結末

 「ユウイチ殿。今回の、報酬として金貨50枚を。お受け取り下さい」


 「?ミスリルの代金ではなくて?」


 ダールが、渡してくれるが。

 報酬?


 「そなたが助けた者達の中に、他国の王族がいたのだ。継承権は、低いが。公になれば、大変な事になったのは間違いない。その為、口止めも兼ねての報酬になります」


 聞かなかった、事にしたかったが。

 やはり、無理なようだ。

 多分シシとララの、事だろう。

 アーリアさんは、違うみたいだし。

 別に、他言するつもりはないし。

 口止めは、いらないけど。


 貰える物は、貰いますよ!


 「ありがとうございます。でも、そうするとミスリルはどうしますか?」


 「ユウイチ殿が、売ってくれるのであれば。勿論、買わさせて頂きたいのですが。手持ちが、ここにはなく。代金は、後日でもよろしいでしょうか?」


 「構いませんよ。争いが、集結し。私の目的の、奴隷開放も出来ましたから。ただ、この森に攻めてくるような事が無いように。友好の証として、譲っても良いですよ」


 「助かりますが、ミスリルを取引き出来る人材が。この地を、守っているとしたいので。購入しますよ」


 「取り引きと、譲るで、どう違うのですか?」


 「公爵と、ミスリルの独占契約したと公表し。簡単に、手出しできなくします。譲ったとなれば、他にも貰えるのではと考える者達が出てきますので。公爵が、手出し無用と言われても。手を出す人が後を立たないと、考えられます」


 なるほどね。

 別に、上げてもいいけど。

 あんまり、人が増えると。

 俺の、スローライフがどっか行っちゃうしね。


 「わかりました。気を使わせてしまい、申し訳ありません。代金は、貰った事に致しますよ」


 「それはなりません。兵達も、口を滑らせるかもしれませんし。ミスリルは、高値で取引されるので。気に為さらなくても、簡単に収益は出ますので」


 「そうですか、ならお言葉に甘えさせて頂きます」


 「王都まで、距離がありますので。ここで、我々は野営しようかと思うのですが。ユウイチ殿は、いかがされますか?」


 「先程も、お伝えしましたが。帰って休もうかと。まずは、元奴隷達に金貨を渡して回らないとですが」


 「やはりその為の、お金でしたか。そこまでするユウイチ殿の、考えがわかりませんが。騙されたりしないか、心配になるレベルのお人好しなのでは?」


 「そんな事は、ありませんよ。でも、騙されやすいのかもしれませんね」


 前世では、虐められたり。

 騙されてばかり、いたからな。

 ダールさんの、言う事は。

 あながち、間違っていないかも知れない。


 纏められた元奴隷達に、一人一人渡して行く。


 まずは、人数の少ない悪魔5人。


 「名乗ってなかったな、俺はゲイル。元は、あそこにいる奴と同じだったが。奴隷狩りにあい、奴隷となった。その後に、悪魔になった」


 あそこと言うと、ダン?

 元は鶏って事かな?

 魔物は、悪魔になると。

 人に、なっちゃうんだな。


 「奴隷狩りって?」


 「人族の中に、魔物をさらい。奴隷として売っている、奴らがいる。悪魔の奴隷は、大抵奴隷になってから悪魔になるケースが多いだろう」


 この世界を、俺は嫌いになりそうになる。

 魔物って、他の人達は知らないけど。

 俺にとっては、人と変わらない。

 自分の意志があり、幸せを求め。

 物を作ったり、与えたりする。

 人と見た目以外、変わらない。

 俺は、そう考えている。


 だから、奴隷狩りを認めないし。

 見つけたら、許さない。

 そんな事を、考えていると。


 「私は、貴方に名前を付けて欲しい。ずっと一緒に居たいです」


 「?どして?」


 「そんな事、言わせないで下さい」


 痛いよ!

 悪魔は、力も強くなっているんだろう。


 「悪いけど、俺の村は信用した者でないと連れて行かない。諦めてくれないか?」


 俺には、ユカリさんがいるし。

 ユカリさんに、睨まれてるし。

 諦めて下さい!


 「なら、私を奴隷にして下さい。お願いします」


 「開放したばかりなのに、どうして?ちゃんと、生活費を渡しますよ」


 「お金では、ありません。私は、音に敏感で。飛ぶ事も出来ます。悪魔なので、魔物達より強いと思います。どうか、お願いします」


 困った。

 そこまで言うなら、村に連れって行っても良いけど。

 まだまだ、いっぱい話す人がいるのに。

 あんまり人数を、増やし過ぎると。

 俺の、スローライフ生活が危ぶまれそうで。


 そんな事を、考えていると。


 「この子は、いんじゃない」

 「子づくり」

 「大丈夫だけど、大丈夫じゃ無い」


 え?

 どっちですか?

 精霊さん?


 俺と、ユカリさん。

 あと、精霊さん達がOKなら。

 いいのかな?


 「わかったよ。奴隷にはしないけど。村人として、迎えるよ」


 「ヤッター」


 そう言って、抱きついてくる。

 ユカリさんに、睨まれるが。

 ユカリさんも、良いって言ってたのに。

 扱いに、困る。


 他の3人の悪魔は、金貨を受け取って何処かに行ってしまった。


 ゲイルと彼女は村人希望者だ。


 魔物達に、移る前に。

 確認する事が、俺の中で。

 不安な事が、1つあった。

 その為、現村人達を集めた。


 「まず、すまなかった。いい考えが浮かばず、皆に対して態度が悪かった事を謝罪します」


 反応は、バラバラだ。

 ヒヨは、私も悪かったしゴメンナサイです。

 と、言ってくれた。

 ガドムは、目をつむり沈黙。

 マーク、ダン、ガイは、別に気にしないて感じで。

 チサ、チヨ、チカの3人は。

 次、気を付けてくれたらいいらしい。

 シロ、ミミ、マル、スピードは、元気だしてと。

 心配してくれた。

 アーリアからは、1人で背負い過ぎですと言われ。

 シシと、ララは、理解出来ていないようだ。


 「まだ、全員確認して無いけど。村人が、増えると思う。魔物も、悪魔も、そして人も増えるかも知れない。それでも、あそこで暮らしますか?特に、アーリア達は国に帰ってもいんですよ」


 「私は、出て行こうと思います」


 と、ガイが1番に答えを出すと。

 「村に、居たいです」

 「残っても良い?」

 「私も!」

 「役に立てませんが、残りたいです」

 「行く所なんて、無いです」

 「これからも、卵を産みます」

 ヒヨ、シロ、ミミ、スピード、マル、ダンの順に残る事を決める。

 「戻れますか?」

 マークが、言うので。


 「出来れば、名付けの繋がりを切ろうと思っている。ただ、戻りたくなったら。定期的に、この場所に来るから。ここで、相談する感じかな?」


 「わかりました。自分は、兄弟が心配なので離れます」


 マークは、残ると思ったけど残念だ。

 「残ろうよ」

 「チカが言うなら」

 「チヨは、素直じゃない」

 チカ、チヨ、チサは、残るみたいだ。


 後は、アーリア達がどうするのか?


 国に戻るのが、良いと思うけど。


 残って欲しいな〜。

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