りですわよ。その歌舞伎かぶき能楽のうがくによって、様式化ようしきかされた名乗りが導入され、時代劇にあっても歌舞伎の流れをむ演出として継承されるなど、日本の創作にまつわる様式美ようしきびとなっているのですわ。これはれっきとした日本の文化なのですわよ。ともあれ博聞はくぶんだった麻琴さんには御褒美として、後程のちほどわたくしが直々に、公序良俗こうじょりょうぞくに反する行為をたっぷりとして差し上げますわね」

「にはは、今日はどう言ったみだりがましいハードなプレイを、亜矢華先輩にされちゃうのかぞくぞくしてるッスよー。……んぁぁん♥何だかあーし♥早くも立っていられなぃくらいにぃ♥身体からだ火照ほてってきちゃったッスょぅ♥……」

「オーッホッホッホ! 本当にいやらしい困った子ですこと。少しばかりわたくしのスペシャルな調教が行き過ぎましたかしらねぇ? オーッホッホッホ!」


『きゃー、坂本先生の事をバッチリほったらかしで、金色マカロンの淫靡いんびな鉄板ネタがほとばしっておりますねモアー。呆れる程にフェロモン全開なのですモアー』

『ふむう。きっと男子中学生なら勃起してるね的なシチュエーションなのであるな』

『ヘヘヘー、正しくそれなで御座いますねモアー。そして、その金色マカロンのネタをあたりにした坂本先生は、白目をいて、わなわなと身を震わせておりますモアー』

『ふむう。滅多矢鱈めったやたらに怒りをあらわにしておる様なのである。しかしまあ、坂本先生の意見も無茶苦茶であると言うほかは無いのである。彼が延々えんえんと垂れ流して述べた私見であるが、それは本人が歩んで来た人生の問題なのであって、それを国の所為せいにするのはお門違いなのである。うむう。その証拠にお笑い至上主義の現代日本であっても、吾輩は科学者としても名を馳せちゃっておるのである』

『うんうんー、それには私も全く同感ですモアー。天堂課長は常識や規範きはんに捕らわれない我が道を行くタイプで、「人が何と言おうと、そんなの知ったこっちゃねーや」ってな理念で自分の道を切り開いて来たお方なのですモアー。それからもう一つ私的に腹が立った事は、学校の教師を「しがない」呼ばわりした事ですモアー。教育者だったら何が悪いのですかモアー。教え子達を成長へと導いて行くと言う、胸を張って誇れる立派な職業ですモアー。全国の先生方に謝罪して回って欲しいですモアー。坂本先生は教育家の風上にも置けない人なのですモアー』

『ふむう。そうなのである。モアイ先生も坂本先生の同業者で、わがままボディを持て余す、私立高校の巨乳女教師なのでありましたな』

『コラコラー天堂課長モアー。どうして態態わざわざアダルトビデオのタイトルみたいな言い方をしちゃったのですかモアー』

『ふむう。モアイ先生が熱くなるのも無理からぬ話なのである。その中でも特にが熱いのでありますのよな?』

『はい、その下ネタは明確にセクシャルハラスメントで、事案が発生ですよモアー。んもうー、駄目ですよ天堂課長モアー。うちのモアイチャンネルの視聴者様の多くは、未成年者も沢山りますもので、エッチ系は自重して下さいよモアー』

『ふむう。それならばいまがたの金色マカロンの際疾きわどりはどうなのであるのか? ……と言う無粋なツッコミは抜きにするのである。うむう。それにしても坂本先生のは長いだけで、面白くない上に、落ちも無いのである』

『そこも、何ともはや、仰る通りですよねモアー。坂本先生もこの様なトークしか話せないのであれば、今の日本で生きて行くのは辛いでありましょうねモアー』

『ふむう。そこだけは同情するのであるが、それはそれ、これはこれなのである。そして吾輩、そろそろこの膠着状態こうちゃくじょうたいに飽きて来ているのである。はよ高校生芸人達にしばかれて終わっちまえなのである』


「オーッホッホッホ! そうして今回の場合も例に漏れず、自分の気持ちとは関係なく体が勝手に動いてしまい、まんまとわたくし達が仕掛けた網に掛かってしまったと言う訳ですわよね、坂本先生?」

「クックック、その透徹とうてつした分析で大正解ですよ。フッフッフ、つづまる所、某も日本人の血が流れているのだなと思い知らされましたよ。だからこそ悔しくて堪らないのですがね」

「オーッホッホッホ! 心中お察し致しますわ。しかし、だからと言ってですわね、「それは大変で御座いましたわね。はい、分かりましたわ。どうぞをなさって下さいませ」とはなりませんのよ」

