忌まわしき過去に告ぐ
空
独白
あれは遠い夏の話だ。
すっかり壊れてしまった僕は、
誰もが認める自分勝手な奴に成り果てて、
押し付けてばかり来る勝手な『責任』って奴と、
下らない子供相撲を繰り返していた。
誰に頼ることもできない、
誰かに助けを求めることも出来ない、
そんな時、あの娘だけが頼りだった。
「最後まで味方だよ」そう彼女は笑った。
それから一カ月も経たない内に、
僕はすっかり悪者で、
自己嫌悪とやり場のない怒りを引き摺って、
誰もいない暗夜行路をただ一人歩いていた。
あの娘の言葉は結局嘘だった。
頼りの綱だったあいつは、
「俺は中立だから」と悪びれず
最終的には「お前のせいで」とまで吐かれた。
そんな時、誰かが言った。
「お前はあの娘の人格を殺したんだぞ」
「それは人殺しと一緒だ」
「どう責任を取るつもりだ?」
さも勧善懲悪のように言われたその言葉を、
僕は今でも疑問に思っている。
その言葉こそが今僕の人格を殺そうとしていて、
それは「罪人」だから許されて良いのだろうか?
これを読んだあなたは思うかもしれない。
「それ相応の事をしたなら、仕方がない」と。
それはそうかもしれないけれど、
あなた自身だって、きっと誰かを殺している。
それを知らんぷりをするのは勝手だけど、
それならあなたが殺されたって仕方がない。
この世は理不尽極まりないけれど、
これが僕らが生きる現世の理なのだ。
長々と話してしまってごめんな。
これがフィクションだと思うなら好きにしなよ。
直に答えを目にすることになるだろう。
その時に逃げる手段を用意しておくんだな。
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