忘れ過ぎ?

 そんなこんな、してる時。

 まだ生きていた、奴隷の主達が目を冷ます。


 「公爵様が、来てくれたぞ」


 「俺達の勝ちだ」


 「死なずに済んだ」


 等と、ほざきながら。

 中でも、俺をイライラさせたのは。


 「お前ら、もう終わりだ!この戦力差で、命声でもしているのか?」


 現状を知らない、ザン伯爵がこちらに来る。

 そして、俺を蹴ろうとするので。

 ぶん殴った!


 「こんな事して、ただで済むと。思っているのか?バカめ!コイツラを、殺してしまえ!」


 他の、男爵達もビビリながら命令すると。

 人族の女性達が、動き出そうとするので。

 公爵の指示の元。

 兵達が、拘束する。


 「公爵!なぜですか?兵達を使い、殺してしまいましょう!」


 「伯爵よ!もう、終わったのだ。奴隷達を、開放しろ!男爵達もだ!」


 訳もわからず、ぼーぜんとするが。

 兵達に、促され。

 男爵達は、言われた通りにすると。

 人族の女性達は、喜び始めた。


 奴隷から開放された魔物達が、喜んでいた時。

 何故、人族の奴隷達は喜ばないのか?

 と、思っていたが。

 そりゃ主が、生きていれば。

 奴隷のまま、だもんな。


 「意味が、わかりませんよ!どうなっているのですか?説明して下さい!」


 ザン伯爵は、兵から説明を受けるが。


 「公爵様!先程、皆の前で殴られました!伯爵に、このような態度を取ったのですから。殺すのは、当たり前でしょう!」


 「説明を受けて、尚そのような事を申すか!わが息子の不正が原因で、国際問題にも発展しかねなかったのを。この、ユウイチのおかげで解決したのだ!それを、理解しているのか?それに、お主の悪巧みをわしが知らんとでも?」


 「それは…」


 それ以上ザン伯爵は、答えられなかった。

 やっと、理解したらしい。


 所で、国際問題ってなんだ?

 良くわからないが、聞かなかったことにしよう。


 「伯爵、早くするのだ!」


 ザン伯爵は、やけになって。


 「奴隷達!こっちに来い」


 そう言われ、人族の女性達3人と。

 あの狼の魔物が、やって来た。

 俺と目が合うと、怯えている。


 「ザン伯爵。その狼の魔物は、そのまま奴隷にしていて下さい。罰が、必要ですので」


 何を、思ったのか。

 ザン伯爵は。

 狼の奴隷に、歩み寄る。

 耳元で、何やら話。


 「私は、あの後。奴隷になり。言う事を、聞くしか無かったのです。許して下さい」


 突然、狼は俺の方を向き。

 叫びだした。

 コイツが、そんな事を言うはずが無い!

 ザン伯爵が、何か指示した事は明白。

 俺を、殺そうとしてるのか?


 近付いてくるので。


 「それ以上近付くなら、殺すぞ!その覚悟は、あるのか?それとも、ザン伯爵に命令でもされたか?」


 「私は、何も言っていない。勝手に、そいつが謝っているだけだ」


 「別に、構いませんよ!殺すだけなので」


 俺は、簡単に殺せる。

 そう侮っていた。

 周りも、静観する姿勢で。

 見守っている。

 その為、油断していた。


 狼は、突然走り出し。

 俺に向かって来る途中、方向を変え。

 ララの所へ!

 ガドムが、反応するが。

 一歩、狼の方が早かった。


 「全員動くな!コイツがどうなっても良いのか?助けたければ、そいつを殺せ!」


 狼は、俺を殺すように指示する。


 「ザン伯爵!奴隷を止めろ!早く!」


 「止めろと、言われましてもね。そいつの次は、公爵様の番ですから。それまで、お待ち下さい」


 下卑た笑いをする、ザン伯爵を皆で睨むが。

 人質を、取られてしまい。

 俺はどうする事も、出来無い。

 公爵も、人質を気にして。

 動かないようだ。


 俺は、すぐに精霊さんにお願いしようとする。

 だが、それよりも早く。

 動く人物がいた。


 狼に、向かうのでは無く。

 狙いは、ザン伯爵。

 あっという間だった。

 気づくと、ザン伯爵の首から鮮血が飛び散る。


 動いたのは、ガドムだった。


 「これで、お前に命令する奴はいない。早く人質を、開放しないと次はお前だ」


 「待ってくれ!俺は命令されただけだ!許してくれ」


 すぐにララは、開放され。

 アーリアの元に。

 俺は、狼を殴り飛ばした。

 コイツを、俺が殺していれば。

 こんな事には、ならなかった。

 そう思いながら、倒れている狼を睨んでいると。

 兵士達が、拘束し。

 奴隷の首輪を、嵌めていた。

 公爵に、俺が殺します。

 と伝えると、こちらで処分すると言われた。

 酷い顔を、していたのか。

 公爵に、約束するから仲間の元に、行くよう言われた。 


 アーリアは、ララを抱きしめながら。

 ガドムの元に行き。

 抱きついている。

 やはりあの2人、できとるやないか!


 皆、これで開放されたと思ったけど。

 俺の、奴隷がいたのを。

 思い出し、慌てて開放して回る。

 謝罪も忘れない。


 死んだ奴隷。

 公爵に引き渡した奴隷以外。

 人族12名、魔物33名、悪魔5名。

 計、50名

 1人金貨1枚ずつで、50枚。

 これだけの金貨が、確保できるように交渉するのだ。

 突然奴隷から、開放されても生活出来なければ同じ事になりかねない。

 魔物って、お金使えるかな?


 「すまなかった、こんな事になるとは。ガドム殿、感謝する」


 「礼はいい。俺が、助けたかった。ただ、それだけだ」


 やだ、何このイケメン。

 見た目、ちょい悪オヤジなのに。悪魔なのに。

 カッケー!


 「さて、交渉だったな。いくら欲しい?ミスリルだけでも、もの凄い金額。正直手元の、金ではまかないきれん。1度共に、我が家へ来ないか?」


 「公爵様。申し訳ありませんが、今は家に帰り休みたいです。今金貨50枚は、ございますか?あれば、残りはいずれ取りに伺いますが?」


 「少し待て」


 公爵は、ダールに指示を出している。

 見ていると、伯爵達の馬車。

 それに、死んだ騎士や男爵。

 生き残った、男爵達の元へ兵達が向った。

 何となく、金集めさせてるのだろうが。


 戦いに来るのに、持ってきているのだろうか?


 「公爵様。魔物や、悪魔は。買い物をしたり、街を歩いたり出来ますか?」


 「国にもよるし、場所にもよるが。基本、買い物したり出来る。冒険者になれば、優遇される所もあるぞ」


 良かった。

 なら、お金を渡して。

 解決かな?

 自由になり、生活費があれば。

 新しい生活を、していけるだろう。

 怪我も治したし、早く帰って眠りたい。


 あくびをしていると、ダールが兵達から金貨を受け取り。

 数えている。

 公爵は、偉い人らしいし。

 その人と、うまく付き合っていければ。

 この森も、安全になるだろう。


 やっと、スローライフが送れるかな?

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