第一章 BEFORE THE WORLD WAS DESTROYED

 目を開けると寝室の天井が目に入った。

「あ、夢か……。なんだ、夢の話かよ」

 瞼を擦りながら洗面台に向かうと鏡が曇っていたので、手でこすり顔が映るようにした後で顔を洗顔して再度、鏡を見ると皮膚が爛れ落ちている最中だった。

「う、うわぁぁあぁぁ‼」

 急いで鏡から離れると周囲が暗転した。

 寝汗を掻きながらも目を覚ましたジャックスは、目の前にある一台の廃車と一丁のショットガンを見て思い出した。この世界はすでに崩壊していたことを。

「ぅアァァァァ!って、夢か。久々に見たような気がする、高校生以来だな」

 起き上がりすぐにショットガンを担いで、焚火を消して移動する。これが俺――ジャックスの日常だ。なぜこんな生活の仕方なのかって?奴らの仲間になりたくナけりゃ、この生活スタイルに限るね。

 ちなみに、ショットガンはAA―12を使っている。

 AA―12とは、アメリカ合衆国という一つの大国が存在していた時に使われていたMPS社が製造していたフルオートショットガンだ。この世界でこれを使っているのは、俺だけだろう。こいつの魅力は意外に軽量でかつ反動も少ないという事だ。

「ココにも居ないのか、あとは……五キロ先にあるセーフティタウンだけか」

 地図を取り出して次の目的地を探して、また歩いて移動する。

 荒涼とした砂漠を背嚢一つとAA―12、護身用のMG―34を装備しながらただひたすら歩く。

 しかし時には、背嚢から水筒を取り出して水分補給をする。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 四キロも移動していると前方に廃車の山が見えたので、少し漁ってみたらまだ動くバイクがあった。壊れている部品を修理して、エンジンをかけたらしっかりと動き始めた。

「こいつは付いているぞ」

 エンジンアクセルを吹かして跨ると同時に、防塵機能が付いている軍用熱感知機能付きヘルメットを被ってウィーリーして加速する。無人の荒野をバイクで走るっていうロマンは、男の人なら理解し合えるだろう。――だが、世界が滅ぶ前は17歳で免許なんて持っていない。

 世界が滅んだ後は、警察なんて関係ない。楽しめばそれで良いのさ。

 風が気持ち良い、涼しい。最高だね。

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