第16話 あいつは星になった・・・
俺とアルマはみんなのところに戻った。ケイシムコピーとの戦いはほぼ終わっていた。無限の増援がなければそれほど怖い相手ではない。俺たちが手を貸すまでもなくコピーは全滅し、誰からともなくあがった勝利の声に、みんなが唱和した。プロフェッサーミゲルが俺たちの方に向かってきた。それに気づいた他の生徒たちも続いた。
「ケイシムは倒したのか?」
俺は大きく頷いた。
「わしの薬も役にたったろう?」
続けてプロフェッサーは言った。ここにきて俺はプロフェッサーが薬をくれた意味を理解した。
「ええ、助かりました!」
とびっきりの笑顔で答えた。プロフェッサーは俺の実力を隠す手助けをしてくれたのだ。みんなにはケイシムを倒したのは俺の実力ではなく、ポーションによるドーピングと思ってもらえればいいわけだ。プロフェッサーも笑みを返してくれた。心なしか悪戯っぽそうな笑みだった。
「どうやって倒したんだい?」
生徒の誰かが声をあげた。もっともな疑問だけど、即答できない。宇宙について基本的なことを知らない人たちにどう言えばいいんだろ? とりあえずどんどん上に行くような魔法をかけて落ちてこないようにしたと言った。でもそれって普通できないよなというまたしてもごもっともなツッコミが入ったが、たまたま昔読んだ本にそういう魔法が載っていたのだと押し切った。後でプロフェッサーにだけはもう少し詳しく説明しておかないとな。
俺は空を見上げて、砲弾の中のケイシムのことを思った。永遠に狭い砲弾の中に閉じ込められるケイシムの気持ちを想像すると、さすがにぞっとした。いつか考えるのをやめてくれるといいんだけどとふと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます