第4話 アストリオンの発現、そして
キーン、コーン、カーン、コーン。とベルが鳴る。授業が始まったり終わったりを示す鐘らしいが、今のは始まるほうの合図だった。たまには銅鑼とか鳴り響いたらいいんじゃねえのかな。とオレ様は思った。
(しまった、消しゴム忘れた。あぁ。しかもいきなり名前書き間違えた~~!……バロックに【第2の願い】で消しゴム出してもらおうかなあ)
……という、ヴァイオラのダメダメな思考が伝わってくる。
「(やめとけやめとけ。オレ様もそんなチンケな願いなんか、叶え甲斐がねーし」
「(え、何!? 頭にバロックの声が響いてくる!?)」
オレ様は親切なので、解説してやった。
「(あ、今オレ様、オマエの脳内に直接通話してるんで~)」
「(いきなり驚くからやめてよね……、よくある『悪魔の願い』の話だと、人間の願いを曲解して叶えてあげて、ガッカリするところを観察して楽しむような悪魔が多いみたいだけど……、結構真面目なのね)」
「(ハ! オレ様をそんな低級なヤツらと一緒にすんな! まあ最初は適当に叶えてさっさと帰ろうと思ってたが、ま、特別サービスでお友達ごっこに付き合ってやるよ)」
……ヴァイオラはニヤニヤしながらコッチを見て小声で呟いた。
「えへへ、ありがと」
「(……うっせ。とはいえ、【第2の願い】も考えとけよなー)」
「うーん、そうだなー。なんか『甘いもの』が食べたい」
「(……話を聞いてないんか)」
「『甘いもの』……『甘いもの』……」
ヴァイオラがそう小声で呟くと、なにやらコトリ、と机の上で音がした。
「(……え? これって……。……? なんで……?)」
すると、再びカツン、という音がした。……そして、ヴァイオラは何やらブツブツと呟き始めた。そのたびに、ポトッ、ポトッと、ノートの上に何か、軽い物体が落ちているような音が続いた。そのうち、音に気づいた前の席の女子がヴァイオラに小声で話しかけてきた。
「どうしたのヴァイオラ? なんだか音がするけど……」
「な、なんでもない! 大丈夫!」
「あれ、金平糖? ひとつ貰っていい?」
「あっ……食べちゃった……」
オレ様はヴァイオラに「(どしたん?)」と訊くと、ヴァイオラは机の下に左手をそっと伸ばしてきた。そして手のひらを上に向ける。
「(バロック、ちょっと見て)」
「(なんだ? 何もないぞ??)」
「(さっき『甘いものが食べたいな』って呟いたじゃない。そしたらね――)」
ヴァイオラが手のひらの上に意識を集中する。すると――。今朝、ヴァイオラの瞳に映っていたのと同じような『
「(な…!?)」
やがてそれは1センチメートルくらいの、小さな星の欠片みてーな砂糖菓子へと変貌していった。徐々に光がおさまり、空中に浮いていたそいつは重力に引っぱられて、ヴァイオラの手のひらへぽとりと落ちた。ヴァイオラは、もう一方の手でそれをつまみあげると、鞄から顔をちらと覗かせているオレ様の口内にぐいっと押し込んだ。
「むぐッ! (あ……甘ッ!? な、何がどうなってんだ!?)」
「(私が聞きたいんだけど。寝てる間にバロックが何かしたのかと思った)」
あー……、心当たりはあるっちゃある。
「(……じつは今朝、知り合いに通話して聞いたんだが、オレ様が一晩中添い寝サービスしたせいで、オマエの体質が変化している可能性があるらしい。そのせいで妙な能力が身に付いたのかもしれねー)」
「(そうなの? うーん、今更何が起こっても驚かないけど……)」
「(――昼休みに屋上行こうぜ、その知り合いにもっかい詳しく聞いてみっからよ)」
「(ん、了解)」
