第7話 神殺しの狼

ボク達は村に戻った。

群衆には夜が侵食していた。

ボクを見つけた群衆は 襲いかかってきた。


冒涜者を粛清せよ。


そんなことを言った人間を切り刻んだ。

赤いナカミが吹き出した。

ナカミが体にかかり、不快に思った。

ニンゲンは次々にボクを殺そうとした。

何故かボクは負けなかった。

脳天に斧を突き刺し、捻じ曲げる。

横腹にめり込ませ、両断する。

ニンゲンのナカミが汚い事を知った。


お兄ちゃん、強いっ


少女はイタズラな表情で笑った。

ボクは斧を振り続けた。


気づけば声を出すニンゲンは 無く。

地面は肉塊で埋もれた。

ボクは荒い息をついて 斧を投げ捨てた。


ボクは叫んだ。

もし神が居るのなら殺してみろと。

叫び続けた。




神様は天上にいるんだよ


少女はそう言った。

ならばボクもそこに行かなくては。


ボクはガケから飛び降りた。

少女もボクに続いた。

遍く神を殺さなくては。

グシャッと潰れる音がした。






ボクは目が覚めた。

オオカミになっていた。

銀色の毛が月明かりに反射した。

ボクはその意味を理解した。

神が憎い。神を食い殺さなければ。




ボクは吼え、空へ駆けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

抗神戦記 海鼠さてらいと。 @namako3824

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る