逃亡奴隷

 俺は、やり過ぎてしまった。

 囲いも作り。

 これは、立派な村だ!

 人口は、少な過ぎるけど。

 家を、たくさん作ったから。

 ユカリさんに、他の家を勧めたが。

 ここがいい。

 と、断られてしまう。

 二人暮らし。一緒の部屋。異性との…


 な〜んにもない。

 何も。

 あ~、これはそういう事が起きるって。

 流れだと思ったのに…


 まぁ、いいさ。

 物作りが楽しくて。

 スローライフを、満喫できてるし。


 たまに、魔物が現れる。

 けど、中に入ってくることはない。

 理由は、わからない。

 精霊さんが、何かしている気もするし。

 良くわからない。

 俺は、たまに物作りに必要な材料を外に取りに行く。

 その時は、ユカリさんも来てくれる。

 そんな時、追われているのか。

 叫び声と共に魔物が現れた。

 魔物?だよな?

 猫のような動きだが、体格は人間?

 まさか、獣人?かな?

 その後ろから、今度こそ魔物!

 と言うかクマ?3匹。

 助ける為に、風の魔法で3匹との間に放つと。

 クマ達は、止まる。

 その間に、猫?は倒れ動かなくなる。

 「言葉は、通じますか?」

 「お前ら!そいつを渡せ!さもないと殺す」

 その言葉を聞き、俺は魔法を使おうと前に出ると。

 ユカリが、クマめがけ糸を飛ばす。

 糸で何ができるのだろう?

 と見ていると、糸が1匹の腕に絡みつく。

 すると、簡単に腕が一本ぽとりと落ちる。

 「まだ、私達にたいして敵対しますか?ユウさんは、私の何倍も強いですよ」

 嫌だ。怖い。俺の方が強いなんて嘘じゃないでしょうか?

 ユカリさんが、こんなに強いなんて!

 「すみませんでした。でも俺達も、そこに倒れている奴も、奴隷なのです。首輪をしていませんが、戻らないと仲間がどうなってしまうか…」

 「それは、事実ですか?人間の奴隷ですか?近くに人がいるのですか?」

 慌ただしく俺は、問い掛ける。

 「人間の奴隷です。今。人が、奴隷を離して狩りをしているのですが。こいつには、残ってる魔物とは仲間意識が無いので逃げ出したのです。それに…」

 慌てて、説明してくれるが、良くわからない。

 多分人間達が、奴隷を何人も連れてきて。

 何匹か、残し。

 それ以外の首輪を外して、逃がす。

 逃げた魔物で、狩りをする。

 だが、この猫には残る魔物に知り合いがいないから本気で、逃げた。

 主の命令で、クマ3匹が追いかけた。

 という感じみたいだ。

 聞いてるだけで、胸くそ悪い。

 俺の期限が悪いのを感じてか、クマ達が

 「俺達の兄弟や仲間が待っているんだ。お願いします。どうかそいつを、こちらに渡して下さい」

 「人間達は、何人いる?奴隷は?もし、人間達が死んだら、奴隷はどうなる?」

 「人間達は、6名。奴隷は、全部で30名いましたが、今は何人生きてるのかわかりません。もし、人間達が死んだら。奴隷の首輪は機能を失いますが。自分で外す事は出来ないので、新たな主を探し外してもらうか。逃げるかです」

 奴隷の主人を殺し、奴隷の持ち主となり。開放する。

 この流れかな?

 てか、奴隷の首輪をされたら人生つむでしょ!やばくない?


 こいつ等の話を、信じるなら。

 助けてあげたいと思うが。

 真実なのか?見極められない。

 「一緒に行く事は、決定するが。少し待ってくれ」

 クマ達は、安心したのか座り込む。

 相当疲れているのだろう。

 話が、本当なら人族に狩られないよう逃げ回り。仲間を盾にされて、違う仲間を捕まえに走る。


 精神的にも、肉体的にも。

 安心した、クマの顔は可愛く見えた。

 さて、ユカリの方を向くと何やら考えにふけっているが。

 まず、猫の近くに腰掛け。

 ケガの様子を見る。

 出血は、見られるが毛が多く。

 どこからなのか、見分けが付かない。

 今まで俺は、ささくれとか、打撲、切り傷。

 これらに、回復魔法をかけ。

 治した事がある。

 猫の体に触れ、目をつぶり。

 体全体を、治すイメージで魔法を使ってみる。

 俺の中で、治ったと思い。

 目を開けると、ユカリが目の前に。

 慌てて、離れようとして尻もちをついてしまう。

 「どうしたの?ユウさん大丈夫?」

 「大丈夫だから!気にしないで」

 恥ずかしくなり、慌てて立ちあがる。

 クマ達も、いつの間にか近くに来ていた。

 思った以上に、時間が掛かったようだ。

 猫を見ると、寝ているように見える。

 クマ達は、早くして欲しそうだし。

 血だらけの猫の上に、水玉を作り。

 お湯をイメージしてから、振り下ろした。

 毎日風呂に入る為に行う。なれた作業で、素早く出来た。

 周りは、ビックリしているようだが。

 構わず猫に、話し掛ける。

 「大丈夫か?」

 イヤ、ケガ人に何してるの?

 と、見るのはやめて欲しい。

 だって、治ってると思うし。

 血まみれだったし。

 キレイにしたのだから、感謝して欲しいと思ってクマの方を見ていたら。

 猫が飛び起き、逃げようとする。

 「ユカリ」

 猫を指差し、ユカリを呼ぶ。

 それで通じたのか、糸で猫を拘束してくれる。

 それでも、猫は暴れているが。

 「猫さん。貴方は捕まったのではなく。私が怪我を治し保護しました」

 猫の動きが止まり。

 自分の体を、弄り始めた。

 ちょっとエロい。

 何故か、クマ達も驚いていた。

 「お前はいったいなんなのです?話ができる人間なんて初めてなのです。噂に聞く魔族なのですか?ケガを治すなんて…わからない。何なのです?」

 「魔族って何?初めて聞いたんだけど。人族に、似てるの?」

 「会った事はないです。ただ噂だと、魔物を率いる者。魔族。そして魔王が誕生したって聞いたです」

 はい。キャパオーバー。

 何それ?

 魔王なんているの?

 人族がいて、魔物がいて、魔族がいて、魔王がいる世界。

 「勇者とかいるのかな?」

 全員に問いかける。

 皆、首を傾げる。

 参ったな〜。

 聞くんじゃなかった。

 ユカリさんに、糸を解除してもらって。

 これからの事を、話す。

 俺的には、信じられるのかビミョーなので。

 先に、4人で戻って貰い。

 隠れて、ついて行き。

 話が本当なのか、確認をし。

 本当なら助けに入る。

 と約束したが、猫は信用してないようだ。

 ユカリさんも、付いて来て下さるようで助かる。

 村から離れた場所に今いるが。

 まだ、戻れる距離。

 どうやって戻ってくるか悩んでいた。

 「ユカリさん。糸をここから出せば。戻ってこれませんか?」

 「試したことがあるのですが難しいかと思います」

 そこに

 「ここに戻るなんて簡単です。そんな事も出来ないなんて、人間は駄目なのです」

 「どうやって戻るの?」

 「匂いを辿ればいいです」

 周りを見るが、そんな事できるのはこの猫だけのようだ。

 一応、ユカリさんに糸を使って貰う。


 6人で、決戦の地へ向かう。

 どうなるのだろうか?



 

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