ヤマアラシと夕景

傷付き傷付けるしかなかった

それが「幸福」だと盲信していたけど

傍にいようとすればそれだけ傷付いて

気が付けばそこには赤い夕焼け


幸せってなんだっけ?

信じ描いた未来はこんなんだったっけ?

もう一日過ごせるかどうかの小銭と

明日まで持ちそうにない無数の傷


綺麗な思い出と幸せだった思い出は確かに

いやもしかしたらそれすらも幻か

何も分からないまま意識は薄らぐ

どこまでも沈む夕陽は血のように紅く


どんなに強がっても明日まで生きれそうにない

僕と君は出会わなきゃ良かった

そう思いながら死ぬとは思わなかったな

どうせなら幸せな記憶だけを抱いて眠りたかった


晩夏のひたすら紅い夕景が目を刺す

お互いの針がもたらす疼痛が嫌に響く

傍に居るはずなのに何処までも孤独感は拭えない

白い彼岸花が端で嗤ってる


黒が入り込む

後悔や憧憬を食らう

どこまでも落ちていく

朽ちたヤマアラシ二匹は人知れず

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