第22話 呆然とする王女
「フィリア! 神懸りをしている間は他の言霊の力は消えるはずだから、その間4人の盗賊たちから俺と王女様を守ってくれ!」
「分かったわよ。全く、一度言い出したら聞かないんだから……」
やれやれ、と呆れた顔で頷く。
「かけまくも畏き 黄泉の支配者たる
我願う 脆弱なる我が身に 主の力を分け与えたまえ
神懸り
天に向かって放たれた言霊はやがて一閃の光となってデウスの元へと降り注ぐ。
フィリアも王女を初めて見るデウスの神懸りに息を飲む。デウスの背には光の女神の姿が浮かんでおり、その女神がデウスの右手に自身の右手を重ねている。
「いけないっ!」
デウスの神懸りに夢中になっていたフィリアは生き残りの盗賊のことをすっかり忘れていた。
盗賊は襲ってくるのではなく、一目散に逃げていた。
「待てっ!!」
フィリアは両手を盗賊に向ける。
「生命の根源たる水の壁よ」
フィリアは詠唱をはじめた、が、ここからがいつもと違った。
「轟く雷鳴の紫電よ」
水の詠唱の途中に雷の詠唱を重ねた。フィリアの手の平からは2枚の魔法陣が重なっている。
「我が敵の道を塞げ
氷の監獄が逃げている盗賊を囲った。盗賊たちは殴ったり剣を振り回したりしてこじ開けようとするが、監獄はビクともしない。
「す……すごい……」
王女は呆然とその光景を見ていた。
(今のは…水と雷の複合魔術…氷魔法! 複合魔術なんでできるのは…魔法学院の理事長と第1王女であるお姉さまくらいですわよ!)
「デウス! こっちは大丈夫よ!」
「あぁ、ありがとう……」
生返事が帰ってきた。相当集中しているのだろう。
デウスの右手は天からの霊力で白く光っていた。その手で王女が指名した男の頭を撫でる。その数秒後……
「くっ……来るなぁ!!!」
ガバッと男は飛び起きた。大方、
デウスはあごに頭突きを食らってしまった。
「はぁ、はぁ……できた……」
デウスは息を切らしながらあごをさすっている。
「デウスっ!!」
「イークウェスっ!!」
フィリアと王女はそれぞれが大事な人の元へと駆け寄って行った。
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