午前中の授業が終わり、隙あらばヴァイオラに話し掛けようとするモブ軍団や、女を見る目のない他クラスのサル共がたかってくるが、巧みにそれを回避してヴァイオラは屋上へと向かった。屋上の扉は鍵がかかっていた。
ヴァイオラは自分の指先をしばらく見つめ、何を思ったか鍵穴に指を触れて意識を集中させる。と、ガシャンという音がし、ドア解除の実績、まさかのアンロック。キィ……とドアが開け放たれ、雲ひとつない青空が顔を覗かせた。
「うわっ! 開いた!」
「何自分で驚いてんだよ! ってか何で開くんだよ。……ともあれ、詳しそうなヤツに訊いてみよう。オマエも会話に参加な。……オイ、バッドロック! 居たら返事しろ」
しばらくして。ストラディバリウスのような、無駄に涼やかな声がオレ様たちの頭に響いてきた。
――何だ、バロック。娘が妙な力にでも目覚めたか?――
「……何で分かったんだ? ……ヴァイオラ、コイツはバッドロック。ゆるふわなゴミ袋っぽい見た目の、オレ様と同じドグネク族の悪魔だ。趣味は『面倒ごとの解説』だ」
「ゆるふわ……。こんにちは、バッドロック。よろしくね!」
そして、バッドロックはもったいぶりながら、この力についての説明をしはじめた。
――ごきげんよう。では、さっさと本題に入ろう――
――娘、オマエのその力は、『アストリオン』という――。生命の持つ精神体のことを
――我々、悪魔の力を『
『
――生命体が何かを願うとき、体内に『願いのエネルギー』というものが発生する。悪魔はその『願いのエネルギー』を利用し、宿主の願いを叶えてやる。それが『
――『アストリオン』とはなにか。それは、悪魔と混じった生命体が、自分自身の『願いのエネルギー』を自力で操れるよう進化した能力のことだ。つまり『
――但し、悪魔と人間は精神構造が異なるため、一度に操ることの出来る『願いのエネルギー』には限界がある。つまり『アストリオン』は……、即効性はあるが「小さな願い」しか叶える事が出来ない。より「強い願い」には、『
「『アストリオン』は、私自身が小さな願いを叶えることができる能力で、『悪魔の願い』はバロックに強い願いを叶えてもらう能力、ってことか。……うーん。小さな、っていうのはどの程度なのかな?」
「それは確かめてみないと判っかんねーな。何しろオレ様もはじめて聞いたしさ」
――久しぶりに沢山語ってしまった。疲れたので寝させてもらう。では――…
「あっ! もしもし? ……切れちゃった。今度話すときはお礼言わなきゃ」
「だな。さて、午後の授業終わったら行くんだろ? あの神父のおっさんの教会。あのおっさん、オマエのこと訝しそうな目で見て、妙なこと呟いてやがったし、いざってとき何かの役に立つかもしれねーから、『アストリオン』の練習しといた方がいいかもな」
「そうだね。念のため、ね。バロックを悪魔祓いされても困るし……。どの程度のことが出来るか、確認しよう」
「お、都合よくいいモンが転がってるぜ」
オレ様は屋上に転がっていたレンガを拾ってヴァイオラに渡す。なんで屋上にレンガが転がっているのかは知らんけど。空手部が試割りにでも使ったんだろうか。
「お、重っ!」
「筋トレとは無縁そうだもんなーオマエ。そのレンガ、試しにブッ壊してみろよ。『アストリオン』でよ」
「うん、やってみる」
ヴァイオラが目を瞑り集中する。と、右手に翠緑の光が集まり、ピシッと音がして、1秒後、まるで豆腐を握り潰すかのごとく、ガシュッと堅いレンガをブッ壊した。ゴツッ、パラパラ……と、瓦礫粉塵と化したレンガが屋上の床に落ちる。
「嘘っ。こんなに簡単に……」
「オォ~。いいじゃんか。これで変態に襲われても瞬殺だな」
「うへっ。うっかりやっちゃったら大変だ。逆に、修復することもできるのかな」
