第四章 RESCUE & COMBAT AND ARRIVA
二つだけ思い出せない、俺の本当の名前と世界が滅ぶ前の記憶が欠けている部分。
いや、それよりも今は……。
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翌日、明朝三時ごろにテントを這い出て近くの砂丘に姿を隠した。そして砂漠迷彩服を身に付けて朝日が昇るのを、ただひたすら待った。
双眼鏡で覗いて野営地を確認していると太陽が昇り始めた、時刻は7時。奴らの朝食の時間だ。
「さてと、救出作戦を始めようか」
奴らの位置を双眼鏡で探して見つけた後で、見つけた奴らから野営地までの距離を逆算する。およそ三百メートルか、近いな。
MG―34をぶっ放しても、ぎりぎり届くかはわからない。ただ、ジッとしている分だけ奴らは野営地に近づいてくる。もどかしい……!
「おいおい、最悪だ。正義が幸さんに虐待をしている!」
双眼鏡越しだがはっきりと見た、裸にして大声で俺の事を尋問していた。口の開き方から察するにおそらく「囮として働かせるためにわざわざ助けてやったのに、よぉ‼」と言っているようだ。ビンゴようだ……。あの二人は夫婦ではない、人道的扱いを受けていないからしてセーフティタウンから連れて来たという感じか。
「もう待って居られないな、奴らが来た事をアイツらの監視員が気付いたらしい」
隠れていた砂丘を転げおりながら降り切ると同時に用意していたMG―34に二百五十発の七・九二ミリ弾を装填して、近くに居る監視員に向けて発砲した。流石、第二次世界大戦時にノコギリ機関銃と恐れられていた機関銃だ。頭を破壊すると同時にミンチ肉のようになっていく。
「ハハハ‼こいつは最高だぜ‼」
トリガーハッピーとはこういう事だ、撃つたびに人が原形を留めずに死んで行く。身体全体の血液が撃つたびに脳に酸素を届けて、快感を得るために脳がアドレナリンを体の末端まで放出してくる。
この襲撃に気が付いた勇栄隊は奴らが襲ってくる恐怖とMG―34によってミンチ肉に変わり果てていく仲間に畏怖して戦闘指揮系統が麻痺していた。俺は素早く裸にされて放置されている幸さんに駆け寄ると同時に近寄って来たゾンビの頭を落ちていたドットサイトとサプレッサーが付いたベネリM4ショットガンで粉砕した。
「すまん、遅れた」
「あっ!」
「フッ……‼よし、あとは怪我していないか?」
痣がいくつもあった、恐らく俺が合流する前の日に付けられたようだ。
「俺のバイクは二人乗りが出来る、生き延びたいなら一緒に来い」
幸さんは――いや、幸は強く頷いて「生きたい‼」と言ったので装備品として先程ゾンビの頭を粉砕したベネリM4と単発狙撃銃仕様の有名なM1ガーランドを手渡して、使い方を簡単に教えると早速、幸がM1―Cで四百メートル離れたゾンビの頭をヘッドショットした。
「お前……、凄いな」
「母から少しだけ教えてもらっていたから、それに……。私は死にたくない」
幸は、決意の籠った眼でこちらを見て言った。
「――ハハハ!期待しているよ。じゃあ、後ろを任せるよ」
「了解」
そこからは簡単だった、奴らになった勇栄隊隊員やすでに奴らになっていた者をヘッドショットや粉砕してミンチ肉に加工していった。
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夕方になると、リッカーのような生物まで出始めた。
「クッ……!残弾残り少ない!」
「こっちも、どうする気?」
「ここで死にたくないだろ?」
微笑んだ幸はふと目の前にあるハンヴィーに眼を止めた。その荷台はジャックスの乗って来たバイクがあった。
「ええ。死にたくないわ」
「ハハハ……」
「ねぇ、あのバイクは動くの?」
「あ?ああ、動くはずだ。壊されていなかったらの話だけど、な」
迫って来る奴らをジャックスがMG―34で粉砕している間に走り出した幸は、すぐにハンヴィーに乗り込んだ。
「ジャックス、私を援護できる?」
「何処まで行く気だ?」
「あのハンヴィーまで」
「分かった、残弾は七十五発だ」
「オーケー」
エンジンをかけている幸に近寄って交代するとすぐにエンジンをかけ始めた。
五分後、エンジンが掛かると同時に、銃座に幸が移動してジャックスが素早くサイドブレーキを下げてアクセルを踏んだ。
「行くぞ、銃座を頼んだ!」
「任して!」
銃座に取り付けられているのはブローニングM2重機関銃を二連装銃座に改造した銃火器だ、使用口径は驚異の五十口径(※ミリに換算すると十二・七ミリ弾)で装弾数は千五百発も撃てる。この弾薬口径を使用するのは他に対物ライフルのM82A1ぐらいだ。
「良いか、幸。道にゾンビが出てきたら、迷わず引いてやれ!」
ハンドルを切りながら運転しているジャックスは某ハリウッド映画のセリフのような言葉を、大声で言いながらも本当にゾンビを引いて行った。
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五百メートル進むと巨大な門と壁が見え始めた、恐らくここがセーフティタウンだろう。ハンヴィーの速度を緩めることなく、道場破りのような勢いで開いた門の中には奴らが居なかった。その代わりに、数千の兵士や生存者たちがいた。
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