第16話 あいつは星になった・・・

 俺とアルマはみんなのところに戻った。ケイシムコピーとの戦いはほぼ終わっていた。無限の増援がなければそれほど怖い相手ではない。俺たちが手を貸すまでもなくコピーは全滅し、誰からともなくあがった勝利の声に、みんなが唱和した。プロフェッサーミゲルが俺たちの方に向かってきた。それに気づいた他の生徒たちも続いた。

「ケイシムは倒したのか?」

 俺は大きく頷いた。

「わしの薬も役にたったろう?」

 続けてプロフェッサーは言った。ここにきて俺はプロフェッサーが薬をくれた意味を理解した。

「ええ、助かりました!」

 とびっきりの笑顔で答えた。プロフェッサーは俺の実力を隠す手助けをしてくれたのだ。みんなにはケイシムを倒したのは俺の実力ではなく、ポーションによるドーピングと思ってもらえればいいわけだ。プロフェッサーも笑みを返してくれた。心なしか悪戯っぽそうな笑みだった。

「どうやって倒したんだい?」

 生徒の誰かが声をあげた。もっともな疑問だけど、即答できない。宇宙について基本的なことを知らない人たちにどう言えばいいんだろ? とりあえずどんどん上に行くような魔法をかけて落ちてこないようにしたと言った。でもそれって普通できないよなというまたしてもごもっともなツッコミが入ったが、たまたま昔読んだ本にそういう魔法が載っていたのだと押し切った。後でプロフェッサーにだけはもう少し詳しく説明しておかないとな。

 俺は空を見上げて、砲弾の中のケイシムのことを思った。永遠に狭い砲弾の中に閉じ込められるケイシムの気持ちを想像すると、さすがにぞっとした。いつか考えるのをやめてくれるといいんだけどとふと思った。


 

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