ヴァイオラが瓦礫を集め、両の手で覆ったまま『アストリオン』を集中していく。すると果たして、録画したアニメを逆再生するかの如く、壊したときより少しだけ早く、元のレンガへと完璧に修復された。
「うおーマジか……、エントロピーの逆行はしてない……、というかそれは小さな願いレベルでは不可能な現象だろうし……、単に空間の情報を復元しただけか……? 願いの大きさに応じて最適化されてんのかな……、バグ技というより、元から存在していた力、なのか……? ブツブツ……」
「バロック、なにぶつくさ言ってるの? 後は……そう、こんな事は出来るかな?」
ヴァイオラは手をぎゅっと握り締め、『アストリオン』を集中させる。そして、ゆっくりと手を開いていくと……手のひらには、なんかの種が出現していた。
「まさか、生命まで作れるのか……!?」
「そうみたいだね。このまま育ててみたらどうなるだろう」
もちろん、そのまま種は成長していき、芽生え、茎が伸び、葉が茂り、花が咲いた。すみれ色の、花弁が5つついた小さな花だ。恐るべきスピードで。
「ほらほら、ヴァイオレットの花だよ。わたしの仲間だね」
「いや、似てるの名前だけじゃねーか!」
「ほら、可憐なところとか」
「うーむ……。本来掛かるコストから逆算すると、今のが最速だったのは間違いない。もしかすると使い手によって『得意分野』があるのかも……」
「もう! 無視しないでよ!」
ヴァイオラはむっとしながら『アストリオン』で植木鉢を創り出すと、そこにお仲間の植物を植えた。更には水入りのジョウロで潤いを与え……。もはやなんでもアリか。ヴァイオラは傍らにそれをトン、と置いた。続いて、右手を掲げて高らかに呪文を叫んだ。
「トールヘーゼルナッツラテアドシロップ!」
「ちょ、オマ、それって……」
左手の指パッチンと共に、ぽん! と煙が立ち昇り、右手にカップコーヒーが出現した。どっかで見たようなトレードマークの緑色が、紙カップのデザインをピシッと纏め上げていた。ご丁寧に蓋とマドラーまで付いてやがる。
「……熱っつ!!!」
「……はぁ、多分コレ、オマエがパッと思いつく程度の事なら、大体何でもできるな。……んじゃあ、コレはどうかな?」
オレ様はズズズ……と悪魔パワー的なモノを集中し、昨晩のナイフをもう一度出現させた。年代モノのナイフはオレ様の眼前、空中に留まっている。
「止められるかな?」
「や、やってみてよ!」
どうせ不死身になってるし、試しにマッハ1の速度でブン投げてみようか。ハンドガンの弾速と大体同じくらいだが、さて。
「行けッ!!」
「!!」
ヴァイオラは目を瞑り、「(止まれ!)」と強烈に念じながら、拳を握り締めてビクッ! と一瞬体を硬直させた。ベールのような『翠緑のアストリオン』が刹那、その身に包まれた。そのベールに触れた瞬間、ピタリとナイフは空中に静止。ヴァイオラはプルプルと子犬のように震えながら、おそるおそる目を開けた。
「止まっ……てる?」
「ほー。不死身さに拍車が掛かったな。マトモな手段でオマエを傷つけることが出来る人間は、滅多に地上にいねーだろう。望まない願いに対しての拒絶反応が顕れてるンだな。これを突破できるのは、攻撃的な『
そのとき、キーン、コーン、カーン、コーン……、と。
「あッ! お昼休みが終わる! 教室に戻らなきゃ!」
「おっと、そうだな」
オレ様はヴァイオラの胸元にシュッと潜り込んだ。鞄の中が一番のお気に入りスポットだが、ここもまあ悪くない。
「ちょっと! くすぐらないでよね!」
「へーへー」
階段を駆け下り、人気の少ない廊下を早足で歩いて、教室に幽霊のように侵入する。その後の授業時間はひたすら机の上で、ちまちま『アストリオン』で何かやっているようだったが、おそらくロクなことは考えていねーだろう。お楽しみはとっておくことにして、思考を覗くのはやめた。
