自己紹介

 取り敢えず、新住人達に。

 一人ずつ立ち上がり、自己紹介して貰う。


 「私の名は、ヨハ。人族の男で、騎士団の副団長をしておりました。公爵の息子、ヨーミ様にたてついた為。奴隷になる事になり。あの場に、連れて行かれました。救って貰った恩を、返せるまで。精一杯働きます!宜しくお願いします」


 副団長?凄いのかな?

 良くわからないけど、拍手しておいた。


 「私は、人族の女。リーラと言います。王都で、食堂を経営しておりましたが。同じく、ヨーミ様から無理やり奴隷にされ。伯爵様に、買われました。食事を、これからはここで作って行きたいと思います」


 また、ヨーミ?ろくでもないな!

 食事係が、いてくれるともの凄く助かる!

 頼りにしたい。


 「私は、人族の女。騎士団に所属していた、ミラと言います。ヨハ様には、かないませんが。頑張ります」


 女性なのに、騎士団だったんだ。

 女騎士!

 クッコロが、聞けるかな?


 「私は、人族の女。伯爵家の、7女です。名前は、ノリスです。姉たちに、苛められ。帰りたくありません。どうか、ここに置いてください!」


 伯爵家?

 あの娘なの?

 ちょっと心配だけど。

 皆は、良いって言ってたし。

 大丈夫なのかな?


 「俺は、魔物の男だ。ハンターに、捕まり。奴隷になった。行く所もないし。ここで、暮らしたい。名前は、何とでも呼んでくれ」


 いずれ、ハンター達も。

 この森に、来る事だろう。

 話を、後で。

 聞いておこう。


 「僕は、魔物の男です。人に騙されて、奴隷になりました。物を作るのが好きです。宜しくお願いします」


 イイね〜!

 一緒に、色々作ったり。

 ガドムに、任せるのも良いかな?


 「俺は、魔物で男だ。助けられた恩を、返す為に来た」


 完結で、男らしい!

 でも、見た目。

 豚に、見えるけど。

 どんな、仕事頼もうかな?


 「私は、魔物の女です。ユウイチに、助けられ。ここで、一緒に暮らしたいです」


 これは、告白?

 違うよね。

 ユカリさんが、睨んでるけど。

 俺に、睨まれても。

 困るよー!

 どうしよ?


 「俺様は、ゲイルだ!悪魔で、ユウイチとは長い付き合いをするつもりだ」


 なんか、俺の秘密を知ってから。

 態度が、でかい気がする。

 後で、注意しとか無いと!


 「最後に、私は悪魔の女。ゲイルと、夫婦になるつもりです」


 ほう。

 それは、ゲイルの弱みになるんじゃないか?

 ゲイルは、聞いていなかったようで。

 驚いているし!

 後で、イジってやろう。


 「私は、元奴隷ではなく。ユウイチさんの、魅力にメロメロになり!こちらに、来ました。宜しく」


 何言って、くれちゃってるの?

 ほら、ユカリさんなんて。

 怒髪天じゃない?

 大丈夫かな?



 「次は、私達ですね。私は、この村初めての住人。ユウイチさんと一緒に暮らしている、ユカリです。これからは、ユウさんの補佐として。サクラ村を、支えます」


 「私も、ユウさんを支えます」


 リーラさんが、ユウさん呼びで言ってくれるが。

 睨み合う二人。

 ユカリさん、気持ちは嬉しいのですが。

 喧嘩は、良くないですよ。

 どうしたらいいかな?

 なんて、眺めていたら。

 魔物女性が、無言で俺の横に座った。


 椅子を、持ってきて座る意味がわからず。

 彼女を見ると、笑顔で。


 「私に、名前を下さい」


 「えっと、まだ出会ってまものないし。まだ早いんじゃないかな〜なんて思うんだけど」


 皆の視線が痛い!

 特に、ユカリさん!怖くてチビリそうです。


 「名付けは、信頼関係の証!出会ってからの時間は、関係ありません」


 なんて言うもんだから、俺も!私も!と、名付け希望者が増える。


 「まぁ、よく考えてほしい!名付けは、しても良いけど。すぐにでは無く、そうだね。明日まで、同じ考えなら名付けするよ」


 「本当ですか?ありがとうございます」


 そうやって君は、胸を押し付けて来るけど。

 恥ずかしいので。


 「ユカリ補佐!後の事は、任せた!少し、昨日の現場を確認して来る」


 そう言って、返事を待たずに。 

 村の外へ。

 暫くして、後ろからすごい速さで近づく者が!

 そのまま、タックルのように。

 俺に、抱きついてくるが。

 支えられず。

 突っ込んできた、勢いのまま。

 2回転して、地面に転がる。


 「いてぇ〜。誰?」


 「ヒヨだよ!ユウイチと一緒」


 心配してくれたのかな?

 それとも、ただ来たかっただけ?

 いんだけど、痛いから。


 「ヒヨ!来てくれて嬉しいけど。タックル禁止!痛くて、ヒヨを嫌いになっちゃうかもよ?」


 「ゴメンナサイです」


 反省してくれてるなら、いいのかな?


 「次は、気をつけてね」


 そう言って、頭を撫でると。

 ヒヨは、悲しそうな顔から笑顔に変わる。

 単純なのか?

 コロコロ表情を変えるヒヨを、可愛く思えた。


 昨日の、戦場場所に来ると。

 公爵達は、もう居なかった。

 中途半端な建物が残っていて。

 その裏側に、山盛りの土が。

 剣が、刺さっている所を見ると。

 お墓なのかもしれない。

 そこから、少し離れた森から出た場所に。

 家を、建てることにした。

 集合場所にも、使えるし。

 休憩スペース的な?

 あまり、凝ったものを作るつもりは無いので。

 チャチャと、やってしまう。

 木は、いっぱいあるので。

 木を、切り倒す。

 十本位倒した所で、魔法で遊びたくなり。

 爪から、風の刃が飛んで行くイメージをして。

 「風爪斬(フウソウザン)」


 カッコいいかな?

 でも、弱そう?

 中二病発生中の為。

 色んな名前を付けながら、色々試してみる。


 「水道」


 ただ、手から。

 水が出るだけ。

 蛇口から、捻り出されたかのように。

 それだけなのに、命名して。

 本人は、楽しそうだ。

 そんな時、声が聞こえる。


 「楽しいの?」

 「あんた、何してるのよ!」

 「少し、周りを見なさい!」


 少し、呆れてるような?怒っているような?

 そんな声だった。


 言われて、周りを見ると。

 木は、何十本も倒され。

 燃えた後や、水浸しの所や、土が盛り上がっていたり、大きな穴があったりと。

 天変地異が、起こったように思える景色に変わっていた。


 ヒヨの姿がなく。

 もしや、傷つけてしまったのではと?

 心配したが、精霊さんたちに聞くと。

 飽きたのか?

 森の中で、狩りをしているそうだ。


 無事で良かったけど、これどうしようかな?

 俺が、元に戻すしかないよね。

 と、肩を落とすと。

 精霊さんたちが、頭や肩を叩き。

 元気付けてくれる。


 遊び過ぎた事を、反省して。


 木を、平野に移動させ。

 土魔法で、元に戻して行く。


 俺には、歯止め役が必要だなと思いながら。

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