「クックック、西園寺財閥のうるわしき御令嬢、西園寺亜矢華君……学園内でも文武両道で成績優秀の君だけは、某も高く評価はしていたのですけれどもねぇ……フッフッフ」

「オーッホッホッホ! まあまあ、とーっても聡明な坂本先生にめて頂くなんて光栄ですわね」

「クックック、しかるにだよ、りにってお笑いコンビなんぞを組んでの活動を開始し、しかも相方は知性の欠片も無い後輩と来ている。フッフッフ、某は大いに失望したよ」

「にはは、いやー、それほどでもッスー。坂本先生ったら照れるッスよー」

「オーッホッホッホ! 全く褒めてないですわよ麻琴さん。あら、この一連の流れですけれども、ク○ヨンしんちゃんで繰り返し良くみられる定番ギャグに酷似していましたわね。ご免遊ばせですわ、オーッホッホッホ!」

「クックック、かくだよ? 某はお笑いの事がこの上なく不愉快と言う事なのだよ。フッフッフ、そう言えば今回の件で、元売れっ子だった、生きていてもしょうがない、佐藤春菜とか言うオカマ芸人をの実行犯に仕立て上げ、人生を終わらせてやったっけなぁ。某は同性愛者ってやからが、お笑いの次に大嫌いでね。ざまあみろだ」

「にはは、で、出たーッスよー。性的少数者への差別をする奴ーッスー」

「オーッホッホッホ! しかも佐藤春菜さんは既に性転換手術を施し、名実共に戸籍上も女性になられておりますわ。あらいやですの。大変に賢い賢い坂本先生は、そんな事もご存知なかったのかしら? オーッホッホッホ!」

「クックック、どう足掻あがいても元男である事実は変わらないじゃないかバカめ。まあ、某の手に掛かれば、将来的には性別も関係無く妊娠出来る薬の研究成果を挙げられるだろうがね。だが、セクシャルマイノリティーの連中に提供する事だけは御免蒙ごめんこうむるよ。芸人でだとか最悪の組合せだからな。フッフッフ、おっと、一周回って逆に笑いが溢れてしまったぞ」

「にはは、んもう、坂本先生ってばー……って、大人おとなしゅうに聞いとったら何やねんな。ええ気になんなよ、ボケカスナス。こらアカンわ、亜矢華先輩。坂本先生ってなこのは、単なる汚らわしいゲス野郎やわ」

「オーッホッホッホ! わたくしも麻琴さんと同じ事を考えておりましたわ。佐藤春菜さんは自首したと聞き及んでおりますけれど、坂本先生に出頭をしろと申しましても、多分無駄なのは今の戯言で把握はあく致しましたわ。もうこれ以上話す事は何も無さそうですわね」

「にはは、あーしも佐藤春菜さんに対しては色々と思う所もあるし、なんやめっちゃキレてもうたッスわ。もう感情がたかぶってもうて、何時いつもは抑えてる関西弁が出てまいそうやでんがなまんがなッスわ」

「オーッホッホッホ! 性別の事にきましては、詳しく話せない麻琴さんですものね。それからほんの少し落ち着きなさいな麻琴さん。時既ときすでに遅しで、所々関西弁がダダ漏れて、それが並々ならぬ似非えせ関西弁っぽくなっていますわよ」

「にはは、さーせんッス、亜矢華先輩ー。つーか、何時いつまでもあーし達芸人がしかめっつらじゃ駄目だと思うんでー、とっとと坂本先生をボコって終わらせてー、にこにこ顔に戻っちゃいましょうッスー」

「オーッホッホッホ! それも麻琴さんと同意見ですわよ。以心伝心って奴ですわね。この様にわたくし達は、仲良し小好こよしを売り物としているコンビで御座いますの。只今モアイチャンネルを視聴しております皆々様方。今後ともわたくし達、金色マカロンの事をよろしく御願い致しますわよ、オーッホッホッホ!」

「にはは、隙あらば金色マカロンを売り込む、亜矢華先輩マジぱねぇッスー!」


『そうそうそうですよモアー。坂本先生への鉄拳制裁てっけんせいさい大賛成ですモアー。と言いますか、坂本先生に関しましては、対峙している高校生芸人一同はおろか、今この生放送を観ている視聴者様全員がそう思っている事でしょうモアー。ですよね? 天堂課長モアー?』

『ふむう。やっとクライマックス突入なのであるか? うむう。あまりにも退屈だったもので、最近吾輩が新作の携帯アプリゲームを進めていたのである』

モアー。んもうー、天堂課長ったらモアー。せめて放送中くらいはきちんと役目を全うして下さいなモアー』

『ふむう。深謝しんしゃなのである。それから吾輩、「ここは平和的にS.O.Bで決着を着けよう」などと、甘っちょろい事は言わないのである。うむう。平和主義、話し合い、糞食らえなのである。……ふわあ。存分に殺し合えーなのである』

