第6話  スク水覗きチャンスの襲来

 


ジリジリジリ……


 太陽が俺の肌を照りつける。現在、体育の授業をしているのだが、我々男子はグラウンドでサッカー、そして女子は――


『おいおいおいッッッ!見ろよすばるぅぅうッッ!女子がスク水でお出ましだぞぉ!!』


 このデリカシーの無い男は、僕の親友(?)の羽柴弘大はしばこうた。僕と弘大は体操服を忘れて、グラウンドの隅で見学しているのだが……こいつは授業中にも関わらずソシャゲに夢中である。


「おい弘大、スマホ使ってるのバレたら取り上げられるぞ?」

『へへへ、大丈夫だよ。あの体育の先生は元々、視力が0.02でな? しかも今日は眼鏡とコンタクトを忘れたと来た!!』

「いや、瀕死状態じゃねーかッッ!!!」

『今もクラスのヤンチャ三人衆に取り囲まれて、永遠に先生の周りを回る遊びをされてるぜ……』


 まったく、クソ面白そうである。俺も参加したかった……


『………あ』


 弘大が目を見開き、何かを思いついた表情をしている……


『授業、抜け出さね?』

「ほぇ?」


 そんな台詞は漫画以外で聞くとは思わなかったし、その上にまさか男の口から聞くとは思わなかった。


「い、いや、流石にまずくないか?」

『いいじゃん』

「で、でも、他の先生にバレたりしたら……」

『いいじゃん』

「バレたら絶対、指導くらう羽目になるぞ……?」

『いいじゃん』


 弘大の得意技『いいじゃん一本槍いっぽんやり』である。これをされたものは、一定時間の間、弘大の言うことが正しく聞こえてしまう……なんてことは一切無く、ただただイライラするのである……!!


「……まぁ、今回だけ……でも、5分前にはここに戻るんだぞ?」

『よっしゃあ!30分の自由タイムだぜぇぇえッッ!!』




               ◆




「……で? 何するんだ、今から。かくれんぼか?」

『チッチッチッ、ほぼ正解。 ”覗き”だよ……!!』


 今のチッチッチッはなんだ……? そして、覗きだとぉぉおッッッ!? の、覗きってあの覗きかッッ!? 隙間からいやらしいのを見る、あの行動のことを指しているのかぁぁあぁぁあッッ!?


『なんてったって、あの平井胡桃ひらいくるみ様のスク水だぜぇえッッ!? 想像しただけで……ブホッッ、出るぜ……』


 た、確かに、そんな事を言われたら見たくない筈もない。俺は立派な高校生である。こんなチャンス、見逃せはしない……


『そ、れ、に、俺はもうひとり大量ベットしてる女がいる。それは白峰紀伊葉しらみねきいは様だよぉ……ジュルリ、おっといけねぇ』


 た、確かに、白峰は少し苦手だが……彼女の持つおっぱ、魅力は是非とも鑑賞してみたい……!!しかもスク水、そんなもんはちきれてしまうんじゃないか!? とも、思わされるほどのおっぱ、魅力の持ち主だぜぇぇえッッッ!?


「想像したら、胸が膨らむね………」


 おっと、ついうまいこと言ってしまいました。座布団もってきて〜!



              ◆



『よし……ここが一番見やすい位置だ。よし、見てみよ……おっほうッッ!!ここは絶景かよッッ!』

「おい弘大、あんまり大きな声出したらバレ――おっほうッッ!!」

『昴もじゃねーかッッ!!!』


そこには夢の楽園が広がっていて、女子たちがワイワイはしゃいで授業を受けていた……


『ブホッッ!!おい昴ぅ!見ろよあそこ、胡桃さんと紀伊葉さんのツーショットだぞッッ!!!』

「えぇッッ!!?? ちょ、どこだよッッ!」


そこには、二人で楽しそうに談笑している二人の姿があった……すっかり仲が良さそうである。そして……体のほうは??


「「ブホッッ!!」」

『お、おい大丈夫かッッ!?』


胡桃さんはスレンダーな体型にほどよいおっぱ、やはりどの角度からみても美しい。紀伊葉はもう……ボンッッボンッッである。スク水がはちきれそうな勢いだな……やはり、クラスの他の女子とは比べ物にならないおっぱ、グハッッ……


ポタタ……


『おい昴、お前鼻血出てんぞ……!』

「え……?」


制服のカッターシャツを見ると、白い服の上に赤い血の粒が数滴付いていた。


「やばッッッ!!!」

『ちょ、おまッ、声でかいって!』


僕は弘大に強引に引っ張られて、身をうずめて隠れた。


『おいッ!お前クラスの女子にバレたらどーすんだよ!学校生活の終わりを迎えることになるトコだったぞ!?』

「あ、危ねー、ギ、ギリ、セーフだ、だわぁー」



俺はすでに頭がパンク状態になっていた。



―――なぜなら平井胡桃ひらいくるみ白峰紀伊葉しらみねきいはの目が、完全に合ってしまったからである………





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