決戦

 結構歩いたと思う。

 俺の回復魔法が、無事効いたようで猫さんは元気だ。

 歩き方は、猫のよう。

 顔は、人。

 猫のような耳。

 猫のようなヒゲ?があるけど。

 人間のように立ち上がると。

 身長160センチ位かな?

 人間のように歩けば、獣人と呼べるかな?

 見過ぎただろうか?

 威嚇された。


 クマさんが、そろそろですと伝えてくる。

 開けた場所にでて、集団が見えた。


 俺は、右。

 ユカリさんは、左から様子を見る。


 確かに、人族が6人いて。

 周りに魔物?が、何人かいる。

 クマさんが、なにか叫んでいる。

 計画にない行動だ。

 人族の一人が、火の魔法を使いクマさん達に攻撃した。

 マジカ!

 計画と違いすぎる!


 俺は、助けに入るべきか悩む。

 火の魔法を避け、3人は人間に攻撃を仕掛けた。


 どんな会話をして、このようになったのか、わからない。

 猫がこちらを見ている。

 助けないのか?

 裏切るのか?

 そう言っているようだった。


 それを見て、考えるより体が動いた。

 戦闘中の、人族に向かい走る。

 初めて、魔法使う人を見たが。

 狙いも、上手く行ってないようだし。

 威力も、弱いような?

 殺さないようにしてるのかな?

 それなら、話をしてみるのも。

 考えながら、進む。


 すると、前方から火の魔法が飛んで来た。

 俺の敵のようだ!


 俺には、当たらなかった。

 立ち止まり、威嚇するつもりで火の魔法を使う。

 手を頭上に上げて、巨大な火の玉を作る。


 何故か、それで戦闘は終わった。

 放った訳ではない。

 巨大な火の玉を見て、頭を抑えしゃがむ者。

 泣き出す者。

 漏らしてしまう者。

 クマ達も、唖然としている。

 猫は、仰向けになり。

 腹を見せ泣いている。

 なんで?

 え?ユカリさん?

 やっぱり神様だった。


 違うから!神様じゃないから!


 何故こうなった?


 とりあえず、クマサン達に人族6名を取り押さえて貰い。

 猫さんに、奴隷達を集めて貰う。


 「こんな事して、ただで済むと思っているのか?」

 「え~と。貴方は誰ですか?」

 「私は、バンネス王国のトバー公爵家ヨーミだ。早く解放しろ!」

 良かった。

 言葉は通じるみたいだ。

 でも?俺は魔族とも会話できるが、コイツラは、出来ない。

 なして?


 ユカリに、人族と話してる言葉わかる?

 と聞くと、

 人族の言葉は、わからない。

 と、返ってきた。

 使い分けしてるつもりはないが、転生特典かな?


 「まず、俺はバンネス王国を知らない。公爵家が、偉いのかも知らない。知識がない人間に!えばっても意味がない」


 「何故わからん!バリーこいつに教えてやれ」

 「は!私の名は、バリー。トバー公爵家に使える者。バンネス王国は、この大陸の3分の1をしめています。他国から恐れられ。ひれ伏される程に。トバー公爵家は、王家の次に、権力持つ立場になる」


 この大陸?が、どのくらいの大きさかわからないけど。


 「教えてくれて、ありがとう。でも、俺には関係ない。攻撃して来た者を返り討ちして何が悪い?」


 「お前達は、奴隷と貧民だろう!逆らうなら。おい魔物達。こいつ等を殺せ」


 強制力で、首輪をした魔物達が動き出す。

 それを止めようと、クマ達が間に入る。

 クマ達良い子!


 そのせいで、開放されたヨーミに近づき。顔を、殴る。

 バリーが、俺に襲いかかるが一本背負いで投げ飛ばす。

 他の4人は動かないので、ヨーミに、


 「おい!殴られたくなかったら。今すぐ魔物達を止めろ!今すぐだ!」


 「ヒィ〜」

 ビビりながら火の魔法を使い。

 攻撃しようとするが。

 水の魔法を使い消し去る。


 異世界特有の、詠唱は必要ないようだ。


 「早くしろ!」

 「魔物達。攻撃を辞めろ」


 それを聞き、魔物達は動きを止める。

 「今すぐ、奴隷達を開放しろ!出ないと殺す!全員だ!」


 「こ、殺さない保証はあるのか?」

 さすがに、解放すれば。

 報復されると、わかっているのだろう。


 保証と言われてもな?


 他の人族を見る。

 バリーは、立ち上がりヨーミの前に立つ。

 案外部下には、慕われてるのかもな。


 「クマさん。どうして計画通りにしなかったの?」

 悩む前に、気になっていた事を片付ける事にする。


 「これが、捕まえてきたら。仲間を助けると言ったのに。仲間を殺したからだ」

 見ないようにしていたが、そこら中に死体がある。

 魔物の死体だ。

 そういう事か。

 我慢できなかった理由がわかるし、しょうが無い。


 「誰がやった?」

 生き残った、魔物達は人族を睨む。


 「お前ら!約束も守れないのか?本当にクズどもだな!」


 昔、裏切られ。

 虐められた記憶が蘇る。

 自然に、拳を握りしめ。

 ヨーミ、バリーを殴り飛ばす。

 他の人族も殴ろうとしたが、首輪をしていたので


 「バリー、こいつ等もヨーミの奴隷か?」


 「奴隷商から、購入した物です」

 女性1人、子供3人?1人ヒゲモジャ?


 俺は、どうやら来たくない世界に来たのかもしれない。

 奴隷商。それが、普通にあるなら大変な事だ。


 「ヨーミ!人族は脅威にならないだろう!解放しろ」

 ヨーミは、悔しそうに立ち上がり。

 1人、1人の首輪に触り。

 何か呪文を唱える。

 すると、ストーンと首輪が落ちる。


 「バリー。首輪を、された人間は。された者の言う事に従うのか?」

 「首輪をする時、詠唱が必要になる」

 「ゆかりちょっと」


 ゆかりを呼び、俺の考えを伝える。

 反対されると思ったが、神様とでも思っているのか?

 素直に従ってくれる。


 「バリー。蜘蛛の魔物に、首輪を嵌めて俺に聞こえるように詠唱しろ」


 周りが、ざわつく。

 バリーは、言うとおりに従う。

 ヨーミが、何か言いたそうだったが。

 俺が睨むと、唇を噛み押し黙る。


 ユカリさんに、首輪を嵌めて

 「妖精の名の下に、従え」

 ?ここに来て、妖精の名前が出るの?

 精霊でなくて?


 その時、今まで感じなかった。

 精霊が、近くにいる感じがした。

 クマさん達と、対立した時。

 悲しい感情が。


 猫さんを、治療した時。

 嬉しい感情が。


 殺しに行く。といった時。

 離れていった気がした。

 精霊さんが、来て怒っているように思える。


 何となく妖精扱いが、嫌な理由がわかった気がした。


 「バリー。蜘蛛の魔物に、座るように言え」

 「魔物よ。座れ」

 ユカリは、座る。

 「ユカリさん立てたら立ってみて。無理しなくていいよ」


 立とうとしてるきがするが、立てないようだ。


 「バリー、今度は蜘蛛の魔物を解放しろ詠唱する時は大きな声でな」


 それを聞き、バリーは

 「嫌だと言ったら?どうやら蜘蛛の魔物は、お前にとって信頼できる者みたいだな」


 どうやら、予定通りには行かないようだ。

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