新生活

 翌朝。

 ベッドから起き上がり。

 ユカリさん専用の、ベッドで眠る。

 蜘蛛の魔物ユカリさん。

 その寝顔を見て、癒やされる。

 どうしても、他の家で寝てくれないので。

 その位は、許してほしい。


 桶に、水を貯め。

 顔を、洗っていると。

 鶏の魔物が、近づいて来た。


 「おはよう」


 「おはようございます。水は、どこで貰えばいいですか?井戸が、見当たらなくて」


 「すみません。まだ、井戸を作ってなくて。これに、新しい水を用意しますので。好きなだけ、持って行って下さい」

 と言って、顔を洗った水を捨て。

 新しく魔法で、水を出す。


 「ユウイチ様。卵は、いつお持ちしますか?」


 「様は、付けなくていいよ。卵は、毎日生めるの?食べてもいいの?仲間を作るのに、必要だとか?無理しなくて、いいからね」


 どうやって生むのか?

 生むのに、必要な方法は?


 恥ずかしくて、聞けない。

 鶏の子供を、食べていいのか?

 色々考えてしまい。

 何だか、恥ずかしくなり。

 早口になった。


 「すごい魔法を使い。私達を、助けてくれた。人族。正直どう扱っていいか、わかりません。でも、感謝していますから、様付けさせて下さい。卵は、毎日生めますので大丈夫です。自然に、生まれますので。意識すれば、もっと生めます。仲間ですか?私の生む卵は、食べる以外には。肥料に使うと、聞いたことがあります」


 て事は、卵から何かが誕生する訳ではない。

 無精卵て事かな?

 なら、いいのか?


 「鶏さん。そしたら、生まれたら家に持ってきてくれますか?家なら、日持ちさせる方法があるから」


 「わかりました。すぐに、今日の分をお持ちします」


 と言って、行ってしまった。

 水は?


 部屋に戻り、朝食にする。

 基本精霊さんは、食事をしない。

 自然の中で、元気を貰う。

 元気?エネルギー?


 食べる必要は無いが。

 食べられない訳ではない。


 俺の料理を、よく食べる精霊。

 俺に、ちゃんと食事するようにと言う母親みたいな精霊。

 ちょっと、くっつきすぎ。

 と言うが、俺にくっついて来る精霊。


 3人とも、精霊に愛される人の俺から離れたがらない。

 妖精と言われたり。

 戦闘に行こうと、したりしなければ。


 「おはよう。ユカリさん」


 「おはよう。ユウさん」


 俺が、朝食を作り終わる頃。

 起きてくる。

 「今日は、パンとサラダ。あと、昨日の余りで。豚汁?肉汁?かな?昨日は、ありがとう」


 「昨日も、言われています。お礼など、良いので。毎日美味しい食事を、お願いします」


 「了解。頂きます」

 「頂きます」

 「「「頂きます」」」


 妖精の声は、俺にしか聴こえない。

 食事は、3人分ある。

 俺、ユカリさん、精霊達。

 小柄な分。

 量も少なくて、良いらしい。

 消えていく食事を見ると。

 面白い。

 ユカリさんには、昨日伝えてあったが。

 それでも、驚いているようだ。


 食事を、終えて。

 皆の様子を、見に行く。

 洗い物は、ユカリさんがしてくれる。


 鶏さんが、卵を20個位持ってきてくれたので。

 中にいる。

 ユカリさんに、渡すようお願いする。


 入り口に、向かっていくと。

 途中。

 牛さん達に出会う。

 「おはようございます」


 「昨日は、ありがとうございます」

 「今朝の食事も肉があり、美味しかったです」

 「牛乳?を、どこに持って行けばいいですか?」


 3人が、いっぺんに話し出す。

 食べ物は、予め渡してある。

 「気にしないで下さい。約束は、守りますので。のんびりと暮らして下さい」


 牛乳は、ユカリさんに渡すよう伝えて。

 他の人を、探す。

 俺は、魔物も人だと思っている。

 意志があり、知能があり。

 喋ることができる。

 魔物差別?は、したくない。


 すると、クマさんとハリネズミさんが何やら話している。


 挨拶をして、どうしたのか聞くと。


 住処、食事、保護までして貰い。

 何もしないのは、ダメだろうと話していて。

 2人で、狩りに行こうとしていたそうだ。


 「無理する事はないけど。何もしないのはと。思う気持ちは、わかる。行くのは、止めないけど。他にも、声掛けして。バラバラじゃなく。連携してみるのは?」


 安全重視で、行動して欲しい。

 せっかく、助けたのに。

 この中は、安全だけど。

 外はね。


 そこに、猫さんとウサギさん達が。

 「おはようです。何かあったです?」

 ウサギさん達は、まだ警戒しているようだ。


 「クマさんとハリネズミさんが、狩りに行くと言うのですが。この辺の事も、わかっていませんし。出来たら、他の方もと話していました」


 「なら、私も行くです。体を、動かさないと落ち着かないです」


 すると、ウサギさん達が行かないでアピールをする。


 見た目通り、強くはないのかもしれない。


 「また、2日目です。昨日は、何も出来ませんでしたし。出掛けるのは、明日以降にしませんか?」


 皆、納得してくれて。

 家の、整理をする。

 村の中を、散歩する。

 他の家を、見る。

 皆、バラけて行く。


 後は?人族の人達かな?


 探していると、見つかった。


 「おはようございます」


 「「「おはようございます」」」


 「アーリアさん。昨日はありがとうございました。疲れてませんか?」


 「少し、休みたかったのですが。この子達に、せがまれまして。散歩中です」


 シシとララは、恥ずかしそうに。

 アーリアの後ろに隠れてしまった。

 可愛いな。

 昔を、思い出す。


 3人の後ろから、悪魔のガドムが来た。


 「おはようございます、ガドムさん」


 「おはよう」


 アーリアさんが、俺に近づき小声で。

 「後で、話があります」


 と言って。

 散歩を再開して、歩いて行ってしまった。


 ガドムさんが、付いて行こうとするので。

 「ガドムさん。過保護も、程々に。嫌われますよ」


 「そんな事はない。ないよな?人族の子供は、非力だ。何があるかわからん」


 「村の中なら、安全です。ご心配なく。それより、ガドムさんは。鉄の採取方法を、知っていますか?」


 「来る途中、山があった。あそこなら、鉄鉱石や石灰石が見つかるから。作れるんじゃないか?お前なら?」


 「ガドムさんは、作れるのですか?てか、鉄鉱石?石灰石?」


 「俺は、採掘作業が得意だ。俺の知識では、鉄を作るには。鉱山で、採掘しないと。鉄は、出来無いと思うが」


 「わかりません。知識が、ないので。採掘を、お願いできませんか?」


 「わかった。明日から、出かけるが。3人を傷つけたら許さんからな!その時は、覚悟しろ」


 「わかってます。必ず、守りますので」


 良し!

 これで、鉄を作れるし。

 物作りも、はかどる。


 やっぱり、好きな事して生活する。


 スローライフ。

 送りたい。


 送れるよね?

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