第6話 悪霊退散終了のこと

ストーカー男は切々と過去を語った。昔母親は男関係が激しかったそうだ。父親は家に帰ってきては母親の浮気を問い詰めるそうだ。尋常じゃない父親の監視生活。

延々と続く男の話を草太郎は頷きながら聞く。

「すまない。俺はどうかしていたサンキューな、話聞いてくれる奴いないから」

「いや、話し聞くだけならいつでも」

「流石日高神社だな」

「は?」

「ここは人生相談所なんだろ?テレビであのおばあさんいっていたよ」

そういえば、梅さんがそんなことをマスコミにいっていたような。いや、そんなことは一言も言っていない。

「........」

あの梅さんは無言で外に箒を取りにいった。

棒で壁を叩く音が聞こえる。

「どうしたんだい?梅さん荒れているみたいだけれど」

戻ってきた春日が言った。


「すまない、俺はお前を殺そうとした。本当に。こんな俺の話しを聞いてくれた」

「................いや、まぁ」

ストーカー豊に謝られ、殺されかけた草太郎は相当複雑であった。

「おい!飯にするぞ、準備手伝え!お前も食ってくか?」

梅さんは豊の方をみた。

妙な脱力感が身を包む。

「警察に突き出す前に、飯食ってけ。こいつ両手塞がっているからな、草太郎お前が食わせろよ」

「えええええやだよ」

「いいから」

梅さんにいわれて、仕方なくご飯をはしですくい、豊の口元に運んだ。

「ほらよ」

「いらねぇよ」

豊は鼻水たらして泣き出した。

「........」


春日が入ってくると、こちらに向かって笑った。

「君、妙なものに好かれるね」

「はぁ?」

「彼、泣かせているじゃないか。憎いね、この」

わけ分からんが、これだけはいえる。

「妙なもの一人にいわれたくない」

台所を手伝いに向かった。

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蒼月寺騒動記  赤沼たぬき @duhiyutou

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