さて、一日の学業(研究?)を終えたヴァイオラは帰路に付き、級友たちと他愛もない日常会話を繰り広げる最中、ちょっと悪戯そうな目つきをして、手のひらを皆に見せた。
「ねえ、ちょっと見てて」
そう言うと、『翠緑のアストリオン』で、手のひらの上に一瞬、光るモルフォ蝶を出してみせ、フッとそれを消してみせた。『アストリオン』について、他人に隠すつもりはあまり無いようだ……。なんだか面倒くせートラブルに巻き込まれる原因にでもなりそーだなぁ、とオレ様は思った。こいつがフラグじゃないことを祈るばかり。
級友たちは目をまんまるにして口々に「すごーい!」「手品!?」「どうやったの!?」と叫んでいたが、ヴァイオラは「秘密」とだけ口にして、ククク……と笑いをこらえていた。
「明日ネタばらししてよねー!」
「じゃあ、また明日ね。バイバイ」
雑木林の少し手前の分かれ道。ヴァイオラは級友達と別れた。
「…ふう、やっと
「スマホでマップを見てみよっか。あれ、ここから3kmもあるんだ……。ふふふ、じゃ、こんなの出来るかな?」
……と、ヴァイオラはスマホのマップアプリを開いたまま、『翠緑のアストリオン』を集中させる。キィィン! と微かに、高周波のような音がする。オレ様はメッチャ嫌な予感がした。
「ちょ、待てよ。ま、ま、まさかだよなー。え、マジで? そんなことまで出来たら、流石に、オレ様の立場が――」
「
フッ、と景色がフェードアウトし、3秒ほどのタイムラグを経て、スウッと視界が戻ってきた。欝蒼とした森の中、空が開けた一角に佇む洋館――が見える。周囲に人の気配はない。
「うわっ、出来た」
「……」
一瞬頭が真っ白になったが、オレ様の聡明な頭脳はすぐさま色々考えた。物質的な双転移とか強引なやり方でなく、空間内の量子情報を置換してるんだな。転移後に木や崖、地中に埋まったりとかしないのは、無意識のうちにそれを望んでいないからだな、などなど。それにしても――
「これぞザ・洋館っつー感じだな……。映画やゲームなら間違いなく奇妙な仕掛けが大量にあって、ゾンビの大群が押し寄せてくるか、密室殺人大会の会場になるよな」
「バロックって変なことには詳しいのね」
錆びた鉄格子の門を開けると、苔むした石畳が入り口まで繋がっている。雑草はそこそこ刈り取られているが、花もなく質素な雰囲気だ。黒檀で出来た重そうなドアの備え付けられた玄関には古めかしいブザーがあり、ヴァイオラが白魚のような人差し指でつい、と押すと、か細い音で「ブ―――」と鳴った。
――はい。どちらかな。
「こんにちは。今朝、曲がり角でぶつかった者です。ご挨拶に伺いました」
――わざわざありがとう。開いているので入ってくれ。
「わかりました」
「(オマエさ、意外に礼儀がなってるよなー)」
「(うるさいなー。いいでしょ別に)」
館内は事前の予想通り……いや予想以上に、なんか出そう感満載の雰囲気を漂わせていた。火の付いていない蝋燭が乗ったアンティークな燭台が、これまたアンティークな聖餐卓に安置され、聖餐卓の裏には蓋のしまった棺が一つ……。ヒビの入った白塗りの壁には服を着て横になっている女性画とか、ダ・ヴィンチの宗教画っぽいタペストリーが掛かり、クモの巣がかかった懺悔室があり……。
「いらっしゃい」
「うわあ!! こここんにちわ!!!!」
背後から神父のおっさんに声をかけられたヴァイオラは、突然ネギを見せられた猫のように10センチメートルくらい飛び上がって、素っ頓狂な声でご挨拶をキメた。「今更何が起こっても驚かない」んじゃなかったのか……。オレ様はヴァイオラの鞄の中で笑いを堪えるので必死だ。おっさんの服装は今朝と同じで、キャソックに眼鏡、白髪頭のバリューセットだ。