『うへぇー、欠伸あくびをしながらのテキトーな発言モアねー。マジに天堂課長が飽き飽きしちゃってるモアよー……』


「クックック、又もや某をしての漫才かね。何処どこまでも某を愚弄してくれるよな。フッフッフ、何奴どいつ此奴こいつも何がお笑いだよ。お笑いが苦手な人間の声にはろくすっぽ耳を傾けず、「はなけねぇ美しい国、日本ニッポン」ってか、オイ! ……クックック、良いだろう。もう終わりにしようじゃないか。……ショータイムと行くぜ!! クソガキ共がぁ!!!」


『おわっとー、何やら激昂げきこうした坂本先生は、再度ひょっとこのお面を付け直しましたモアー』

『ふむう。そうして、その坂本先生が懐から取り出して手に持つのは、何やら怪しい液体の入った蓋付ふたつきの試験管なのである』


「クックック、このひょっとこのお面は防毒マスクとなっておりましてね。そして、このガラス管内かんないの中身が空気に触れた瞬間に気化し、瞬く間にこの建物全体に広がって~……おっと、頭の悪い君達に話しても脳味噌がパンクするだろうから、簡潔に説明してやる。要するにこれは催眠ガスですよ、フッフッフ」


『うおっとー、そう言い終えた坂本先生は、ガラス容器を思いっ切り地面に叩き付けて破壊しちゃいましたモアー』

『ふむう。その結果、割れて漏れ出た液状体は、分かり易くうっすらとした白煙はくえんへと変化し、物凄い勢いで屋内に広がって行くのである』


「クックック、安心したまえ。このガスは只単ただたん数十分すうじゅっぷんするだけで、人体には完全無害だよ。みんな揃って眠りけやがれ。フッフッフ、その間に某は、「S.O.B.」へと赴き、昨日トイザ○スで購入したばかりの、この超強力飛距離ウォーターガンにて、たっぷりと水を放たせて貰いますよ。クックック、某はネット通販は利用せずに、地域活性化の為にも、可能な限りはの小売店でお買物をしたい人なものでね。……あー、レジに持って行く時に恥ずかしかったー」


『ふむう。高校生芸人達がばたばたと倒れて、深い眠りに落ちて行くのである』

『おやおや、あれれー? しかしそんな最中ですが、西園寺亜矢華さんと新堂麻琴さんの二人だけが仁王立ちで、何故かドヤ顔で決めポーズですモアー』

『ふむう。このコンビだけが全然平気そうなのである。こりゃ又一体、どう言った理屈なのでありますかな。うむう。謎が謎を呼ぶ展開なのである』


「クックック、西園寺亜矢華に新堂麻琴……折しも金色マカロンの二人って訳かね……フッフッフ、お前達は何故起きていられるのだ……クックック、何故意識がある……な、何なんだ貴様らは!」

「オーッホッホッホ! わたくしは幼少の頃より、毒物に対応する身体作りの訓練をして来ましたもので、少々の毒気どくけくらいでは動じませんのよ、オーッホッホッホ!」

「にはは、あーしも亜矢華先輩の相方になってからはー、体をむちゃんこいじくられちゃったんスよー。それこそ性的な意味でも肉体改造されたって感じッスー。や、むしろここはと言った方が的確ッスかねー。……あぁん♥」

「オーッホッホッホ! 最早もはや麻琴さんはわたくし無しでは生きられない体にして差し上げましたのよ。詳細は余りにもエログロ&ハードコアポルノ過ぎて、十八歳未満はお断りの内容となってしまいますわ。ですので、そこは皆様の豊かなご想像力にお任せ致しますわね、オーッホッホッホ!」

「クックック、全くとんでもないな君達は。フッフッフ、有毒物質を跳ね除けるボディーだと? ……クックック、ハ○ター×ハン○ーのキ○ア=ゾルディックじゃねーんだよ! 常識外れにも程があるってんだ!! この化け物共がぁ!!!」

「オーッホッホッホ! もう御託ごたくは良いのですわ。さぁ、坂本先生。お仕置きの時間ですわよ。ですけれども、わたくしは弱い者いじめをしたくはありませんの。ですので願わくば、わたくしのむちにて、一発で即ノックアウトされて頂きたいのですわ、オーッホッホッホ!」

「クックック、馬鹿も休み休み言いたまえよ。フッフッフ、断固拒否するね。やなこったパンナコッタ!」


『あちゃー、寒い駄洒落で盛大に滑るだけでも大概なのに、そう言いながら中指だけを立てるジェスチャーをする坂本先生ですモアー。それ、ダメ。ゼッタイモアー』

『ふむう。欧米だったら袋叩きにされても文句を言えない行為、それがファックサインなのである』


「オーッホッホッホ! それでは年貢の納め時ですわよ坂本先生。……いざ尋常に、推して参りますの!」


『おおっとー、そう言うやいなや、一気に坂本先生との間合いを詰めた西園寺亜矢華さんですモアー。そうしてそのまま続けざまに、矢継やつばやに繰り出される鞭打ち攻撃にて、坂本先生の身動きを封印してしまいましたモアー』

