帰還

 「私は、1人で行くと言っています。騎士団は、ダール様に任せますので」


 「そんな、勝手な事が許されると思っているのか?」


 「ララ様とシシ様の、護衛も必要ですから。私が、適任です」


 「お前は、子供に嫌われるんだから。適任なわけ無いだろう」


 「シャル様!私達をどうか、連れて行って下さい!」


 あ〜、面倒くさそう。

 行きたくないけど、仕方無い。


 「シャルさん、置いていきますよ」


 「待って下さい!すぐに、行きますから」


 「ちなみに、後から追いかけて来ても。俺を、見つける事は不可能だと思って下さい!」


 「待って!どうか待って下さい!本当に、直ぐ終わらせますので」


 また、揉め始めたので。

 本気で、置いて行こうと考えていた時。


 「私は、ただのシャルとして。新しい人生を、歩みます。文句のある人は、相手になります!」


 そう言われると、誰も口答えしなくなった。

 ただのシャル?

 今までは、ただのシャルじゃないの?

 無理だと、断れば良かった。


 無事?シャルも加わり。

 総勢26名で、移動する。


 先頭を、ユカリさんに任せて。

 最後尾に、俺とヒヨがいた。


 案の定、付けてくる者達がいた。

 村に来る事を、断られた魔物達と。

 他の方向から、兵士達。

 精霊さん達が、教えてくれた。


 そのまま、眠らせるよう頼み。

 何食わぬ顔で、村に向かう。


 すると、悪魔の男性ゲイルが来て。

 「殺した方が、良かったんじゃないか?」


 と言うので。

 「殺せば、解決て考えはしたくない。だから、これで良い」


 「まぁ良いけどさ、この迷いの森に。住める場所なんてあるのか?」


 「信じて、付いてきたんじゃないの?」


 「いや、お前といると。退屈しなそうで、面白そうだから付いてきた」


 「何それ?精霊さんが、良いって言ったから別に良いけど」


 「精霊と、話せるなんて。本当なのか?信じられる奴は、いないと思うが」


 「そうなの?皆、理解してくれてるけど?」


 「んな訳あるかい!もし、真実ならお前の村が異常なだけだぞ」


 え?そうなの?

 なんか、簡単に信じてくれた気がするけど。


 「まぁ、眠らされた現実があるから。信じれるけどな」


 「魔法で、眠らせたかもしれないじゃん!」


 「それなら、魔法の痕跡が残る。でも、お前だから残らない可能性もあるのか?」


 「何だよ!お前だからって!」


 「ぶっちゃけ、あの魔法を見たら。お前が、神の使いに思えるぞ」


 「それなら、流暢に人族の言葉を話すお前だって。俺にとっては、異常だよ」


 「いや、悪魔なら誰でも。この位、話せるから。強いて言うなら、昔。日本人って奴に、教わったからかな?」


 「ちょっとまて!日本人?この世界には、いないんじゃ?」


 「やっぱりお前は、この世界の人間じゃないな!理解した!」


 やっべ!

 日本人を、知ってるなら。

 色々バレそうだ!

 異世界人って、言葉が出る位だし!

 対応に、困る!

 神の使いってのが、異世界人なら。

 俺は、神の使い認定されてしまう!


 俺が、警戒しているのを見て。

 ゲイルは、

 「そんな、警戒するなよ!一応言っておくと、そいつは死んでいる。生き返る事が、出来なければだがな」


 それって、フラグじゃないの?

 いずれ、黄泉がえり。

 俺の前に、立ち塞がる的な!

 とは言え、考えてもしょうが無いし。


 「ゲイル君に、頼みがある」


 「突然君呼び?何だよ!」


 「この事は、誰にも話していない。だから、2人の秘密にして欲しい」


 「良いけどよ。なら、貸1つな」


 「俺が、助けたのでチャラにしろよ!」


 「ケチだな〜」


 「ケチで、結構だ!それより、その異世界人について教えてくれ!」


 「良いけどよ、あんま覚えてないぜ」


 ドヤ顔で、言うなよ!

 バカそうだもんな。


 「そうすると、神の使いって。異世界人の事?」


 「いや違うと思う。神の使いは、とてつもない力を持ち。神の言葉を、伝えて回る人で。異世界人とは、聞いていないけど。アイツいわく、この世界に連れて来たのは神で。神の言葉を、伝えているのは。神と、敵対する者じゃないか?だと言っていたぞ!」


 どゆこと?

 神と敵対?

 魔王?

 情報が、足りない。

 でも、まずは。


 「ゲイルは、俺の味方になるか?敵になるか?」


 「それは、味方になると簡単に言えるが。信用できるのか?無理だろ!一応、アイツに恩もあるし。望んで、敵にはならないさ」


 そうだよな。

 言葉にしても、本心かわからないし。

 結局、俺が判断するしかない。


 「アイツって、言ってるけど。日本人の知り合いの、名前は何?」


 「カズヤって、名乗ってたけど。本当かどうか。俺には、わからないし。聞いた事の無い、名前だったからな」


 カズヤか、日本ならありえるよな。

 この世界で、聞いた事無いなら。

 間違いないだろう。


 「色々、教えてくれて。ありがとう。後でまた、聞かせて貰ってもいいか?」


 「別に構わないが、俺にも。色々、教えてくれよ。異世界の話は、面白いからな!」


 ゲイルは、日本の話が出来る。

 今まで、いなかったので。

 これからの生活は、もっともっと楽しい物になりそうだ。


 尾行もいない。

 これで、やっと帰れる。

 我が家に!


 そんな時、1人近寄ってくる人が。

 空気を読んだのか、ゲイルは離れていった。


 「何故私を、連れて来てくれたのですか?」


 「あの時は、ありがとう。本当に、助かったよ」


 「自分でも、どうして助けに入ったのかわかりません。ただ、貴方の事を。知りたいと思って、一緒に行きたいと伝えただけです」


 「そっか」


 俺は、彼女に救われた。

 魔物の女性1名は、俺を救ってくれた女性だった。

 偶然でも、女性の顔面に。

 ファイアーボールを、ぶち当て!

 治療は、したものの。

 まさか、助けてくれるとは。

 それに、村に来たいと。

 言うとは、思わなかった。


 精霊さんの、意見も聞かずに。

 即答で、良いよと伝えた。


 助けてくれたから?

 罪悪感から?

 理由は、俺にもわからないが。

 俺自身も、彼女の事が知りたい。

 話したい。

 そう思っていた。

 魅力を、感じている訳ではないと思うが。

 自分でも、わからない。


 そうこうしている内に、村が見えて来た。

 帰ってきたんだ。

 そう思いながら、村に入ると。

 初めての人達は、驚き。

 はしゃぐ者。

 頬をつねり、現実ではない。

 夢なのでは?

 と、思う者。

 バラバラの反応に。

 俺は、疲れていて。

 ユカリさんに、後を任せて。


 家の中へ。

 ベッド目掛けて、ダイブし。

 そのまま、眠りに付いた。


 帰ってこれた。

 精霊さん。


 ありがとう!


 その言葉を残し。


 眠りに、付いた。

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