公爵登場

 助けてくれたのは、先程の魔物女性だった。

 すぐに、回復魔法をかけたいが。

 それを、させてくれない。


 ウォーターボールを連射して、スペースを作る。

 やっと回復魔法をかけるが。

 傷が治っても、目を開けない。

 声をかけ続けるが、反応がない。


 「おい!そんなのは、放って置いて。俺を助けろ。金ならいくらでも出す!早くしろ!」


 その言葉で、ユウイチの何かが切れた!

 他にも、方法は合っただろうが。

 ウォーターボールを、顔面に放ち。

 黙らせた!


 もう殆ど、戦闘音はしない。

 が、どこからか音がする。

 蹄の音だ!

 回復魔法を、続けていた俺は立ち上がり。

 そちらを見ると。


 奴隷ではなく、武装した者達が何人も押し寄せてきた。

 

 先頭の男性が。

 「我は、トバー・ガントである。ヨーミ捜索隊!現状を伝えよ!」


 ヨーミの父親が、来てしまったようだ。

 現状を、伝えに1人近づいて行ったからヨーミの死は伝わるだろう。

 あれは、あの時の狼か?

 首輪をしてないし、逃げればいいのに。


 てか、こっちを指差すなよ!

 多分、元凶はあいつです!

 とでも、言っているのだろう。

 多数の、武力にこれ以上の戦闘は犠牲者が増えるだけ。

 この子も助けたいし。

 どうするか、迷っていると。

 俺の奴隷達は、まだ戦っていた。


 「お前ら!そいつはいいから、自由にしろ!」


 逃げろと言うと、命令になるし。

 殺すなと言うと、生存率が低くくなる。

 自分達の意思で、行動出来るように伝える。

 多分、周りを助ける余裕が無い。

 その答えが、自由であった。


 それを聞き。

 俺の奴隷の一部と、首輪をしていない一部の魔物達は。

 森の中に、逃げ込んだ。


 それでも、まだ公爵達は動かない。

 魔物語で、伝えたから。

 理解できなかったのかも、知れない。


 残ったのは、悪魔が5人。

 魔物達が、10人。

 後は、気絶してるか死んでいる者達だ。


 自然と、その15人と俺は。

 1箇所に、集まる。

 公爵との距離は、50メートル位だろうか?


 「おい、どうするんだ!」


 「俺の情報だと、ヨーミの父親は話せばわかる人物らしいが。面識は、無いし。お前らも、逃げていいぞ!戦闘に、なったら勝ち目ないだろ?」


 「お前は、どうするんだよ!助けられて、その上!逃して貰うなんて。嫌だね!」


 さっきまで、敵だと思っていたけど。

 残るなら、どうにかしないとかな?

 でも、ビビるでしょこんなの!

 参ったな。

 この子は、気づかないだけで。

 呼吸してるから、何処に避難させたら良いか?


 そんな事を、考えていると。

 「そこのお主は、悪魔か?話を、聞きたいのだが。応じるつもりはあるか?」


 そう言って、近づいて来るので。

 鑑定してみる。


 トバー・ガント 52歳

 レベル79 男性 人族

 

 「公爵様。私は、人族のユウイチと言います。特別な力を持ち。言語全てを、理解できる。そんな能力がありますが、悪魔ではありません」


 皆が、動揺する。

 悪魔達も、こいつ何言ってるんだ?見たいな顔だ。


 「ユウイチとやら、そんな能力は聞いた事もないぞ!それは、魔法なのか?神の使い様なのか?」


 「神の使いと言うのが、わかりませんが。魔法ではありません。ただ私は、この森に住み。奴隷制度を、忌み嫌う人間です」


 うまく伝わって、くれるだろうか?

 交渉なんて、した事無いし。

 営業の仕事は、経験無いんだよね。


 「公爵様。このような者を、信用してはなりません。コイツは、魔物を操る。悪魔です!ヨーミ様を、殺したのです!死刑にして下さい」


 狼が、出てきて俺を殺すよう進言する。

 あ~まじで、こいつ殺しとけば良かった!

 と、本気でそう思った。


 「公爵様。いかがなさいますか?」


 「ダール伯爵。貴殿の考えは、どうであろうか?」


 「私としては、ヨーミ様の行方の確認。そしてどうして、そうなったのか?その確認もこの者に。聞いたのちに、判断されるのが良いのかと思います」


 「ユウイチとやら、答えて貰えるか?」


 「ヨーミ様については、奴隷に対して。余りにもひどい、扱いをしていた為。話をしようと、近づくと。攻撃を、受けた為。反撃し。その結果、ヨーミ様及び。バリー様が、亡くなってしまいました」


 「嘘です!そいつは、隠れて近づき後ろからヨーミ様を殺したのです!卑怯なうえに、嘘つきなこんな奴の話など。聞く意味がありません」


 「ヨーミの最後は、どうであった」


 狼は、喚いているが。

 公爵は、信じていないようだ。


 「ヨーミ様は、魔物達に命令し。私の命を、奪おうとしました。結果。角が生えた魔物に、後ろから串刺しにされ。投げ飛ばされた私は。意識を手放してしまい。気付いた時には、ヨーミそれに。バリーは、魔物達に殺された後でした」


 「そうか。ヨーミを殺した、魔物の所在は?」


 「申し訳ありませんが、お答えできません」


 「嘘だから、答えられないのです!コヤツは、嘘ばかり。ヨーミ様のカタキです!殺してしまいましょう」


 「公爵様。この者の申す事は、どれも不確かな物。証拠も、御座いませんし。その魔物の、証言がある為。国に戻り。裁判にかけるのが、宜しいかと。勿論この場で、公爵様がご判断されても良いかと」


 「あんなのでも、息子。殺されたとなれば。その者を、処刑しなければならない。その魔物を、連れて来ないのであれば。そなたを、処刑する」


 そうなるのか?

 俺は、連れてくる事はない。

 だが、殺されるつもりも無い。

 やるしか無いが、悪魔や魔物達は関係ないし。


 「公爵様。少し相談したいのですが、お時間頂けますでしょうか?」


 「構わんが、あまり離れすぎると困る。我が兵に、囲ませて貰う」


 「わかりました」


 「ありがとうございます」


 囲まれてしまうが、仕方ない。

 悪魔達に、再度意思を確認する。

 「俺は、戦うがどうする?ヨーミの件は、お前達に関係のない話。逃げる道は、俺が作る」


 「勝てる見込みがあって、言っているのか?」


 「ああ、最悪逃げるからな。命大事に、負けても次勝てばいいしさ」


 「そうか、俺は残る!」


 「俺も残るぜ!面白そうだ」


 「悪いが!俺は退散するぜ!ただ、逃げ道は本当に作れるのか?」


 悪魔3人。魔物6人は、残り。

 悪魔2人。魔物4人は、逃げる事に。


 作戦は、俺が巨大な火の玉を上空に作り。

 それを、森側にいる兵達の少し手前に落とす。

 その間に、暑いが逃げて貰う。


 作戦としては、単純だが。

 あの魔法は、足を竦ませるだろう。


 「そろそろいいか?」


 公爵の言葉に、振り返り。

 作戦を実行に移す。

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