『ふむう。その間に坂本先生の裏側へと回り込む新堂麻琴なのである。うむう。そこから彼女の必殺の跳び蹴りが、坂本先生の後頭部にクリーンヒットせしめたのである』

『はややー、その後は西園寺亜矢華さんと新堂麻琴さんとで、坂本先生を挟み撃ちに致しまして、あたかも対戦型格闘ゲームの乱舞技らんぶわざよろしく、が続きますモアー』

『ふむう。こりゃリンチものなのである。意外や意外、金色マカロンは生粋きっすいの武闘派だったのであるな。うむう。西園寺亜矢華は体がなだけに、の使い手なのでありますな。女王様、もっとぶってなのである。ふむう。そして、新堂麻琴のあの技の切れを拝見するに、確実に空手道の有段者であると見受けられるのである』

『ほへぇー、なるほどですねモアー。あっ、私ふと思ったのですけれど、それこそ高校生芸人を題材にして、何だかが一本作れそうな気がしませんかモアー? 何処どこかのゲームメーカーさんか、同人サークルさんが制作してくれませんかねぇモアー』

『ふむう。そいつは面白そうな提案なのである。聞く所によると、最近現れた人気急上昇中のピンの高校生女芸人・KAGUYAかぐやHIMEひめも、薙刀術なぎなたじゅつたしなんでおるらしいのである。うむう。キャラクター選択には事欠かないゲームになりそうなのである』

『はふぅー、もしも本当にゲーム化が実現したら楽しいでしょうねモアー。……おっとー、とか言っている内に、完膚無かんぷなきまでに滅多打めったうちにされて、ついひざから崩れ落ちる坂本先生ですモアー』

『ふむう。……やや? あいや待たれい、モアイ先生なのである。そのはずだったのではあるが、そこには坂本先生のひょっとこのお面が、一頭ひとかしら落ちているだけなのである。彼は何処いずこへ消えたのであるか?』

『はららー、なんてこったパンナコッタ(笑)モアー! きっと坂本先生は変わり身の術を会得していたのですよ、天堂課長モアー』

『ふむう。外国人にも大受けしたいが故に、緊急で安直に取り入れたなのであるな』

『むむっ! ……ああーっ! 部屋の隅っこにて身を潜めていた坂本先生を発見致しましたモアー! すると間髪入れず、全力疾走で出入口を目指す坂本先生なのですモアー!』

『ふむう。このままでは坂本先生の逃走を許してしまうかもしれぬ、非常に不味い事態なのである』


「ッ! しまったッス! 亜矢華先輩、これマジでヤバイ展開ッスよー!」

「ッ! ですわね麻琴さん! わたくしとした事がしくじりましてよ!?」


『うわあー、大変ですモアー。西園寺亜矢華さんは鞭を伸ばして坂本先生を捕縛しようとするも、微妙に届かずじまいですモアー。そして、さま新堂麻琴さんも坂本先生を追跡しますが、存外ぞんがい坂本先生が駿足しゅんそくなのですモアー。これでは坂本先生を取り逃がしちゃいますモアー』

『ふむう。しかもよくよく見てみると、あれだけにされたはずの坂本先生が無傷なのである。今までの坂本先生への猛攻もうこうは無駄だったみたいなのであるな。これも一体どう言ったなのか、気になる所なのである』


「クックック、お前達はこの変わり身の術にまつわるトリックを知りたくてたまらないだろうなぁ! しかしながら、頭の悪い手前てめえらには、どうせ話しても理解不能だろうから説明はしないぞ! フッフッフ、さらばだ、アディオス!!」

「にはは、いや、そこ詳しく聞きたいんスけどー! それって場合によっちゃー、様々な分野に影響を及ぼすであろうすげぇ技ッスよー!!」


『はにゃー、何だか坂本先生が、どんどんに見えてきましたモアー。それだけばかりでなく、ちょっと面白キャラになってきていますよねモアー』

『ふむう。坂本先生のお笑いスタイルは、トークよりもビジュアルで見せるタイプだったみたいなのであるな。うむう。しかし、このまま坂本先生がこの場を出て行ってしまうと、煜達がS.O.B.をしておる、「」に驀地まっしぐらなのである』

『あわわー、そうですよねモアー。一応「」には、西園寺亜矢華さんの私設軍隊と、高校生お笑いトリオの志國三がスタンバイしているとは言え、えて脅威を見逃す道理は無いのですモアー。危険性も低いに越した事は無いですよねモアー』

