04【サスペンス】見えない目撃者

私は嘘は言っていない、私は確かに聞いたもの。

確かに私には犯人が分からない。

でも、私には犯人が分かるわ。

あの時、確かに聞いたのよ。誰かが死ぬ、その音を……



【ざっくりしまくった作品概要】

ジャンル:サスペンス

監督:アン・サンフン(韓国版/中国版)/森淳一(日本版)

出演:キム・ハヌル/ユ・スンホ/チョ・ビホン他

   ヤン・ミー/ルハン/ワン・ジンチュン他

   吉岡里帆/高杉真宙/大倉孝二他

公開:2011年/韓国 2015年/中国 2019年/日本

上映時間:1時間49分(日本版の長さです)

視聴可能サービス:Netflix/Amazon Prime Video/U-NEXT/hulu/Abema/dTv(2023年3月現在/日本版のみ視聴可能)


【オリジナル版(韓国)】

タイトル:ブラインド(韓国版のみタイトルが異なる)

公開日: 2011年8月10日 (韓国)

監督: アン・サンフン


【中国版】

タイトル:見えない目撃者

公開日: 2015年10月30日 (中華人民共和国)

監督: アン・サンフン


【日本版】

タイトル:見えない目撃者

初公開: 2019年9月20日

監督: 森淳一


【何となくな感じのあらすじ】

視覚障害者である主人公は、乗車していたタクシーが何かにぶつかったことに気が付く。

その事を運転手に伝えると、彼は「犬にぶつかったんだ」と弁解した。

しかし、視覚を失っていることにより他の感覚が優れている主人公は、ぶつかったものが犬ではないと運転手を問いただす。

運転手と揉めたことによりタクシーから降ろされた主人公は、事件が起きたと通報し警察を呼ぶのだが、彼女が視覚障害者であるせいで、事故は虚偽なのではないかと疑われてしまう。

彼女は言った。「私の他にも目撃者が居るんです」と。

その後、事件の目撃者である青年を見つけ出すが、主人公と青年とでは証言が食い違っていた。

果たして正しいのはどちらの証言なのか。捜査は混迷を極めることになるのだが……。



【ネタバレ配慮無しの感想】

見え無い目撃者は韓国版の「ブラインド」がオリジナルになるサスペンス映画で、それぞれ少しずつストーリーや設定が違う。

主要キャラクターは変わらないはずなのに、設定やシチュエーションがちょっと変わるだけでそれぞれが違う話に見えるのは面白いなって思った映画がこの作品だった。


■ 韓国版と中国版の内容について

基本的には同じ監督が作っているからなのか、主人公の設定と犯人の情報が増えたと言う感じで、大まかな内容は殆ど変わらない。

主人公が警察学校に通っていて、弟と視力を自分の起こした事故で失ってしまったという設定は共通だが、韓国版では主人公が孤児院出身で犯人に関してのは背景が殆ど描かれず、主人公にガッツリフォーカスを当ててシナリオが進んでいくという感じの構成になっている。

なので、何故犯人がそう言う犯罪を起こしたのかが全く理解出来ず、気持ち悪さだけがずっと付きまとうという感じ。


それに対して中国版は、主人公の設定がちょっといいとこの出身に変更されていたような……。(多分)

また、韓国版で謎だった犯人に関しても、どういう経緯で犯罪に及んだのかというバックボーンが追加され、よりドラマ的になっている。


■ 日本版の内容について

日本版に感しては、犯人がオリジナル設定になっていて、一番ぶっ飛んでてヤバイやつに変わっていた(個人的な印象)。ただの頭ぶっ飛んだヤバい奴になっちゃってたのはビックリした。


■ 内容に関しての感想(中国版をベースに打ち込みしてます)

【見えない】という事でこんなにも信じて貰えない理不尽さや、面倒毎に巻き込まれたくないから敢えて見ない振りをするという人間の狡さが感じられて個人的には好感触。

私だけが分かる、でも、それを上手く伝えられない。だから助けて欲しいと声を上げても、理解出来ない壁が邪魔をして前に進むことが出来ない。

そこから少しずつ周りが理解を示し、犯人に少しずつ近付いていくという流れは、良い意味でハラハラさせて貰える。

ただ、主人公を守る為にパートナーである介助犬が犠牲になってしまうので、そういうのが苦手な人にはキツイ表現もあるかも知れない。

犯人については、ちょっと度が過ぎている印象は受けるが、韓国版で不明だった動機がはっきりすることで人間味は増したという感じ。

救われない命は確かにあったけれど、主人公と相棒の男の子がこの事件を切っ掛けに、しっかり前を向いて歩き始める終わりは、とても綺麗な終わり方だなと思った。


日本版に関しては、犯人が怪しい宗教にどっぷり行っちゃったので、狂ったサスペンスとしてみるなら面白いが、オリジナル版と重ねるとどうしてこうなったんだ??となってしまうかもしれない。

あと、主人公が一人で全部解決出来るくらい逞しくなってしまったので、庇護欲は全く掻き立てられないのがとても残念。(韓国版と中国版はちゃんと弱い部分、頼らないと進めない印象があったはず)


お話的に一番ドラマ的で綺麗にまとまっているのが中国版じゃないかなと思う。

韓国版は色々情報が足りない部分があって、少し消化不良になってしまう可能性も。

日本版は設定が独自要素が強いから別物として見た方が面白いのかもしれない。

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