「ああ、驚かせるつもりは無かったんだが。すまない」
「い、いえ! その……朝は大変失礼しました」
と、いつの間にか用意していた菓子折りをおっさんに手渡した。
「(どうせ横着して『アストリオン』で出したんだろ)」
「(……)」
「これはわざわざ。コーヒーでも淹れよう。少し待っていてもらえるかな」
「はい、ありがとうございます」
暫くして、挽きたての豆で淹れたコーヒーが運ばれてきた。
「いい香りですね。……美味しい!」
「私はコーヒーが好きでね……。そうそう、今朝の件だが、破損した道具は代えの部品があったので修理できた。安価なので、気にしないでもらって大丈夫だ」
「本当にすみませんでした」
ヴァイオラが頭を下げる。コイツは本当に素直なヤツだな。
「……そうそう、申し遅れた。私の名はモディウスと言う。ここで一応、神父のような事をやらせてもらっている」
「私はヴァイオラといいます。先日、麓の高校に転校してきました」
「ふむ……」
おっさんの目の色が少し変わった。眉間に少し皺を寄せ、ヴァイオラの顔をじっと見詰めている。
「(ヴァイオラ、本題が来るぜ)」
「(ええ、分かってる)」
ヴァイオラが手に汗を握る。悪魔退治の神父サマに、悪魔のオレ様が見付かったらヤバい事になる可能性は高いが。同じ町に住んでいる以上逃げ続けてもいずれエンカウントは避けられないし、おっさんの腹の内をさっさと確認してしまおう、ということだ。場合によっては、バトルが発生する可能性も考慮して。というか、十中八九その方向性に流れるだろう、とオレ様たちは踏んでいた。屋上での確認作業はそのために行ったのだ。
「ヴァイオラ君。君は悪魔を飼っているね」
「……っ!」
ド直球すぎる一言にヴァイオラは完全に沈黙してしまった。ただまあ、下手に言い訳するよりも、沈黙する、というのがある意味正しいのかもしれない。普通だったらいきなりそんな事を言われても、理解が及ばず思考停止するだろうからな。だが――
次の台詞は完全に予想外の一言だった。
「私もだ」
「……え!?」
「(え!?)」
オレ様たちは不覚にも、完全に同じリアクションを取ってしまった。
「鞄に隠れているお前も、気付いているのだろう? 私の本業が悪魔祓いであることにも。だが君達が敢えてここにやって来たのは、私がヴァイオラ君の異変に気付きつつも、なぜか見逃したからだろう」
「……」
「チッ、いいぜ。もう隠しっこはナシだ」
オレ様はヴァイオラの鞄から姿を現した。
「つまり、アンタも『宿主』ってワケか」
「その通り。なりは小さいとはいえ、流石は悪魔。ご明察だな」
「……まさか神父様が、私と同じ……、悪魔と一緒にいるなんて……!」
「確かにな。……紹介しよう」
モディウス神父が告げると、背後の空間がぼうっと歪み、聖餐卓の裏にあった棺がゆっくりと宙に舞った。そして、静かに中から、錆びた金属のような骸骨の手が這出て、蓋をキキキ……と開けた。聖餐卓の蝋燭に火が灯り、暗がりだった内部に光りが差し込むと、デスメタルバンドが好んでモチーフに使いたがるような、禍々しい山羊の頭骨っぽい金属を被った、暗黒の塊が顔を覗かせた。顔、というのは、頭部らしき部分に二つの光点が浮かんでいたため、それが目に見えたからだ。
そしてオレ様は、この悪魔のことを知っていた。
「ゴーティオン!!」
to be continued...
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