『ふむう。……うむう? なのであるモアイ先生。今正いままさに坂本先生の肢体したいが、る様にして宙に浮いているのである』

『あんれまー、本当ですねモアー。その直後、地面に打ち付けられるように、くずっこける坂本先生ですモアー』

『ふむう。モアイ先生よ。さっきのシーンの画面巻き戻せるのであるか? 先程の映像を、スーパースローモーションで再生確認してみるのである』

『ん? ああ、了解しましたモアー。早速検証してみましょうモアー。VTRスタートモアー。……うーん、何やらが、突如として坂本先生の眼前に現れ、もの凄い速さで顔面を往復ビンタ&アッパーカットを決めていますよモアー。その後、このステッキは空中でバックして若干距離を取り、勢い良く坂本先生の股間こかんに体当たりしていますねモアー』

『ふむう。男にとってこの金的への攻撃ってやつは、激痛で痙攣けいれんする度合いなのである。まさしく地獄絵図の様相ようそうていするのである。うむう。そうして、このかんわずぜろコンマ一秒なのである。「おそろしく速い連続打撃、吾輩でなきゃ見逃しちゃうね」なのである』

『ほむー、あまつさえ、ぶっ飛ばされた坂本先生はと言いますと、背中から落ちた為に、背面打撲も必至ですモアー。更に更に鼻血も噴水みたいに吹き出していて、非常に痛々しいのですモアー』

『ふむう。痛撃で苦しみ悶えている坂本先生を、かさず西園寺亜矢華が鞭を駆使し、したのである。これにて坂本先生はなのである』

『おろろー? さっきのは、既に忽然と消えてしまいましたモアー。あれは一体何だったのでしょうねモアー?』

『ふむう。吾輩の名にかけて、謎は全て解けているのである。うむう。あれは我が娘の咲紀さきが、肌身離さず持ち歩いているステッキなのである』

『およよー? 天堂課長の娘さん、咲紀さんの仕業しわざなのですかモアー? えっと、確か一昔前に本物の魔女と言うコンセプトで、「魔女の宅配便 a.k.a. サキ」ってな芸名にて、ピンの女芸人をやっていた人でしたよねモアー』

『ふむう。然様さようなのである。今はナイトメアー・ビフォア・ハロウィーンズの保護者兼マネージャーをやっているのである。うむう。恐らくは子供達の危険をいち早く察知した咲紀が、で援護攻撃を買って出たと言う訳なのである』

『つまり……どういうことだってばよモアー?』

『ふむう。我が娘の咲紀は、まんまそのキャラクター設定通りに、の魔法を使える事が出来るのである。但し、威力が大き過ぎてしまう魔法は、この世のことわりげてしまいますゆえ、普段はくだんのステッキを瞬間移動させる様な、小粒程度の魔法しか行使する事が出来ないのである。うむう。だがしかし、くまで咲紀の考え方としては、「魔法が本当に使えるか使えないのかを曖昧あいまいにしておきたいキャラ」を貫き通したいみたいなのである。だから再び、クラスの皆には内緒だよ☆なのである』

『ほえーモアー、世の中には科学では解明出来ない事ダラケでビックリですねモアー。それから又しても、このお茶目さんな天堂課長は生放送で暴露しちゃっておりますモアー。こうもあっさりと人の秘密をベラベラ喋っちゃ駄目でしょうがモアー』

『ふむう。どうせこんな、や○すぎ都市伝説よりも胡散臭い話など、誰も信じてはくれまいなのである。それと咲紀は、月刊○ーの取材は大歓迎と言っていたので、全然問題無いと思いますなのである』

『ぐへぇー、本当にそんないい加減な対応で大丈夫なのですかねモアー? あっ、そうこうしている内に、西園寺財閥お抱えの屈強な私設軍隊員数十名が総出で駆け付け、機能不全に陥っている坂本先生を、がっつり取り押さえるのでありましたモアー。ふぃー、やれやれ。とまれかくまれ、これで一安心ですねモアー』

『ふむう。このまま坂本先生はに引き渡されちまう流れなのであるな。うむう。同時に、この録画した動画も事件の証拠品として提供しなきゃなのでありますな』

『そうですねモアー。ばっちり高画質ハイクオリティで撮れましたので、天堂課長には心の底から感謝感激雨霰かんしゃかんげきあめあられなのですモアー』

『ふむう。いやいや、モアイ先生と吾輩の仲なのである。そんな事は気にするでないのである。うむう。それよりか、がっちり束縛状態の坂本先生が、頼り無げな口調でぽつぽつと、何かを喋り出しておるのである。些許ちとばかり耳を傾けてみようなのである』


「……クックック、やられてしまったよ。フッフッフ、しかしだな、某が捕まるのは予定事項である。クックック、これは始まりに過ぎぬ。フッフッフ、今日のこの出来事は狼煙のろしなのだよ……」

「オーッホッホッホ! あらあら、これから長い長い獄中生活が待っていますのに、随分と嬉しそうですわね。それとも坂本先生は、麻琴さんに負けず劣らずのマゾヒストでしたのかしら、オーッホッホッホ!」

