新しい住人

 さて今度は魔物達に、考える時間を与えて。


 人族の答えを、聞きますか?


 「決まりましたか?」


 「村には、人族はいますか?魔物は、どのくらいいますか?」


 「村と言っても、家屋とそれを囲う壁があるだけ。人族は俺。魔物は、ユカリさんの二人しか住んでないけどね」


 「私と、この子達を引き離さないでくれるなら。帰る場所も、もう無いと思いますので。連れて行って欲しいです」


 「了解だ。名前を聞いても?」


 「私は、アーリア」

 「僕は、シシ」

 「ララです」


 「あんたの名前は?」

 人族語と、イメージして話す。


 「ガドム」


 これで、4人は村人だな。

 子供達は、怖がっているから。

 早く帰って、宴会しようかな?


 魔物達を、見る。

 残っている魔物は14人。


 猫さんと、ウサギさん2人。

 クマさん3人組のうち1人。


 計4人は、どうやら付いて来る事にしたようだ。

 ユニコーンさんは、強制で。

 5人。


 「私は、役に立たない魔物です。それでも、連れて行ってくれますか?」


 「大丈夫だ。気にするな」


 ハリネズミの、魔物も追加で8人。


 「足が遅い。おいどんでも良いですか?」


 「大丈夫だ。何ならクマさん達に、運んでもらう?」


 「そりゃ無いよ」


 と、くまさんが言うと笑いが起こる。

 人族は、首を傾げている。

 後で、言葉を統一したいな。

 そう言えば、言葉が通じないのに。

 どうして、人族は魔物に指示を出せたんだ?

 首輪を嵌めると、そんな機能でもあるのか?

 後で、確認してみよう。


 亀さん入れて。

 これで、7人。


 「私達は、ノンビリ暮らしたいのです。争いは、好みません。それでも、よろしいですか?」


 「構わない。ちなみに、乳は出る?貰ってもいい?」


 「乳ですか?貴方もそうですか?確かに、私達のような魔物からは乳が出ます。が、無理矢理取られるのはやめて欲しいのですが」


 「出るんだ!無理矢理なんて、しないよ。助かるよ。ありがとう」


 と、伝えると。

 牛達は、驚いている。

 まぁいいか。

 これで、10人。


 「なら!私は、卵を渡しますので。どうか連れていって下さい」


 鶏の魔物。

 これで11人。


 「ありがとう。最後に、君はどうする?」


 「皆。どうかしてる。今まで、人族に殴られ。無理矢理働かされて。虐げられ。意味も無く殺され。なのに!どうして?そいつを信じられるの?ついていかない方が良い!逃げよう」


 「俺は、誰も連れて行かない選択をしてもいい。てか、その方がいい気もする。皆、好きにすると良いよ。俺は、後ろを向いているから。ユカリさんとガドム、チョット良いか?」


 魔物達に、背を向け。

 ユカリさんに、背中を任せる。


 「ガドムは、名があると言う事は。名付けしてもらったのか?」


 「違う。わしは、長生きで。レベルが、100を越えた時。進化した。これは、旅をして知ったのだが。魔物は、レベル100を超えると…」


 少し長い話を、していると。

 ユカリさんが、喧嘩になりそうだと言うので。

 喧嘩する者は、連れて行かないと伝えて貰う。


 ガドムとの話で、魔物はレベル100で進化する。

 突然らしい。

 ガドムは、魔物同士の喧嘩に。

 仲裁に入り、その最中に進化したそうだ。

 経験がレベルアップに、関係すると聞いたが。

 そんな事でも、上がるのか?

 嘘は、ついてないと思う。

 進化すると、膨大な知識が流れ込んでくる感じらしい。

 その中で、名前を授けられるそうだ。

 そう言うシステムなのか?神様?良くわからない。

 進化は、1度では無いらしい。


 今後。

 俺が、信用でき。

 信頼できれば。

 名付けを、頼むかもな。

 とも言われた。

 名前あるじゃん。

 と言うと。

 勝手に、つけられて。

 どんな奴かも、わからない。

 それより、信頼出来るやつから。

 名を貰いたいらしい。

 ソロソロ良いかな?

 と思い振り向くと。


 リスの魔物。

 そして、クマさん2人が来ない事になったようだ。


 「クマさん達は、兄弟じゃないの?別行動になるが良いの?」


 「兄弟では無い。俺は、あんたを信用できるが。2人は、無理なんだと。だから、別に良い」


「わかった。3人とも、もう捕まるなよ」


 3人は、森とは反対方向に行ってしまった。


 これで、魔物11人。人族3人。悪魔1人。

 計15人。

 俺とユカリさん。

 あと妖精さん。

 で18人の村?

 妖精さんは、ひとりじゃない気もするが。

 暗くなる前に、戻らないと。

 村人が増える。

 それは、良い。

 良いのか?

 


 「猫さん。出会った場所までの道案内。お願いできますか?」


 「任せるです」

 と言って駆け出そうとする。


 「猫さん!皆付いて行くんだから、ペース考えてね!猫さん早いから、張り切って進むと。誰もついて行けないよ」


 「わかってるです」

 と、顔を赤くする。

 バカっ子かな?

 なんて思い、笑う。


 案外。

 一人は、寂しかったのかも知れない。

 のんびり暮らしたいけど。

 今後は、どうなる事やら。


 10分程進んでみると。

 予想より、カメさんの足は早かった。

 四つん這いで、硬い甲羅を担いでたから。

 鈍足かと、思っていたが。

 人族が、歩くより早い。

 体力も、魔物だけあり。

 疲れを、見せない。


 人族は、体力が無くてペースが落ち始め。

 それを見て。

 ユカリさんが、アーリアを。

 ガドムが、シシを。

 俺が、ララを背負い。

 進む事に。


 アーリアさんは、申し訳ありません。

 と謝ってばかり。

 シシは、楽しそうだ。

 ララは、恥ずかしそうに。

 顔を、赤くしている。


 猫さん先導の元。

 たどり着く。

 ここからの方向を、ユカリさんに確認しようとすると。

 服を、引っ張られた。

 どうやら、今度は。

 精霊さんが、案内してくれるみたいだ。


 さすがに、疲れたのか。

 魔物さん達にも、疲れが見える。


 やっと、囲いが見えて来た。

 魔物達には、まだ見えていないようだ。

 ユカリさんには、見えていた。

 皆を、村に向かい入れる。

 そう思っているのに。

 違いは、なんだろう?


 入り口に、たどり着くと。

 「うわ〜」「マジカ?」「え?嘘?」

 皆、驚いていて。

 壁を触ったりしている。

 入り口で、受け入れると思えばいいみたいだ。

 1度入れば、大丈夫みたいだし。

 裏切られるのは怖いけど。

 大丈夫だと、信じたい。


 「皆!お疲れ様でした。ここは、俺の村。好きな家を、使っていいからね。のんびり探索するもよし。家の中で、休むもよし。夜には、外でバーベキューにしようと思うから。また、夜に入り口スペースに。集まって下さい」


 ララを、降ろしアーリアに任せる。

 まだ、誰も動かないので。

 ユカリに、後を任せて自分の家に向かう。


 いつも、精霊さんが風で返事をしてくれるので。

 「ただいま」

 と言うと。

 誰も、いないのに。

 答えが、反ってくる。


 「お帰り〜」

 「お帰りなさいませ」

 「疲れた〜」


 それは、精霊の声だった。

 

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