第3話
「嫌だぜ」ソファの上で踏まれた足跡がクッキリ付いたマックが不機嫌に返した
返した台詞に返答もなくビッチが作業台へ戻り
万華鏡のように区切られた数百もの枠組みに切り替えられゲーム作成現場の人々が
映し出された
それを眺めてから白く細い手がボリュームのツマミを上に引き上げた、そしてツクシのように伸びるマイクへ向けて大声を張り上げる
「従業員のみなさーん、仕事お疲れ様。今から強盗に行くから何一つ手伝えないわ覚悟して頑張ってね」
その音声は人々には衝撃だったらしく枠組みの上に次々と音声ONの文字が踊り各々の叫びがこだまする
「何言ってんすか社長」
「この忙しいのに」
「わぁぁ納期間に合いませーん!!」
「作業効率をどうやっても無理だ」
「アップデート納期ずらしてくださいよ」
「絶対死人が出ます」
「俺らの事コロス気なんですか」
「このブラック企業!!」
「俺はもう辞める」
「死んでやるーーー」
「ふざけてないで早く仕事してぇぇぇ」
「作業間に合いません」
「社長ーーーー」
GAAAAANNNNNNN!!!!!!!!!
「グダグダ言う前に、やれ」
赤いハートマークとリボンがあしらわれたピンク色の拳銃をどこからともなく出して壁に打ち込んだビッチが低く唸るように言い、音声をOFFにした
「おい、ブラック企業の社長。どんどん画面がブラックアウトしてるぞ」
数百もの枠組みは先ほどのビッチが放つ一言で黒く染まっていく
「しょうがないわね。うちは成功報酬だもの辞めたい奴はやめればいいわ」
「いいのかそれ?」
「いいんじゃない?好きに辞めれるんだもの辞めても借金返済に追われたりお客に責められるのは私だけ」
「その分稼いでるだろ」
「そうね。でもこれだけ努力しても税金に持ってかれて努力してもない人間に非難されるなんてバカバカしいこと、この上ないわ」
「でもよーこれだけ無茶ぶりする上司に着いてかねぇぞ普通」
「残念ね、うちは言った通り成功報酬今辞めたら作業してきた事が無駄になるのに」
「成功すれば、だろ。失敗して1文無しよりはマシじゃねぇか?」
「はん?失敗ですって?例え1人になろうとやり遂げるわそれが社長として私の誇りよ」
長い縦ロールにした髪を払い、ビッチが部屋を出ようとしたそのまま話し続ける
「で、マック作戦なんだけど」
マックもソファから立ち上がりそのまま2人してエレベーターに乗る
「話聞いてたか?俺は行かねぇぞ」
「…はぁ?」眉間にしわよせ、振り向いた
「お前にそこまで付き合ってられるか」
腕組みし壁にもたれる
ビッチが詰めよるように問いただす
「な?うそ、家賃は?」
「4日だろ。待ってやる俺様に感謝しろ」
「感謝なんか微塵も感じないわ、でもいいわけ?あのBOSSが黙っているなんて」
焦りが滲むビッチにマックは特に気遣う様子もない
「あ?俺もバカじゃねんだよお前には早めに家賃支払い日を通知してある」
地上に着いたのかエレベーターが止まる
「クソ男が」マックを睨むビッチ
「どうとでも言え。俺はマック様だ」
先ほどのビッチを真似てかそう言い放ち
エレベーターから降りて片手をあげ振り返る事無く去って行った
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