「にはは、亜矢華先輩違うッスよー。あーしは「アブノーマルつマゾヒズム中のマゾヒズム」なのでー、どうか「ドMな真性の変態性欲者」って罵声を浴びせて欲しいんスよー、にはは←マジキチ」

「……クックック、某はこの模様がネットで生放送されると言う事も、当然想定の範囲内であったのだよ。そして、この事件は必ずマスコミが取り上げて話題となるだろう。フッフッフ、この騒ぎを皮切りに、第二、第三の某みたいな輩が姿を見せる事だろうよ。クックック、某同様、何時いつの時代も少数派が、社会や世間からの圧力で苦しみ淘汰され、生き辛い世の中だからな……」

「オホホ、そうしますと、「少数派」と言う意味合いでは、例の佐藤春菜さんも同類だった訳ですけれどもね」

「にはは、そこに気が付いて上げられなかった所がー、坂本先生って人間の器の証明ッスよねー」

「……クックック、何とでも言うが良い。某は「切っ掛け」になれば、手段は何だって良かったのだよ。フッフッフ、今の日本に不満を持つ者は腐るほど居るのだ。其奴等そやつら誰某だれそれが、必ずやそれがしの意志を継ぎ、武装蜂起するだろうよ……」

「オーッホッホッホ! 望む所ですわよ。そうであるならば、わたくし達は尚一層なおいっそう全国にお笑いをお届けし、その御方達全員を丸め込んで笑顔にするまでですわ、オーッホッホッホ!」

「にはは、亜矢華先輩の言う通りッスー。何があろうとも、あーし達高校生芸人はそれを実行するッスよー」

「……クックック、貴様らの踏ん張りも何処どこまで通用するかな。フッフッフ、まあ好きにするが良い。クックック、せいぜい脳内お花畑のまま、ちんけなお笑い大国とやらの不名誉な称号に毒されて、一億総滅亡社会となれば良いのさ。フッフッフ、そうだな……今日だけは、某も笑ってやるとしよう。何しろ本日より、某とこころざしを共にする者がわんさか現れると思えば、嘲笑ちょうしょうも止まらないと言う物だよ、クックック……」

「オーッホッホッホ! 大分だいぶ歪んだ笑いではありますけれど、今日の所はそれで良しとしておきますわ。人は笑っている時の方が幸せに決まっていますの。そして、これからも我が国日本は、笑顔を欲する者が多勢なのに揺るぎ無しなのですわよ、オーッホッホッホ!」

「にはは、なので恐らく坂本先生の思惑は実現しないッスよー。残念でしたッスー」

「……クックック、確かに「笑いたくない」、しくは「笑ってはいけない世界を望む」等と言う人間は少人数だろうな。フッフッフ、しかし無勢ぶぜいの力を余りあなどかれだぞ。クックック、そのパワーは「微力びりょく」かもしれないが、決して「無力むりょく」ではない事を、夢々ゆめゆめ忘れぬ事だな、フッフッフ……」


『はらー、そんな言葉を残して、坂本先生は西園寺亜矢華さんの私設軍隊員達に連行されて行きましたモアー』

『ふむう。坂本先生が放った数々の発言は、少し考えさせる事柄だったと、吾輩個人的には心に刺さったのである』

『そうですよねモアー。どうしてもこの世の中は、マイノリティが無視されがちな世界になってしまいますからねモアー。これは議論の余地が有りますよモアー』


「オーッホッホッホ! それでもわたくし達はお笑い芸人なのですわ。わたくし達は常にお笑いを追求し続けて行くだけですの。もしも「笑えない」と仰る御方が居られるのであるならば、直々にその場に赴いて笑わすまでなのですわ。オホホ、そう、テロに打ち勝つ為に忘れてはならない事は、そのテロに屈しない不撓不屈ふとうふくつの精神が肝要なのですわよ、オーッホッホッホ!」


『わおー、西園寺亜矢華さんの眼に迷いは無いのですモアー。凛々しいですモアー』

『ふむう。西園寺亜矢華よ、良くぞ言ったのである。実に天晴あっぱれなのである』

『やーやー、こりゃーアニメかドラマで映像化されたあかつきには、このシーンは絶対にえますよねモアー。よっしゃ売れた、はい売れた、なのですモアー』

『ふむう。そいつはなのでありまするな。中中なかなかに楽しみなのである。……うむう。所でモアイ先生や。今回の件で其方そなたの心にも、何か響く物があったのではないかと見受けられるのである。モアイ先生の発する声から、何処どこと無く元気が伝わって来ているのでありますぞ』

