公爵の答え

 アーリアのおかげで、休戦となった。

 公爵とアーリアは、シシとララを連れ少し離れる。

 ガドムは護衛として、付いて行った。

 マークや、ヒヨ。

 ダン達、皆が俺の元に集まった。


 「皆、来てくれてありがとう」


 「ダンナ、声かけてくれりゃ〜一緒に来ましたぜ」


 「お役に立ちますから、捨てないで下さい」


 「ヒヨさんの望みを、叶えて欲しいです」


 「お願いします」


 「何とかなりましたね」


 「また、背に乗って下さい」


 「あまり、役に立てなかったです」


 「皆頑張りました」


 「「「ヤッタネ」」」


 マーク、ヒヨ、シロ、ミミ、ガイ、スピード、マル、ダン、チナ、チヨ、チカと、順番に答えてくれた。


 「俺は、切羽詰まって。皆に、酷い態度だった。申し訳無い。来てくれた事に、本当に感謝してます。ありがとう」


 人族の前で、魔物と仲良くし。

 まして、頭を下げている姿に。

 騎士?達は、驚いている。


 そこに、シャルが来た。


 「お強いですね。また、戦いたいです。是非貴方と!1つだけ聞いてもいいですか?」


 「もう、あなたとは戦いたく無いです。てか、やらないからな!聞きたい事って?」


 「連れないですね。聞きたい事は、何故私が女だとわかったのですか?望むものがあるなら、何でもしますよ。この体でも、良いですよ」


 と、体を擦り寄せ腕を掴まれる。

 硬い防具を付けているので、嬉しくない!

 てか、逆に痛いんだけど。


 「教えないし、戦わないし、いりません!」


 「え〜。一応、私。モテるんですよ。胸もあるし、細いし、満足させますよ」


 「そんな格好じゃ、わからんし。それは、いいから!なんか向こうで、シャルを呼んでるぞ」


 「あ〜。行きたくない。いっそ、貴方の奴隷になりますよ」


 「何なの?断るから、早く行け」


 ヒヨが、シャルを連れて行ってくれた。


 「マーク、これどうなるかな?」


 「そうですね〜。アーリアさんが、何とかすると。言われてましたから、結構自信ありって感じでしたし。待ちますか?」


 「そのうち、呼ばれるだろうから。それまで、皆の回復作業をするよ」


 そう言って、傷ついた者達を回復して行く。


 幸い、軽症の者ばかりで。

 わりかし、早く終わった。

 戦闘していた魔物。

 元奴隷達は、不安そうに俺達の近くに。

 人族の元奴隷達は、どこにも行けず。

 兵達に、囲まれている。


 悪魔達は、5人で集まり。

 何やら話しているが、どうなるかは。

 アーリアに、かかっていた。


 そして、アーリアと公爵の話し合いが終わり。

 こちらに、近付いてくる。


 「ユウイチさん、話は付きました」


 「まず、今回の事は。我が息子の、不正が原因と判明した。よって、ここにいる皆を罪に問う事はない」


 「そうですか、良かったです」


 それを聞いた、魔物達は喜び抱き合う。

 人族の方には、声が届いていない為。

 変化はない。


 「ユウイチ、そなたが助けたアーリアは信頼していた人物。そして、シシとララは。大恩ある人物の、子息達。息子が、よく思っていないのは知っていたが。不正に、奴隷に落としていたとは。知らなかったでは、済まされない事。処理されそうな所を、救って貰い。感謝する」


 「そうでしたか、たまたまの偶然の為。お気になされないよう。この後は、どうなりますか?」


 「アーリアに、説明はしたが。元奴隷達は、不正に奴隷にされので無ければ。奴隷に、戻す事になる」


 「それは、私が納得できません。アーリアが、納得したとしても」


 「アーリアも、反対したが。国の法律で、定められている為。逃げれば、逃亡奴隷として。懸賞金が、かけられる事もある。先を見るなら、受け入れて欲しい。軽く聞いたが、半分は開放されるだろう」


 「それでも、目の前の奴隷になりそうな者達を。助けない選択は出来ません。主に、魔物達ですね」


 「人族は、構わないと?やはりお主は悪魔なのか?」


 「人族が、奴隷になるには。理由がある、可能性がありますが。魔物達は、捕まえられて奴隷落ちなのでしょう?」


 「殆どが、そうだな。ただ、人を殺したり。盗みを働いたりして、奴隷になる事もある」


 「なら、私は皆に話を聞き。事情によっては、賛成。そして、反対します」


 「そうですか、恩人と争いたくはありませんが…」


 「お待ち下さい。公爵様、その者は回復魔法が使える様子。部下達の、回復をして頂けたら。報酬として、奴隷を渡す。これならどうでしょうか?」


 随分と慌てた様子で、話に割り込んでくる。

 回復魔法が、使える人はいた気がするけど。

 不思議そうにしていたら。


 「話に割り込み申し訳ない。私は、デニス・ダール。伯爵家の人間です。ユウイチ殿でしたか?部下達の負傷は、深く。早く治療しないと、命に関わります。どうか、回復魔法を使って貰えないでしょうか?」


 「良いですよ。ただ、今後。こちらに、害をなすようなら。次は、殺します」


 「何を言っている!そんな事したら、敵を増やすだけだぞ!止めるんだ!」


 悪魔が、割って入る。

 ガドムは、アーリアの後ろで静観している。

 精霊さんに、お願いして。

 反対する5人を、眠らせる。

 卑怯なやり方だが、彼らとは。

 話し合いで、解決出来ると思えなかった。

 魔物達に、介抱を頼む。


 公爵を見ると、頷くので。

 兵士達を、回復して行く。


 「そんなに魔法を使って、大丈夫なのか?気分が、悪くなってないか?」


 ダールが、心配してくれるが。

 多少脱力感はあるが、気分が悪い訳ではないので。


 「平気ですよ。少し、疲れが出てきましたが。他の方は、もしかして気分が悪くなり。魔法が使えないのですか?」


 「そうです。基本、魔法を使う人達は。使うのに、精神力が必要な為。限界を迎えると、精神が壊れると言われています」


 え?

 精神が、壊れたらどうなるの?

 気を付けよう。

 と言うか、敬語になってるけど。

 ダールは、いい人なのかな?


 治療を続け、100人位だろうか?

 体感その位、魔法を使った気がする。

 ここに来て、初めて気分が悪くなる。

 そろそろ限界と、伝えようとしたが。

 どうやら、終わりのようだ。


 「ありがとう。ユウイチ殿は、やはり神の使いなのでは?」


 「その、神の使いとは。どういった方の事ですか?」



「突然現れ、通常考えられない事を成し遂げる存在。昔になりますが、人々を助けたり。突然罰を、与えて回ったり。魔物達と、会話できたり。そういった、逸話が残っております」


 ?もしかして、異世界人?

 情報が少ない。

 神の使いだと、言われた訳ではないし。

 使命?とか、聞いてないし。


 「私は、サクラザカ・ユウイチ。奴隷制度に、反対し。魔物や、悪魔の差別ない世界を望む。ただの、人族です」

 

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