救援
「公爵様。誠に申し上げにくいのですが。殺した魔物を、連れてくる事は出来ません」
「では、お主は処刑される事を望むと?」
「それも、お断りさせて頂きたく。どうしてもと、言うのであれば。私達は、戦闘も辞さない覚悟に御座います」
そう言うと、公爵様を守るように。
武装した兵達が、前に出る。
それにより、周りの兵も身構え。
臨戦体制に!
もう、話し合いは無理だと判断して。
作戦通りに、空に手を上げ。
巨大な火の玉を、イメージする。
今回、出来るだけ大きくとイメージしたら。
とんでもなく大きくて、自分でビビリ。
大きさを、調整して。
森側の兵達へ放つ!
勿論、ぶつけないように!
結構な熱量で、逃げる予定の悪魔や魔物達は。
逃げられずにいた。
兵達は、大きな火の玉を見て。
唖然とし、着弾と同時に。
慌てだす。
中には、逃げ出す者も出ているようだ。
先程、公爵に呼ばれた。
ダール?かな?
あと、その周りにいた数人は。
こちらに、向かって来た!
すると、悪魔3人がバラけるように戦闘に入る。
逃げ遅れた悪魔達と、魔物達は。
俺の、背後にいるが。
敵も怖いが、俺も怖い。
そんな風に見える。
俺も逆の立場なら、怖がっていただろう。
段々に、兵達が纏まりこちらに向かってくるが。
森側に、多数の兵を配置し。
逃げられないようにされた。
やはり、訓練されている為。
統制が取れていて、俺の考えも指示する人間にバレているようだ。
公爵は、その場を動かず。
様子見をしているようで、近付いてこない。
目標は、公爵を捕まえ。
撤退を、要求する事。
こんな状況だと、殺さずなんて考えでは。
すぐに殺される事がわかり。
奴隷達に、命令する事は出来なかった。
でも俺は、殺さずに気絶させる方向で。
水の塊を、飛ばしたり。
風の塊を、飛ばしたり。
していた。
そんな時!1人だけ、魔法を避けて。
俺めがけて、突っ込んでくる奴がいた!
魔法が当たらない。
ならばと、散弾銃のように。
小さい土の塊を、たくさんイメージして。
そいつ目掛けて放つが、突然消えたように見えて。
目標を、見失う。
それは、偶々だった。
危険を感じて、その場から飛び退くと。
そこを剣が、通過する。
「よく、避けましたね。見えていた?いえ。感ですか?」
こいつは、ヤバイ!
そう感じて、鑑定してみると。
シャル 29歳
レベル91 女性 人族
「女性?」
思わず、口から出てしまった。
見た目、スマートだが。
甲胄をまとい、剣?いや刀かな?
顔は、覆われていて。
どう見ても、男だし。
一撃で、殺そうとするなんて。
男と勘違いしても、仕方ないだろう。
「ウフフ。なぜ私が、女性だと思ったのですか?」
背筋に、冷たい汗が流れた。
怖い!逃げたい!
そんな衝動に、かられる。
兜?から目が、光ったように感じる位。
ヤバイでしょコイツは。
そう思って、距離を取ろうと背後を見ると。
まだ、魔物達がいて。
皆も、怖がっているように見える。
逃げたら、標的を変えるかもしれない。
そう思うと、逃げる選択ができず。
小声で、精霊さんを呼ぶが返事がない。
やはり、戦闘は嫌いなのだろう。
先程までは、精霊さんのおかげで。
楽々、作戦を成功させていたが。
全て、精霊さんのおかげの為。
これは、死ぬかも?
そこに、悪魔が一人割って入る。
「おい!コイツは、2人掛かりでも倒せないかも知れない!何か作は?」
「何を、喋っているのですか?もっと面白い物を、お持ちなのですか?楽しいですね」
「楽しくない!」
こいつ、女のくせに。
戦闘狂かよ!
くっころ、さんじゃないの?
作戦なんてないし。
想像魔法が、どれだけ通用するのか?
ようやく魔物達が、兵達に突っ込んだが。
劣勢なようだし。
ダールと、悪魔2人での戦闘も。
互角のようで、思った以上に。
人族は、強いようだ。
早くこいつを、片付けて応援に向かわないと。
「どうやら、あなた方の敗北になりそうですね?早く本気を、見せてくれないと。皆、死んでしまいますよ」
それを聞き、ある魔法をイメージして。
シャルに放つ!
「バ、バ、バ…」
放ったのは、雷の魔法!
イメージ通り。
どの魔法よりも早く。
シャルに、当てる事が出来た!
どうやら、痺れて動けないようだ。
悪魔は、殺そうとするので。
魔物達の、応援に向かって貰う。
逃げ遅れた悪魔と魔物達は、覚悟を決めたのか。
森側の兵達に、向かって行った。
俺は、何処の応援に行こうか悩んでいると。
「イテ〜」
足に痛みが走り。
倒れてしまう。
剣が、足に刺さっていた。
深く刺さっていないので、抜こうとするが。
「面白かったよ。でも、終わりです」
痺れていたはずの、シャルが目の前にいた。
何故?
どうして?
等と、考えている俺に。
剣が、迫る!
ヤバイ!
目を瞑った俺は、痛みが来ないのに不思議に思い。
目を開けると、目の前のシャルは俺を見てはいなかった。
見ている方に、目を向けると。
剣を、持つユカリさんがいた!
「間に合いましたね。精霊さんのお掛けです」
「ユカリさん?」
「置いて行くなんて、後でお説教です!皆、来てくれましたよ」
ふと、周りを見ると。
ダールの所に、ガイとマークが。
魔物達のもとには、ヒヨとシロとミミが。
森側では、チナ、チヨ、チカ、マル、ダンが。
ユカリさんの後ろから、スピードが突っ込んで来て。
シャルとの間に立つと。
「許さない!」
そう言って、シャルを睨みつけている。
「どうして?」
「間に合ったの」
「この剣、抜けない」
「ポーションを使って」
そんな声が、耳元で聞こえた。
泣きそうになる。
どうやら、精霊さんが連れて来てくれたようだ。
戦闘が嫌で、居なくなったとばかり思っていたが。
「ありがとう。皆」
ツーと、気付かぬうちに。
涙を、流していた。
時は遡り、精霊達は。
叫び声を聞いて、動き出したユウイチを見て。
戦闘になる事が、予想され。
遠くから、人族が迫っているのにも気付き。
応援を呼びに、村に戻った。
寝ている皆の、耳を引っ張り。
入り口に、誘導する。
それを、何度も繰り返すうちに。
ユウイチの存在が、森の外側にある事に。
ユカリが気づくと。
「ユウイチさんが、森の外に!起こされたのは、危機的状況なのでは?」
「アーリアどうする?残るか、行くか?多分戦闘に、なっている!俺は、残る事を進めるが?」
「ガトムさん。行きましょう。もしかしたら、公爵様もいるかも知れません。いれば、私が何とかします」
「オイ、お前ら!覚悟を決めろ!ユウイチに、恩を返す時だ!」
村人?達は、ユウイチの元に向かう決断をした。
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