『あややー、私のこの声は合成音声にもかかわらず、気持ちを見抜かれちゃいましたかモアー。矢張やはり天堂課長には敵わないですねモアー。……そうですねモアー。私ことモアイ先生だって、一応教育者のはしくれなのですモアー。坂本先生みたいな人だけが教師じゃないのですモアー。今度の事件に触れてみて、何とかこの想いを伝えるべく、今は何か行動を起こしたくて仕方が無い気持ちなのですモアー』

『ふむう。なるほどなのである。モアイ先生の方がおっぱいだって大きいでありますからな。うむう。どれどれ、下乳だけで構わぬので、ちょびっと晒してみるのである』

『はぁー? 何でそうなるんですかモアー。意味が分かりませんよ、このがモアー。……と、冗談はさて置き、私自身が引籠ひきこもり生活を脱して、この子達、高校生芸人と生身で触れ合いたいと思っちゃったのですモアー。、再始動の予感な季節到来なのですモアー』

『ふむう。近い内に、苟且かりそめのモアイ先生は引退して、りのままの中の人復活フラグなのでありますな』

『あははー、そうなりますねモアー。乞うご期待ですモアー。……およよー? 今一度、西園寺亜矢華さんを御覧下さいませ、天堂課長モアー。西園寺亜矢華さんがいたく落ち込んでいる御様子ですねモアー。これは私の予想ですが、大事に至らなかったから良かったものの、坂本先生を一瞬でも捕まえ損ねた事に対しての意気消沈だと思われますモアー』

『ふむう。吾輩の孫娘達が、「絶対にS.O.B.出場を辞退しない」と言う主張を反故ほごにせず優先し、西園寺亜矢華の決断で今回の策戦さくせんに到った訳なのである。だからこそ彼女は、万全の対策で準備していたのである。うむう。「どんな事が有ろうとも、には指一本触れさせない」と言う絶対の自信があったのでありましょうな』

『なるなるー、だけれども、あれだけ完璧な防御線を張っていたにも関わらず、坂本先生に不覚を取っちゃいましたもんねモアー。あのミスが原因となり、もしも子供達に何かあったのならと、絶賛肩を落とし中なのですねモアー。西園寺亜矢華さんは、つくづくお優しいのでありますねモアー』

『ふむう。性格はの西園寺亜矢華なのであるが、無類の子供好きであると言ったギャップ萌えが、人気の理由だと言う事が伺えるのである。うむう。カリスマ性を持つ人間と言うのは、こうあるべきなのでしょうな。吾輩も見習ねばなのである』

『おややー? 此処ここでやっとこさ、S.O.B.を終えた焔煜ほむらゆう君と新堂圭助しんどうけいすけ君も駆け付けたみたいですねモアー』


「ふん。どうやらこちらも片付いた様だな。御苦労だったぞ。貴様らモブキャラクターの高校生芸人にしては良くやった方だ。褒めて使わす。それから眠っている奴らはまだ目覚めるなよ。個個の癖が強い此奴等こやつらも喋るとなれば、いやうえにもごちゃごちゃして煩わしいからな」

「なはは、良う健闘してくれた人達に何ちゅう言い様やねんお前は。いやいや、皆さんホンマにお疲れ様で御座いました。特に金色マカロンの西園寺亜矢華で御座いましたやで。なはは、それと志國三の三人より伝言がありますねや。「夕方アニメが始まるので帰ります」っちゅう事ですわ。以上でっせ!」

「にはは、お兄ちゃんー♥あーしもめっちゃ頑張ったんスよー♥何時いつでやってくれているみたいにー♥あーしの頭をナデナデしてー♥して欲しいッスー♥♥♥」


『おーっと、新堂圭助君は新堂麻琴さんを完全スルーしますモアー。そして、恐らくは此処ここに到着するまでに、所謂いわゆる「追っかけ再生機能」を使って、最初からこの生配信を視聴し、状況を把握している新堂圭助君なのでしょうモアー。ひしがれている西園寺亜矢華さんに、下心満々で近寄って行きますモアー』


「なはは、西園寺亜矢華さん。お気持ちお察し致します。貴女あなたが子供好きっちゅうのは伝え聞いとりましたけど、俺も負けず劣らず、子作りの行為が好きですねん。せやさかい元気を出したって下さいや」

「……ぽかーんですの……」


『うああー、新堂圭助君が最低最悪のアプローチで討ち入り、つるーんと滑って撃沈ですモアー。西園寺亜矢華さんも突然の下ネタに唖然としちゃっていますモアー。これにはしもの焔煜君や新堂麻琴さんもどん引きしちゃっていますモアー』

『ふむう。エロキャラで通している西園寺亜矢華なのであるが、この場はそれを受け入れる空気では無かったのである。圭助はじりっけ無しの阿呆あほんだらだったのであるか?』

