第9話 学食と美人メガネ後輩と修羅場
――キーンコーンカーンコーンコーンキーンカーンコーン
「ふにゃあ」
天使の産声とも呼ばれる(俺が言ってるだけ)、授業の終礼を告げるチャイムが鼓膜を刺激する……!!
「はーい、これで四時間目を終わりまーすっ!昼休みはしゃぎすぎないようにね〜!礼っ!!」
「「ありがとうございました〜!」」
はぁ、やっと昼休みだ……今日はあいにく寝坊して朝ごはんを食べられなかったからな。やっと昼ごはんの弁当を―――
◆
今、僕は食堂の前にいる。そう、察しの通り弁当を忘れたのだ。いいや?別に後悔などしていない。ちょうど学食も食べてみたいと思っていたところだし?僕にとっては好都合なこ――
「すいません、ちょっとどけてもらえますか。嫌なら食堂に入ってもらえますか」
「え、あ、ごめん。入るね」
みるからに一年の見知らぬメガネのショートカットの女子に説教されてしまった。俺はどうやら舐められやすいみたいだ……
「えーと、券売機で買うんですよ……ね?市川ちゃん」
「二年生なのにそんなことも知らないんですか!?そうですよ!」
少し小馬鹿にしてきた彼女は
「って、えぇぇぇえ!!もう、うどんしかないじゃん!高山先輩がもっと早く入ってたら他の食べられたのに〜!もう、馬鹿馬鹿!!」
「え、ここのうどんは美味しくないの……?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど……」
僕達はうどんの食券を2つ買った。
◆
目の前には麺一本一本が輝き、鼻孔をくすぐるあっさりとしたダシにかまぼこ、ネギ、天かすが乗った美味しそうなうどん……と市川ちゃん。
「なんで高山先輩と向かいあわせなんですかーっ!!」
「仕方ないだろ!この席しか空いてなかったんだからあ!そんなに嫌かなぁああ!?」
「嫌っていうか……だって、だってぇ……」
「なんだよ〜!逆にもったいぶる方が傷つくからぁあ!俺がブスだって?!俺が臭いって!?なんなのよ!」
「違います!私”麺がすすれない”んですぅ……言わせないでくださいよ」
俺の思考は一時停止した……完全に俺に対する拒否反応だと思っていたら、まさかの”麺がすすれない”だって?かわいすぎるだろぉおおおッッッ!?さっきまで強気だった彼女がいまや赤面だぜおいおいおい!
「あ、だから食券機のときにうどんしかないって嫌がってたんだ」
「そうですよぉ……しかもメガネが曇っちゃうしぃ……」
彼女がメガネを外す―――
「ッッッ!!!」
いや、裸眼の顔かわいすぎるやろぉおおおお!!胡桃さんに負けずとも劣らない顔立ちじゃねーか!メガネをかけている時からは想像できない垢抜け感……これは一年の中じゃあトップの美人さだぞ……
「じゃ、じゃあ食べようか」
「へぇ〜、スバ君は後輩のかわいい一年生と昼ごはんを食べるんだ。へぇ〜」
目の前には怒りの目線を送るS級美少女の”平井胡桃”が立っていた……
「ま、まずいぞ……(うどんは美味しい)」
俺の体からはスプリンクラーくらいの汗が湧き出ていた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます