第12話 白峰とのゴミ拾い

「ゴクリ………」

 

 俺は大きく唾を飲み込む。その唾は液体というよりほぼ固体に近かった。

 

 環境美化委員の月一回の仕事であるゴミ拾い。その内容としては校内と学校周辺のゴミ拾いを環境美化委員のペアで行うという至って簡単な内容である。


 だが、何故俺がこんなに気合いが入っているかというと白峰と胡桃さんが俺を取り合っている漫画みたいな状況が起きているからなのだ。


 俺は胡桃さんに海に行こうと誘われているのだ。つまり水着を見ることができるチャンス。この状況で白峰にうつつを抜かしている所がバレてしまえばそのチャンスは水の泡。つまりは、、俺に課されたミッションは、、


「煩悩をかき殺す!!!!」

『え、急にどしたん。スバ君声でかいって〜マジ面白いね。』


 おっと〜、声が漏れる所だったぜ(完全に漏れていた)つまりは前半戦である白峰との校内のゴミ拾いを穏便に済ませて、後半の胡桃さんとのゴミ拾いを存分に楽しむ。これでいいんだ。


『さぁ!ゴミ拾いしよっか!ウチゴミ拾い好きなんだよね〜!』

「へぇ、意外。そんなイメージ無かった。」

『いや、それマジ友達にメチャクチャ言われるんだけど!そんなにウチってガサツな感じに見えるかなぁ?』

「まぁ、ガサツっていうかゴミ拾いが好きっていう雰囲気ではないよね。」


 うん、うん、楽しい!!!なんって言うんだろう…すっごい話しやすいんだよな。白峰って。インキャにも優しいギャルっていうか、同じ目線で会話してくれる感じが見た目とのギャップでより優しく感じてしまう。


『え、てか全然拾ってなくない?スバ君、ゴミ拾いを真剣にできない男はモテないぞ〜?』

「いや、拾ってるって。白峰はどのくらい拾ってるの?」


「!!」


白峰のゴミ袋の中には普通ならスルーしてしまいそうなくらい小さいゴミも取り残さず拾っていた。


『ウチ、こう見えてすごい几帳面なんだよね』

「全然イメージと違うから、すごいギャップ感じちゃうね。良いと思うよ」

『本当!?やったぁ〜!スバ君に褒められちゃった〜!』


 白峰のイメージが180度変わりかけている。あんなに見た目がギャルなのにゴミ拾い好きで几帳面というステータスを足すことによりこんなに好印象を与えるものなのか……?不思議だ。


『スバ君もこのくらい小さいゴミでも無視せず拾わないとね〜』


白峰が見せつけるように小さいゴミを拾う。


「!!!」


ブ、ブハァ!!見えとる見えとる!!アンタの谷間が見えとるー!!前屈みの破壊力は学年でも随一だろう。もっと見たい、もっt、いかん!!

俺には胡桃さんの水着がある!こんな所で揺らいでいては、、


『あ、待って。ウチ今日ブラ付けてくるの忘れてたんだけど、やっば〜』

「ふぇあぇ!!??」


本能的に白峰の胸を見てしまう。これは男として当たり前である。異論は無いだろう。


『フフ、嘘に決まってんじゃん!何見ようとしてんのスバ君!!変態だね〜!』

「や、ちが、違うって!心配したんだって」

『本当かな〜??おっぱい好きなんじゃないの〜??』

(好きです。)

「ち、違うって。そう言うんじゃないから!」


 白峰がこちらに詰め寄ってくる。勿論谷間は視界の半分を占めているだろう。眼福とはこの事を言うんだろうな……。


『ねぇ、スバ君。』

「な、何?急に」


『スバ君ってさ、平井胡桃ちゃんのことが好きなの?」


突然の質問に俺の脳は機能を停止させた。


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