『うーん、痛恨の極みですよねモアー。慰めようとした圭助君の心配こころくばりだと言う事は分かっていますけれども、どう考えてもこれは失策ですモアー。……あれれー? それだのに西園寺亜矢華さんってば、満更まんざらでもない優しい顔付きとなり、満面の笑顔を返していますよモアー』


「オーッホッホッホ! わたくしを気遣ってのボケなのですわよね。有り難う御座いますですわ。麻琴さんのお兄様のそのお気持ち、有難く受け取っておきますわよ、オーッホッホッホ!」

「なはは、元気になって元通りの西園寺亜矢華さん大復活で、俺も安心ですわ。なーっはっはっは! これは西園寺亜矢華さん風の笑い方やでー。なんつってな!」


『はりゃー、何時もの西園寺亜矢華さんモードに戻りましたねモアー。それにしても、彼女もあの様な年相応の乙女な顔をしたりするのですねモアー。私自身も初めて見ましたし、何だか安堵した気持ちになりましたよモアー』

『ふむう。何時もの西園寺亜矢華は、「ザ・鉄の女」のイメージでありますからな。今さっきのは紛れもなく、所謂いわゆるメスの顔をしていたのである』

『んもうー、折角良い感じのムードなのですから、天堂課長も言い方を選びなさいなモアー』

『ふむう。失敬しましたなのである。しかし、西園寺亜矢華の場合は下手に慰労いろうするよりも、相手のフィールドに乗っかったボケで返した方が正解だったみたいなのである。うむう。好色こうしょくキャラを通す西園寺亜矢華に、どんな状況でも笑いを生成する圭助の気概なのである。両名に生粋のお笑い魂を見たりなのである。そのプロ根性から、お笑い大国日本の未来は明るいのである』

『いやー、でも私が見た限りでは、新堂圭助君の場合は思春期の男子高校生特有の、単なる性欲って感じですけれどもねモアー。見て下さいよ、あの鼻の下を伸ばした、新堂圭助君のだらしがない顔をモアー』

『ふむう。まあ、助平すけべネタも極めれば立派な一つのジャンルとなり得るのである。吾輩達古株ふるかぶは、若人わこうどの成長を温かく見守ろうではないか、なのである。うむう。いやはや、それにしても金色マカロンの圧倒的な力には脱帽だったのである。吾輩も心身の鍛練をしなければと思った次第なのである』

『はれれー? 天堂課長は体を鍛えてはいないのですかモアー? 私は一応美容の為に、毎日のヨガくらいはやっていますよモアー』

『ふむう。それなのであるが、先日煜とそう言った話になったのである。煜は格闘技などは一切やっておらず、自身の喧嘩最弱である自説が妙に面白かったのである。それは、「ふん。僕はお笑いを極める者である。殴る蹴るを極める必要は無いのだ。ふん。芸人は見るからに弱そうな方が良い。喧嘩が弱そうなのに強気で喧嘩腰に喋るから面白いんです」との事なのである』

『ほほぉー、彼らしいと言えば彼らしい持論ですねモアー』

『ふむう。だが直後に透かさず、「ふん。と言うのは建前で、鍛えるのが面倒なだけだ。ふん。だから何か強くなる道具出してよー」と来たもんなのである』

『ははぁー、彼らしいと言えば彼らしいボケですねモアー』

『ふむう。なので、「ふむう。吾輩はドラ○もんか。ジムにでも通えなのである」と、秒で即答し、至極真っ当な意見をかまして差し上げたのである』

『あははー、もっと気の利いたボケで返しなさいよモアー。仮にも天堂課長は焔煜君のお笑いのお師匠様でしょうがモアー。……おっとー、そろそろ良いお時間ですねモアー。ではでは、ぼちぼち本日の生配信は終了致しましょうかねモアー』

『ふむう。今般こんぱんの所はここまでなのでありますかな。うむう。ご試聴、有り難う御座いましたの、どもどもどモアーなのである』

『はい皆様ー、今回もモアイチャンネルを視聴して下さり、どもどもどモアーなのでしたモアー。次回配信は通常通りゲーム実況でお会い致しましょうモアー。天堂課長も、お忙しい中を助っ人、どもどもどモアーなのでしたモアー。の後はアメリカをエンジョイ&無事のご帰国をお待ちしておりますモアー』

『ふむう。お心遣いサンクスなのである。うむう。日本に舞い戻ったらば、又番組参加へのお声を掛けて下されなのである』

『はいー、了解致しましたなのですモアー。それでは以上を持ちまして、モアイチャンネル特別編、「逮捕の瞬間! 高校生芸人二十四時」を終了したいと思いますモアー。ではではー、皆様又観てねモアー(「みんな観て観て観ーティア」とか言う挨拶なんぞ、絶対に流行らないし流行らせないと言う強い意志)。今日も観覧してくれてどもどもどモアー。バイバイなのですモアー』

『ふむう。改めてどもどもどモアーなのである。うむう。バイバイなのである』

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