第7話  スク水と修羅場

ま、まずい……本当にまずい状況になってしまった、これぞ属にいう修羅場というやつなのだろう……


俺と親友の弘大こうたは体育の授業を抜け出して、女子の水泳の授業を覗きに来たのだが……クラスのヒロイン的美少女の平井胡桃ひらいくるみとクラス1の巨乳ギャルの白峰紀伊葉しらみねきいはにフェンス越しに詰められているのだ……勿論、スク水状態である。


『はぁ? マジ意味分かんないんだけど、何やってんの? 女子の水泳覗きに来るとかまじで生理的に無理なんだけど』


ギャルの白峰が俺たち(ほぼ弘大)をグサグサと叱りつける……弘大はその威圧に押されてずっと地面を見つめているが、俺は彼女らのスク水姿を少しでも見ようと視覚範囲をフル活用して、見てないように思わせてこっそり見る……


「「ブフッッ」」


いかん、刺激が強すぎる……白峰のボディは俺の理性を崩壊させてくる。目にカメラ機能が付いていたらどれだけ連射するだろうか。でも、肝心の平井胡桃が良く見えない……我慢できない、大胆に行こうッッッ!!


「「ブッファッッ!!」」


刺激なんてもんじゃない……悩殺である。遠くから見るのと至近距離で見るのは全然違った。そしてなんと言っても、少し顔が赤かった……あの少し恥じらいのある表情……圧倒的な可愛さである。



「ご、ごめんなさい。つい、好奇心で……他の女子には内緒にしててくれないかな……?」


俺ががんばって説得してみる……でも、さすがに無理か……?


『『うん!分かった!』』


平井胡桃と白峰紀伊葉が同時に返事をした。




               ◆


時は流れ、放課後―――


『うぅ……お前がでかい声だすから、だぞぉ……せっかく目の前まできたのに圧で全然見えなかったし、おまけに嫌われたしぃ……あぁぁ……』

「マジでごめん……鼻血には抗えないってさすがに」

『うぅ、そうだけどぉ……もう俺帰るわぁ、バイバイ昴ぅ……』

「おん、バイバイ……」




いつもの帰り道……なぜか当然のように胡桃さんが隣にいる。いつもならあまり気にならないが、今回は訳が違う……なぜなら彼女のスク水姿を生で見てしまったからである。さすがに気まずい……できればその話はしてほしくないのだが……


『ねぇスバ君、私の水着……どうだった……?』


(早速じゃねぇえええかぁぁああッッッッッ!!!!!)


「え、えぇ……そ、そりゃあ、よ、良かったよ、ぉぉお??」


(いや、コレ完全にキモいだろぉぉおおおおッッッ!!!何言ってんだ俺ぇえええッッッ!!!完全にミスってる!返答ミスってる!オワターーーッッ!!)


『………ありがと』


(いや、まんざらでもなさそうぅぅうッッッッ!!良かった、怒って無くて……ひとまず安心だ)


『……ねぇ、いつか海とか行かない?』

「ほ、ほぇ?」

『だって、今日はスク水だったし……普通の水着も見てほしいし……ね?』

「は、はい……」



俺の頭の動作はそこで急ストップしていて、気づけば自分の部屋に居た……


………お、俺、海に誘われたのか?あの平井胡桃に……? 罠とかじゃないよな。俺が海に着いたら黒ずくめの男が俺の顔から下を砂浜に埋めて、平井胡桃が棒を持って顔面スイカ割り〜!!とかじゃないよな……?


でも、胡桃さんの水着を見ることに比べたらそんなモノ……やすいか。



スイカだけに……










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