サクラ村

 「アーリア達は、どうする?」


 「私は、国に帰る事を勧めたのですが。シシとララは、村に残りたいそうです。なので、もし良かったら残りたいです」


 「ガドムは、どうする?」


 「アーリア達と、共にいる」


 そうですか、2人はできてますもんね。

 そりゃ〜離れたく無いですよね。

 「シシとララは、帰らなくて良いの?村には、何も無いけど。寂しくない?」


 「寂しくない」

 「色々あるもん」


 2人共、可愛いな。


 「そっか、人の入れ替わりがあるから。アーリアさんか、ガドムさんと一緒にいるようにしてね」


 「「うん!」」


 良い返事だ。


 さて、マークとガイに餞別として金貨1枚を渡す。

 悪魔の、ゲイルと女性の分だ。


 魔物33名と、人族12名の前で。


 「今からあの、テーブルのある所で。金貨1枚を、全員に配ります。これは、自由になった皆に受け取って貰いたい。特に人族の方は、生活するのにお金は必要ですので。遠慮なく、受け取って下さい。あと、要望があれば。受け渡す時に、聞きますからね」


 そう伝え、テーブルの場所に移動する。

 ユカリさんと、アーリアさん。

 それに、ガドムさんとララとシシ。

 5人と、精霊さんで対応する。

 スピードと、ヒヨが。

 バラバラだった、元奴隷達を。

 1列に、してくれた。


 「皆、遠慮なく意見や質問して良いからね」


 1人目は、人族の男性だ。


 「救って頂き感謝します。私は、平民です。口減らしで、奴隷になり。帰る所は、ありません。あなたの元で。恩返し、させて貰えないでしょうか?」


 「皆は、どう思う?」


 と聞くと、精霊さん達を含め。

 皆、良いそうだ。


 「名前は?」


 「ヨハと言います。何でもしますので、宜しくお願いします」


 2人目は、魔物女性。

 見た目、テナガザル?


 「私は、故郷に帰りますが。人族の所には、二度と行かないので。お金は、いりません」


 「わかりました。ですが、お金はあっても困らないのでは?」


 「持っていると、使いたくなりますから。貰っても、捨てます」


 よっぽど、人族が嫌いなのだろう。

 無理に、渡してもしょうがないので。


 「わかりました。何か、困った事があれば。ここに、来て下さい。定期的に、この場所に来るようにしますので」


 「遅れましたが、救って貰い。ありがとうございます」


 3人目は、魔物の男性。


 「俺は、あんたの所で働きたい。役に立つぜ!」


 ここで、静観していた皆が何か言いたそうにする。


 「「「あれは、ダメ」」」


 珍しく、精霊さん達が口を揃えてダメ出しだ。


 「お兄ちゃん、なんかね。怖いよこの人」


 「僕も、怖い」


 ララが、怖がると。

 シシも、同じだと告げる。


 お兄ちゃん?

 イイね!

 ララちゃんの、言う通りにするからね。


 「済まないが、お金を受け取り立ち去ってくれ」


 「何だと!他の奴は、良くて俺はだめなのか?理由をいえ!」


 「簡単だ!俺がお前を、信用できそうもないからだ!」


 唇を、噛む魔物は。

 テーブルの、上にあった金貨を取って。

 立ち去った。


 そうやって、次々と進める。

 結構皆、意見してくれる。

 精霊さんが、反対すれば皆も反対するし。

 意見が、別れることが無かったので。

 スムーズに、進んだ。


 人族の男性1名。(ヨハ)

 人族の女性3名。

 魔物の男性3名。

 魔物の女性1名。

 それと。

 悪魔の男性1名。(ゲイル)

 悪魔の女性1名。


 計10名。

 俺も含め、17名いたが。

 ガイとマークが抜けるので。

 15名。

 10名増えて。

 25名に、なるのかな?


 話が終わり、そんな事を考えていると。


 「よろしいですか?」


 と、話しかけられた。


 「私を、お側に置いて貰えませんか?」


 「無理!」


 「え?早くないですか?少しは、考えて下さい!」


 「俺を、笑って殺そうとしたシャルさん。無理です!」


 「嫌です!付いて行きます」


 「シャル様が行くなら、我らも共に行きます」


 「駄目って、言ったよ!連れて行かないから!」


 話が、進まない。

 一応、精霊さんに聞くと。


 「ウ~ン、大丈夫かな?」

 「良いけど、一緒に来る人は限定しないと。駄目な人がいる」

 「歓迎!面白い」


 「面白いって、なぜ?」

 笑っている、精霊さん。

 活躍してくれたし、しょうがない。


 「わかったよ。シャルは、良いけど連れは何とかして!」


 「ウフフ、ありがとうございます。聞きたいことが、山程ありますし。お手合わせも、お願いしますね」


 怖い!

 やっぱりやめようかと、思ったが。

 もう側には、いなかった。


 ユカリさんと、2人になるよう端っこに行く。


 「色々ありがとう。助かりました。人が増え、まだまだ迷惑を掛けてしまうと思いますが。側にいてくれますか?」


 俺の中で、ユカリさんの存在は大きく。

 他の人達が、居なくなっても。

 ユカリさんには、側にいて欲しいと思っていた。


 「勿論です!お説教も、残っていますしね」


 忘れてたよ。

 苦笑いを浮かべ、この後どう言う風に。

 帰るか、相談する。

 多分、尾行する人達がいると思うので。

 対策もしたい。


 そこへ、ガドムが来る。


 「あそこの、お前が拒否した奴が。悪巧みしているようだ。殺すか、動けなくしてから移動した方がいい。他にも、不穏な奴がいる。どうするつもりだ?」


 「ちょうど、その事を話していたのですが。ガドムさんは、どう思いますか?」


 「尾行して来た者は、殺す」


 「物騒ですね。なら、精霊さんに。尾行する者を、眠らせるのでいいでしょうか?」


 「精霊様だよりだな。良くはないが、わかった!人質を取られる失態を、犯した。2度と、こんな事がないようにしたい」


 「そうですね。私も、そう思います。協力してくれますか?」


 「まぁな」


 さて、公爵に挨拶でもして。

 帰りますか。


 「公爵様。そろそろ村に、帰りたいと思います」


 「そうか、所で村の名前は何だ?」


 名前か〜。

 どうしよっかな?

 人が増える予定が無かったから、名前の必要性も無かったのに。

 これからは、必要になるだろう。

 何が、いいかな?


 「サクラ村です」


 へ?

 間抜けな顔して、声のする方へ。


 ユカリさんが、ドヤ顔だ!


 「ユカリさん?何故サクラ村ですか?」


 「サクラザカさんの、村だからですよ!」


 俺、何も言ってないよね。

 皆が、納得してるけど。

 いつの間に?

 良いんだけど、何でも。


 「らしいです。公爵様、色々ご迷惑お掛けしました。いずれ、お伺いします」


 「ユウイチ殿、心から感謝する。必ず、訪ねて来て欲しい。待っている」


 そう公爵と、話ていると。

 何やら、揉めている人達が。


 シャルさん、もう帰りたいので早くして!


 置いていきたい気持ちを、我慢して。


 騒ぎの中心にいる。

 シャルさんの所へ向かう。

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