第五章 SURE I WILL COME BACK
セーフティタウンの取調室に拘束されているのは俺――ジャックスだ。昨日、反乱者集団が襲撃中に門を破壊して乗り込んできたから拘束された。そこに、尋問官の男がやって来た。お粥の入ったプレートを手に持っている。
「話す気になったか、新人?」
無視してやった、答える気はない。
「はぁ、お前は今どういう状況か。分かっていないようだな」
男は鞭で俺の腕を殴った。しかも十回も、だ。
「ハン!何して居るのよ‼」
女性だ、日本風の美女だ。胸は小さいが……。
「何って、尋問しているだけだよ。カナ」
「尋問どころの話ではないのよ、全く。男って、ほんとに大嫌い!」
カナという女性は俺を拘束している両手首の縄をほどいてくれた、さらには背負っていた背嚢も返してくれた。
「ごめんなさい、ハンが言う事聞かなくて」
「良いよ、それより俺と一緒に居た女性は?」
幸はどうやら釈放されて今は、居酒屋で待って居るらしい。
俺はすぐにカナに指定された居酒屋へと急いだ。
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「幸!無事か⁉」
居酒屋に入ると同時に名前を呼んだものだから、客が全員振り返って来た。
「ジャックス、ここよ」
俺は幸のいる席に向かうと、個室だった。しかし、二人きりという訳では無く保安官だという男性が一緒だった。注文を受けに来た店員に注文をして待っている間に聞かされたのは、この街の現状だった。
「現在の街は治安が悪くて、おっと。まずは、すまなかった。君達――特に、ジャックス君尋問をしてしまった事はこちらに非がある。何かお礼という詫びをしたい」
「何故、治安が悪いの?」
質問したのは幸だ。保安官の名前は中野(なかの)正二六(せいじろう)というらしい。正二六が言うには、五週間前に勇栄隊が訪れた際に奴らの侵入を許してしまったらしい。その結果、一時壊滅の手前という大被害を出してしまったらしい。
「現在は、奴らは中に居ないが、西には勇栄隊のアジトがあるらしい。毎日が恐怖の日々だよ」
「じゃあ、勇栄隊のアジトを壊滅させて来れば、ここは事実上の安全地帯という訳か」
「そういう事だ」
ジャックスは少し考えた末に答えを出した。
「分かった、幸。お前はここに残れ、俺だけで行ってくる」
そう言って、ハンヴィーの荷台からLM002をおろして跨り、西の方角にエンジンを吹かしながら消えて行った。
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